53.オリーブ由来ヒドロキシチロソール→コレステロール低下(さくらフォレスト事件(3))

さくらフォレスト事件

23年6月30日措置命令:さくらフォレスト社の機能性表示食品の広告

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対象商品

<きなり極>

<きなり匠>

消費者庁の照会

  1. 研究レビューで採用した論文(臨床試験(ヒト試験))の試験デザインに不備があるものが含まれていないか。
  2. 一日あたりの摂取目安量5.25mgと同量の試験結果である論-3は、酸化LLコレステロールの有意な低下が認められたのは、摂取後30 分後及び4時間後の時点のみであるが、いずれもベースライン(摂取時)がプラセボ群より被験食摂取群の方が低いことが影響している可能性がある。これらを踏まえても、totality of evidenceの判断が適切になされているといえるか。

原料メーカーの回答

論-1、2はそれぞれ単盲検無作為化プラセボ対照クロスオーバー試験、二重盲検無作為化プラセボ対照クロスオーバー試験であり、いずれも試験期間は3週間、ウォッシュアウト期間は2週間であった。論-3は二重盲検無作為化プラセボ対照クロスオーバー試験であり、単回摂取、ウォッシュアウト期間は2週間であった。

 

● 試験期間について
一般的に、食品に含まれるポリフェノール等の抗酸化物質が体内に吸収され抗酸化作用を発揮する場合において、比較的短期間で効果が認められることがある。例えば、宮澤らの報告(*1)では、健常者がエピガロカテキンガレート(EGCg)250 ㎎を摂取すると約1時間後には血漿中のカテキン量が増加し、約80%の被験者で血漿過酸化脂質が有意に減少することが確認されている。

 

本品の機能性関与成分(HT)について、論-3によると摂取後0.5~1時間には血漿中のHT代謝物量が増加していること、HTの体内動態に関する報告(*2,3)においても摂取後約1時間で血漿中のHT代謝物増加が認められていることから、HTは摂取後速やかに吸収され血中移行するものと考えられる。また、別紙様式(Ⅶ)-1の作用機序に関する記載の通り、HTはラジカル消去能を有し、生体内でラジカルを消去することで速やかに血中LDLコレステロールを酸化から防ぐことが考えられる。実際に、本研究レビューの採用論文においても、単回または3週間という比較的短い期間において、酸化LDLコレステロール値の有意な減少が認められている。

 

以上より、HTの体内動態およびLDLコレステロールの酸化抑制機能に関する作用機序を踏まえると、食品に含まれる他の抗酸化物質と同様にHTのLDLコレステロールに対する抗酸化作用が短期間で発揮されることが考えられ、採用論文の試験期間においてHTのLDLコレステロール酸化抑制作用は適切に評価できるものと考える。

 

●盲検化について
本研究レビューの採用論文では、いずれも特異的抗体を用いた免疫学的手法(ELISA法)により血中酸化LDLコレステロールを測定している。すなわち、主観的評価ではなく、バイアスの入り難い生物学的パラメーターによりHTのLDLコレステロールに対する酸化抑制機能を確認している。単盲検の試験が1つ含まれているが、客観的な評価項目によりHTの機能性を確認していることから、科学的妥当性・信頼性に影響を与えるものではなく不備には該当しないと考える。

 

● クロスオーバー試験である点について
HTの体内動態に関する種々の研究(*2,3,4)から、HT代謝物の血中及び尿中の消失が比較的早いことが示唆されている(血中:12時間以内、尿中:24時間以内)。本研究レビューの採用論文ではいずれも2週間のウォッシュアウト期間を設定しており、HTの体内動態を考慮すると、持ち越し効果の影響は考えにくいことから、クロスオーバ ー試験を採用して問題ないと考える。

 

論‐3における酸化LDLコレステロール値(本マーカー)の統計解析においては、統計解析ソフトであるSPSSを用い、まず“general linearmodel with repeated measures test”、すなわち、反復測定の2元配置分散分析を行っている。論‐3の第3.5項“Effect on postprandial redox status biomarkers after HT consumption”において“oxidised-LDL concentration significantly decreased after HT-B intake in comparison with C-B (p = 0.041)”と記載されている通り、因子_biscuit type (HT-B:介入食、C-B:プラセボ食)について群間差が認められ(p = 0.041)、因子_time(0,0.5,1,2,3,4,5,6)についてもどこかの時点で本マーカーに差があることが強く示唆された(p < 0.001)。また2つの因子には交互作用がないことが分かった(which showed no interaction between factors time and biscuit type (Fig. 2D).)。

 

続いて各時点で群間差があるのか検証する目的で、さらに群間比較を実行している。各時点での群間比較においては、SPSSを用いた“Bonferroni test”、すなわち多重性を考慮したT検定にて検証している。その結果、摂取30分後と4時間後で、C-B群と比してHT-B群の本マーカーが有意に低値を示した。このことは、上述した2元配置分散分析の群間での有意差の結果を強く支持する。またベースラインでは、本マーカーについて両群の間に有意差は検出されなかったことから、C-B群とHT-B群との本マーカーの群間差は、ベースラインの差に起因した差ではないことが推察された。すなわち、C-B群と比してHT-B群における本マーカーは、介入後の全測定時点を通して低値推移することが推察されるとともに、実際に摂取30分後と4時間後で群間差が認められることが示されている。

 

なお、欧州食品安全機関(EFSA)によるオリーブポリフェノールの健康強調表示の評価(*5)における“5. Conditions and possible restrictions of use – 5.1. Protection of LDL particles from oxidative damage”の項では、HTおよびその類縁体(オレウロペイン、チロソール等)を5 mg/日で含む食品において、血中LDLコレステロールの酸化抑制作用に関する健康強調表示を認めている。一日あたりの摂取目安量5.25mgと同量の試験結果である論-3の結果は、EFSAの評価における摂取量および酸化抑制機能から大きく異なるものではなく、一貫性のあるものと考える。

 

※補足説明:解析の概要
当論文では、主に2つの統計解析手法により、HT投与による酸化LDLコレステロール値(LDL)減少効果を示している。①全時点データを総合して解釈した結果、C-B群と比較して、HT-B群では、LDLが有意に低値を示し、②各時点の群間差を詳細に比較した結果、実際に摂取30分後と4時間後で、C-B群と比較してHT-B群におけるLDLが有意に低値を示したが、ベースラインでは有意差が検出されなかった。すなわち①、②の結果から、C-B群と比してHT-B群におけるLDLは、介入後の全測定時点を通して低値推移することが推察される。

的を得ていない ※詳しくはお問合せください