I.口臭
1.参考事例としてF570があります。
届出番号F570「ラクトフェリンDX(ディーエックス)」
株式会社NRLファーマ
届出表示
「本品には腸溶加工したラクトフェリンが含まれるので、舌苔を減らすのに役立ちます。」
2.本件の顛末は以下の感じです。
届出では、
- 関与成分量はラクトフェリン(300mg/日)
- RCT
- 被験者は(イ)口臭が気になる健常者で、(ロ)現在う蝕及び歯周疾患の治療を受けていない者。
- 試験方法はダブルブラインドパラレル。
- 腸溶製剤・非腸溶製剤の比較(中身はいずれもラクトフェリン)。
- 4W(先行研究により4Wを可とする)。
- 舌苔→口腔衛生不良状態→口腔機能低下症とつながり、また、舌苔→口腔病原菌は心臓・血管性疾患・糖尿病・誤嚥性肺炎の原因となるので、健康維持の問題である、とする。
- 評価は舌苔の付着範囲と厚さをパラメーターとし、群間有意差あり。
となっています。
臨床試験の被験者は「口臭が気になる健常者」、作用機序には「口臭の原因は舌苔量によるところが多く、細菌が舌に付着することで生じる。」となっていますが、届出表示にも対象者にも「口臭」の文字が入っていません。被験者を「口臭が気になる健常者」とし、論文のタイトルも「腸溶性ラクトフェリン製剤による舌苔除去および口臭抑制効果」となっているので、「口臭抑制」もチャレンジしたと思われるますが、認めてくれないため、舌苔除去に留めたものと思われます。
3.以上の次第で
「口臭」は難しそうです。
2.体臭
1.参考事例としてD601があります。
届出番号D601「シャンピニオン爽粒」
株式会社リコム
届出表示
「本品にはマッシュルーム由来ポリフェノールが含まれています。マッシュルーム由来ポリフェノールには、腸内腐敗産物として知られているアンモニア、p-クレゾールを減らすことで、腸内環境を良好にすることが報告されています。」
2.本件の顛末は以下の感じです。
届出では、
- 関与成分はマッシュルーム由来ポリフェノール。
- SRは自社。
- 採用文献は1報([1]Nishihira2018)。
- 研究は、4WのRCTで、糞便中アンモニア・p-クレゾール・インドールを評価。前2者で群間有意差あり。
- 「他に機能性を有する成分はないか」は説明されていない。
- マッシュルーム由来ポリフェノールは初出成分。
のようになっています。
かつてシャンピオンエキスサプリによる体臭訴求で 7社が排除命令を受け(2009年)、メーカーであるリコム社が審判請求を行い却下されています(2010年。 [事例]シャンピオンエキス事件 ])。今回、リコム社は、シャンピオンエキスによる腸内腐敗産物減少訴求の受理に成功しましたが、届出表示や作用機序には、「体臭」の文字がなく、入れることが出来なかったものと思われます。
3.以上の次第で
「体臭」も難しそうです。