1-1 : 1成分1効能の例外(その1)・1成分多効能
たとえば1つの成分に関して血糖値と血圧を表示するというように。
A.
可能です。
血糖値と血圧、それぞれについて、機能性表示で要求されるエビデンスがあればいいだけのことです。
つまり、
(1) 血糖値に対する効果を証明するRCTと機能性関与成分から血糖値改善への作用機序の証明(こちらはeasyで可)
(2) 血圧に対しても 1) RCT、2) 機能性関与成分から血圧への作用機序の証明です。
そして両者を極力同時に行うように試験を設定すれば、コストも下がります。
1-2 : 1成分1効能の例外(その2)・多成分多効能
たとえば、機能性関与成分をブルーベリーとルテインにして、ブルーベリーで「目の疲れをいやす」とうたい、
ルテインで「健康な視力を維持する」とうたうというように。
A.
SRなら可能です。
(1) 6月26日第7回検討会の資料1のP2にはこう書かれています。
「複数の保健機能成分についてそれぞれ機能性を表示しようとする場合は、成分ごとに機能性を実証すればよいこととする。」つまりブルーベリーで
「目の疲れをいやす」、ルテインで「健康な視力を維持する」とうたいたければ、「成分ごとに機能性を実証すればよい」のです。
  ただし、成分での機能性はSRで示すことになりますので、この場合、ブルーベリーの「目の疲れをいやす」、ルテインの「健康な視力を維持する」の
  両方について、SRを作ることになります。
(2) それが無理なら、商品についてRCTを行うことになりますが、商品試験ではブルーベリーで「目の疲れをいやす」、ルテインで「健康な視力を維持する」
  という結果は導けません。その商品に「目の疲れをいやす」「健康な視力を維持する」と2効能あるという結果になります。
  この場合は、ブルーベリーかルテインどちらかを機能性関与成分にして1-1で述べた、1成分多効能のパターンにしたらよいでしょう。
(機能性表示においては作用機序の証明はeasyでよいのでこういうやり方も可能です)
1-3 : 1成分1効能の例外(その3)・多成分1効能
たとえば、ヒアルロン酸とコラーゲンを機能性関与成分にして、「ひざの健康に」とうたうというように。
A.
可能です。
報告書のP10は、安全性の評価について、「機能性関与成分を複数含む場合については当該成分同士の相互作用の有無」としていますが、
これは前提として設問のようなケースを可と考えていると思われます。
実際には、通常どおり1つの臨床試験で安全性と有効性の試験を行い、作用機序の考察において、2成分の関係を考察することになります。
1-4 : 査読クリアbut有意差なしで機能性表示できるか?
ただ、内容をよく見ると、試験品群内では視力改善につき有意差があるものの、試験品群とプラセボ群の群間比較においては視力改善につき有意差はない、という結論でした。
こういう場合、この試験結果をもとに視力改善効果につき、機能性表示できるのでしょうか?
A.
このケースでは機能性表示は無理です。
(1) たしかに機能性表示のエビデンスとして査読をクリアしたRCT論文があげられていますが、査読をクリアすればそれですべてOKというわけではなく、
  その中身として機能性が実証されていなければなりません。
  ところが、ご質問のケースでは、視力改善結果につき試験品群とプラセボ群の群間比較において、有意差がないというのですから、試験品群の群内比較
  (ビフォーアフター)において有意差があったとしても、その改善はプラセボ効果(思い込み)によってもたらされたもので、試験品群が真に効果があると
  示すものではないと評価されます。
  よってこの論文では健康食品の機能性の表示ビジネスエビデンスにはなりません。
(2) なんのために査読雑誌に投稿するのかを考える必要があると思います。
1-5 : 第一目標で有意差なし、第二目標で有意差あり、どうしたらいいか?
しかし、第二目標としていた抗酸化力では群間比較において有意差が出ました。
こういう場合、機能性表示はどうしたらよいのでしょうか?
A.
抗酸化力について機能性表示できると考えられます。
ご質問のケースでは試験品の抗酸化力は実証されていると考えられます。
第一目標であった免疫力について有意差でなかったこととの関係が問題にはなりますが、一方で抗酸化力があり他方で免疫力ありには至らないというのは
矛盾した結果とは考えられません。
よって、試験品の抗酸化力についてエビデンスが得られたと考えてよいと思います。
1-6 : 法的割り切りと科学的真実を追求する査読の矛盾
確かに機能性表示はもともと許可制ではなく、自己責任の制度ですから、そういう制度としてデザインされていると思います。
しかし、RCT論文を査読に出したときに、査読者は自然科学のフィールドの人であり、そういう人は科学的真実を追求する発想しかないので、そこで矛盾が生じないでしょうか?つまり、査読者はトクホのような発想で本来機能性表示においては、求められていないことまで求めて来るのではないしょうか?
A.
おっしゃるとおりです。
(1) 査読者は機能性表示用とかトクホ用とか関係なくワンパターンの評価をするので、機能性表示制度との矛盾が生じる危険があります。
たとえば、機能性表示を「目の健康」にしようと思い、
①客観的な視力と改善テスト
②主観的なアンケート(たとえば本を読むにあたり見にくさが改善されたと感じるか)を行ったとします。
RCTの結果、②では有意な改善結果が出たが、①ではそうではなかったとします。
この場合、機能性表示のエビデンスとしては「視覚のQOL改善が得られた」と評価でき、「このサプリにより見えにくいと感じることが少なくなります」と機能性表示できると考えられます。
しかし、査読者は科学的真実を追求する立場に固執し、なぜ①で有意差がないのに②で有意差が出たのか、科学的に合理的な説明がないと査読はOKとしないと答える可能性があります。
(2) 要は医学雑誌の査読は機能性表示のような妥協的制度を想定していないので、目的(機能性表示)と手段(医学的査読)がミスマッチなのです。
さらに言うと、査読が条件という話は5月の検討会で突如出て来たもので、その時点では機能性表示の基準はとても厳しいものでしたが、
その後、機能性表示の基準は緩和されたのに査読が条件という点だけは、5月の基準が残っているので制度として整合性を欠く結果となっているのです。
我々としては機能性表示に適合した査読付き雑誌が登場するのを待つしかありませんが、それまではRCTの試験計画を機能性表示と査読の2軸を睨みながら、
工夫して考察する必要があります。
1-7:SRのトリック
A.
1.単純に文献データベースが違うというのが、一つ考えられる原因です。
2.他に、自社商品と一日摂取量などで辻褄が合わない文献が除外されるように、除外基準を設定しているのではないかと思われるケースもあります。
  そうするとその文献は採用文献として上がってきません。
3.同じ成分のSR比較を私どものデータブックにアップしていますので、ご興味のある方はご覧ください。
↓ ↓ ↓
「機能性表示データブック」
1-8:上乗せ摂取量というテクニック
A.
あります。上乗せ摂取量というテクニックです。
そのアンサーを知りたい方は、表題を「1120アンサー希望」として
会社名・ご担当者名・ご連絡先を明記の上、
ydc003@usjri.com(鶴岡) までご連絡下さい。
1-9:SRで肯定1否定1さぁどうする?
A.
1.おっしゃるような研究レビューの状況でも受理されている事例はありますから、前に進んでよいですが、SRの締めくくり方に一工夫要しますので、
  届出書類の作成は私どもにお任せください。
2.尚、不安が残るようでしたら、受理されてから商品の製造を開始するとよいと思います。
  以前にも書きましたが、商品設計さえ決まっていればSRは可能です。定量などは試作品で可能です。
私どもはそんな事例も経験済みです。
1-10:公開されたくない情報をどうするか?
A.
秘策はあります。
お知りになりたい方は、表題を「1222回答希望」として、
会社名・ご担当者名・ご連絡先を明記の上、
info@yakujihou.com(鶴岡) までご連絡ください。