6-1:商品のリニューアルとエビデンス
A.
そのエビデンスが臨床試験の場合とSRの場合で異なります。
(1) 臨床試験の場合
リニューアルで何を変えたかによります。
味、色、香りなど効果に関係のない成分を変えた場合は、リニューアル商品についても以前のRCTをエビデンスとして機能性表示できるでしょう。
他方、効果に関係のある成分を変えた場合は、リニューアル商品で再度RCTを行う必要があるでしょう。
(2)SRの場合
SRは機能性関与成分について行いますから、それが変わらない限り、リニューアル商品についても以前のSRをエビデンスとして機能性表示ができます。
6-2:機能性表示に贔屓はあるのか
A.
そんなことはありません。
1.1社で何件も受理されている事例が結構あるのは一度届出をすると、形式審査を通すコツがわかってくるからだと思います。
2.薬事の虎で何度もお伝えしていますが、消費者庁の審査には濃淡があります。
「濃」の部分は入念にチェックして届出する必要がありますが、「淡」の部分はそうではありません。
一度届出すると、届出に関してこういうある種のポートフォリオ、集中的に時間と費用をかけるべきところとそうでないところを描くことができるようになります。
たとえば、パッケージの記載は私の知る限り、ほとんどのケースにおいて不備事項として指摘されています。
こんな感じです。
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・原材料と添加物の表示方法等、機能性表示食品の項で規定する表示事項以外の横断的義務表示事項について食品表示基準に基づいた表示内容となっているか、
再度御確認いただきたい。
・容器包装(表示見本)を作成する際には「機能性表示食品の広告等に関する主な留意点(平成27年6月19日公表)」も御参照いただきたい。
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3.他方、一度も届出をしたことがないと、こういうポートフォリオがわからないので、あまり意味のないSRやRCTに時間とお金をかける一方で時間をかけてしっかりチェックすべきパッケージなどが手薄になっていたりします。
すると、そこが不備事項として指摘され、やり取りで数か月かかっているというケースも珍しくありません。
4.機能性表示において凝りすぎたSRやRCTはポイントとはなり得ません。機能性表示クリアーはひとえに情報勝負です。
6-3:隠れ有効成分の考え方
A.
1.コンサル会社の指摘はその通りです。
ヘム鉄の量が少なければ「この程度では効果に関わらない」と言えますが、相当量は入っていることになると、不備事項指摘は免れず、
また、それに対する反論も難しいでしょう。
2.そこで、SRを考えたらどうでしょうか?このRCTをもとに関与成分として、コエンザイムQ10のSRを作るのです。
SR方式は商品の効果を訴求するものではなく、その商品に含まれる関与成分の効果を訴求するものです。
その商品に他にどういう成分が入っているかは関係ありません。ヘム鉄が入っていてもよいのです。
3.これに対しては、元のSRに対して「このRCTの結果は ヘム鉄でもたらされたものではないか」ということが問題とされるかもしれないという懸念が
あるかもしれません。
しかし、その懸念は杞憂です。
なぜそう言えるかは、審査を経験するとわかります。
6-4:架空の機能性表示!?
A.
試作品だけあれば可能です。
エビデンスがSRとRCTの場合に分けて考えてみましょう。
1.SRの場合 :SR自体は文献調査ですから、実際の商品がなくても実施は可能です。
最後に自社商品への外挿性を検討しますが、これも商品設計さえ決まっていれば可能です。
ですから、SRの場合の有効性エビデンスは実際の商品がなくても出来上がります。
ただ、届出を行うには、関与成分の定量が必要なので、試作品だけ作って定量を行う必要があり、それだけは小ロットでの製造が必要です。
2.RCTの場合:臨床試験を行うのに自社商品が必要ですが、ガイドラインでは、
これは試作品でもよいことになっています(P25)。 定量については1と同様です。
3.結局、SRで行くにせよ、RCTで行くにせよ、試作品さえあればよく、
商品の正式発注はどの程度の届出表示が認められるのかを見極めてからでも構いません。