4-1 : 影のメーカーを知られない術は?(1)
A.
1.食品表示基準の(附則)2は、「1つの食品の表示の中で食品表示基準と旧基準の両者に基づいた表示の混在は認めないこととする」と規定しています。
機能性表示は新基準での制度なので、機能性表示食品におけるパッケージ表示はすべて新基準で行わなければなりません。
2.しかし、固有記号だけは、新基準対応システムがまだ出来上がっていないので、旧基準準拠で構いません -(附則)3-。
したがって、OEMメーカーが1つでも固有記号を用いて構いません。
ただ、この猶予期間も1年程度です。バイヤーさんが言っていることはその趣旨です。
3.なお、新基準対応システムが出来上がると固有記号も新基準となり、製造者が一つだと固有記号が使えず、その製造者名を書かなければなりません。
そのため、現在は旧基準で固有記号が使えたとしても来年はそれができなくなるので、パッケージも変えなければならなくなります。
その手間を考えると、今から新基準対応で製造者名を書いておいた方がよいかもしれません。
4-2 : 影のメーカーを知られない術は?(2)
うちは顆粒の製造はA社に委託し、カプセルの充てんはB社に委託しています。これで2ヶ所なので固有記号は使えますか?
A.
NGです。
新基準は製造の概念を
「その原料として使用したものとは本質的に異なる新たな物を作り出すこと」と規定しています。(Q&A総則-14)
カプセルの充てんでは何も新たな物は作り出さないので、B社は製造所に該当しません。
4-3:「ビタミンAたっぷり」という表現は可能か?
A.
必ずしもそうではありません。
1.栄養機能成分を機能性表示の関与成分とすることはできません。これは栄養機能食品制度と機能性表示食品制度を両立させるための政策的配慮です。
この例では、ビタミンAを関与成分としているわけではないので、そこはOKです。
2.ところで、ガイドラインP35の「第1容器包装への表示」には、P38に「2.表示禁止事項の(2)」があり、
「食品表示基準第7条及び第21条の規定に基づく栄養成分の補給ができる旨の表示及び栄養成分又は熱量の適切な摂取ができる旨の表示をする場合を除き、消費者庁長官に届け出た機能性関与成分以外の成分(食品表示基準別表第9の第1欄に掲げる栄養成分を含む。)を強調する用語
1)強調する用語とは、「○○たっぷり」、「△△強化」のような表示をいう。
2)含有量を色や大きさ等で目立たせた表示は望ましくない。
3)主要面に成分名のみを目立つように特記した表示や機能性関与成分であると消費者に誤認を与えるような表示
(例:◇◇(届け出た機能性関与成分以外の成分)のパワー)は望ましくない。」
と記述されています。
つまり、パッケージでは、
「ビタミンAが含まれています」のような含有表現はOKだが、「ビタミンAたっぷり」のような強調表現はNG、ということになります。
これは、関与成分にはなりえない栄養機能成分について、関与成分と誤解させるような表現は許さない、という趣旨と思われます。
3.しかし、2はあくまでもパッケージの話で広告のルールではありません。
したがって、広告で「ビタミンAもたっぷり」のような表現をすることは必ずしもNGではありません(もちろん強調表現ができるだけの含有量をクリアーしていることは必要です)。
4.1点気になるのが、届出の際の逸脱広告をしない旨の誓約です。つまり、「当該食品の広告等については、届け出た表示の内容を逸脱する表示を行いません。」との誓約に反しないか?です。
しかし、これも結論的には反しないと考えられます。なぜなら、逸脱の対象は「届け出た表示」つまり、機能性文言なので、機能性と関係のない「たっぷり」表現をしても逸脱にはならないからです。
4-4:一般健食から機能性表示健食へのスイッチ
A.
1.妙手はあります。一般健食のパッケージにシールを貼って、機能性表示健食に変身させればよいのです。
2.まず、パッケージに要求される表示をシール貼付で行うこと自体は何の問題もありません。輸入品などでよく行われていることです。
3.薬事の虎で何度もお話ししているように、機能性表示健食の表示は、食品表示の新基準で行わなければなりません。
他方、一般健食は猶予期間は新旧どちらでもかまいません。
しかし、一般健食のパッケージにシールを貼って、機能性表示健食に変身させるのでシールが小さくて済むように一般健食のパッケージも新基準依拠で
作成すべきです。
また、関与成分でない成分の強調や機能表現は、機能性表示健食届出の際に突っ込まれますから、そういう余計なことを一般健食の段階から書いては
いけません。
4.こうしておけば「変身」の際に、届出番号・届出表示・関与成分名及び1日摂取量・ディスクレーマーを書いたシールを貼るだけで「変身」は完了です。
※これで一般健食の在庫の心配もなくなります。
4-5:1日摂取量の幅表示
A.
1日摂取量の幅表示は採用しないことです。
1.関与成分含有量は上限下限の幅表示でも構いません(ガイドラインp36)。
ですから、これで関与成分を表示することも考えられます。
しかし、3粒なら3粒あたりの関与成分含有量にぶれがあると、とても複雑なことになります。
よって、機能性表示健食においては、1日摂取量の幅表示は得策ではありません。
2.これまでの受理事例にも1日摂取量を幅表示している例はありません。
詳しくは、機能性表示データブックをご覧ください。
「機能性表示データブック」