1.経緯
医薬品成分が機能性関与成分として認めれらるようになった経緯として、厚労省 Q&A:「医薬品の範囲に関する基準」に関するQ&Aについて(平成 31 年 3 月 15日)の通知があります。次のような内容のものです。
- 「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和46年6月1日薬発第476号厚生省薬務局長通知)の別添2「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」(以下「専ら医薬品リスト」という。)に収載されている成分を元から含有する野菜、果物等の生鮮食料品又はそれを調理・加工して製造された加工食品は、医薬品に該当すると判断されるのか。
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「専ら医薬品リスト」に収載されているものであっても、それが野菜・果物等の生鮮食料品(「専ら医薬品リスト」に当該生鮮食料品そのものが収載されていないものに限る。)に元から含有される成分である場合は、当該成分を含有している生鮮食料品の医薬品該当性について、当該成分を含有することのみを理由として医薬品に該当するとは判断せず、食経験、製品の表示・広告、その製品の販売の際の演術等を踏まえ総合的に判断する。
また、当該生鮮食料品を調理・加工(伝統的発酵を含む。)して製造された食品(伝統的発酵によって当該成分が含有されることとなるものを含む。以下「加工食品」という。)についても、当該加工食品の製造工程において、当該成分の抽出、濃縮又は純化を目的とした加工をしておらず、かつ、食品由来でない当該成分を添加していない場合は、前段と同様の取扱いとする。
これを受けて機能性表示食品の質疑応答集が平成 31 年 3 月 15日に改訂され、問13が示されます。これによって医薬品成分の機能性関与成分化が可能となりました。
問13の内容は以下の通りです。
問13
届出をしようとする食品の機能性関与成分が、「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和 46 年6月1日付け薬発第 476 号厚生省薬務局長通知)別紙「医薬品の範囲に関する基準」の別添2「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に含まれる場合、消費者庁においてどのように確認するのか。
届出をしようとする食品の機能性関与成分が、「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和 46 年6月1日付け薬発第 476 号厚生省薬務局長通知)別紙「医薬品の範囲に関する基準」の別添2「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に掲げられている成分本質(原材料)であっても、「「医薬品の範囲に関する基準」に関するQ&Aについて」(平成 31 年3月 15 日付け薬生監麻発 0315 第1号厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長通知)の考え方を踏まえ、当該食品が医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和 35 年法律第 145 号)第2条第1項第2号又は第3号に規定する医薬品に該当しない場合には、機能性表示食品として届出をしようとすることは妨げない。
ただし、当該成分本質(原材料)を機能性関与成分とする食品が、医薬品に該当しないことが不明確な場合は、届出確認時に消費者庁から厚生労働省に照会し、確認するものとする。
2.事例
医薬品成分を機能性関与成分とした事例の第一号はファンケルさんのE294「カロリミット a」です。桑の葉イミノシュガーとして3つの成分を一つまとめていますが、そのうちの一つが医薬品成分である「DNJ」となっています。
次に受理されたのがF583「発芽玄米の底力」の「γ-オリザノール」です。届出表示においては、「血中の中性脂肪や総コレステロールを低下させる機能が報告されている成分」と表現されていて、「γ-オリザノール」の名称を直接は言っていないことが特徴です。
そして3例目が、F740「OSK(オーエスケー)粉末桑茶」です。機能性関与成分である桑由来モラノリンは、「DNJ」の別名です。E294では、構成成分の一つという位置づけでしたが、F740は「DNJ」そのものを機能性関与成分としていると言えます。
また、F740では、医薬品成分であるモラノリンを機能性関与成分とすることの妥当性について、上述した厚労省通知を踏まえて明確に説明していることが特徴と言えます。
さらに、F583と同様に届出表示においてモラノリンは直接記載せず、「桑由来の成分」としています。
届出表示において医薬品成分名を直接記載しないのは、含有する医薬品成分を強調してはならないというルールによるものでしょう。
商品名 | カロリミット a | 発芽玄米の底力 | OSK(オーエスケー)粉末桑茶 |
届出者 | ファンケル | SBIアラプロモ | 小谷穀粉 |
届出表示 | 本品には桑の葉イミノシュガー・キトサン・茶花サポニンが含まれます。本品は、食事の糖や脂肪の吸収を抑えて、食後の血糖値と血中中性脂肪値の上昇を抑える機能があります。本品は糖、脂肪が多い食事をとりがちな方に適しています。 | 本品はGABAを含みます。GABAは、血圧が高めの方の血圧を下げる機能が報告されています。また本品は、血中の中性脂肪や総コレステロールを低下させる機能が報告されている成分を含みます。 | 本品は、糖の吸収を抑え、食後血糖値の上昇を緩やかにする機能があることが報告されている桑由来の成分が含まれています。 |
機能性関与成分 | 桑の葉イミノシュガー・キトサン・茶花サポニン | GABA、γ-オリザノール | 桑由来モラノリン |
商品画像 | |||
備考 | 医薬品成分であるDNJは、桑の葉イミノシュガーを構成する成分の一つ | 届出表示では、医薬品成分である「γ-オリザノール」とは記載されず、「血中の中性脂肪や総コレステロールを低下させる機能が報告されている成分」とされている | 「モラノリン」は医薬品成分であるDNJの別名。届出表示では「桑由来の成分」と記載されている |