機能性表示食品の届出を行うにあたり避けて通れないのが「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」ですが、ボリュームも大きく、専門的な内容であるため内容を正しく理解するのは骨の折れる事です。
そこで薬機法、機能性表示のスペシャリストである林田学先生に機能性表示ガイドラインの読み解き方、ポイントなどを伺ってみました。

林田先生に聞く!機能性表示ガイドラインの読み方

それではどうぞ宜しくお願いいたします。
機能性表示食品の届出等に関するガイドラインは今までに何回も改定されていますね。かなりページ数も多いのですがどんな事に気を付けて読んで行けばよいでしょうか?

宜しくお願いいたします。
一番新しいのが令和3年3月22日。
これは「薬事法ルール集」からも確認できますし、消費者庁のサイトからDLも出来ます。
こちらに沿って解説させていただきます。

ポイントは大きく言うと4つです。

POINT1)機能性関与成分

とにかく関与成分に何でもなりうる事では無いので、
物がなんでもいいというのであれば別になんでも良いんですが、
大体はこういうものでやりたいというパターンが多いので
そうすると、それで関与成分が作れるのかというここのチェックが非常に重要になります。

例えばこの前、中国からきのことかでやりたいというのが出てきまして、
エビデンスがあります、という訳です。
ただ、その時なにを関与成分にするのかというのが問題です。

なりうるものがあるのか?というのが問題でそこを決めないと、
その先どれだけ話をしても意味がないんですね。
関与成分になりうるものが無かったらこの制度には乗らないので、
関与成分をチェックするという事は非常に重要です。

それについては3P(※1)に書いてあって、マル1マル2とありますので下記をご覧ください。

※1)このページ上部の「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」ボタンを開いた資料をご覧ください。「3P」はPDFのページ繰りではなく、ページ下部中央に示されたページ番号3Pを指しています。

① 表示しようとする機能性に係る作用機序について、in vitro 試験及
び in vivo 試験又は臨床試験(ヒト試験)1
により考察されているもので
あり、直接的又は間接的な定性確認及び定量確認が可能な成分である。

参照:消費者庁「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」

なるほど。定性、定量という言葉が出て来てちょとわかり辛いのですが、
この二つはどう違うのでしょうか?

前段の採用基準の考察はそんなに難しくないんですが問題は
後段なんです、そう、「定性確認及び定量確認」ですね。
定性というのは由来なんです。
例えばアントシアニンといっても色々由来があるわけです。
ブルーベリーから取れてるとか、あるいはビルベリーから取れてるとか
由来がある。それが定性なんです。
で、定量というのは量、どれくらい入っているかという量ですね
これをですね、エビデンスとして示さないといけない。
後でもお話しますけど、
ここが出来るかどうかが先ほど申し上げた第一のチェックポイントです。
ここで出来ないというのであれば、
例えばべーターグルカンなんでいうのがそうなんですが
きのこの関与成分としてべーターグルカンが考えられるんですが
ただこのべーターグルカンに対して定性、定量のエビデンスを示せ無ければ
もう先にすすめないです。
いくらエビデンス、免疫力をあげるというエビデンスがあっても
とっかかりは関与成分なのでそこがクリア出来ないと先へは進めない、という事になります。

定性、定量についてはよくわかりました。ありがとうございます。
次にマル2の下記文章ですね。

② 健康増進法(平成 14 年法律第 103 号)第 16 条の2第1項の規定に基づき厚生労働大臣が定める食事摂取基準(以下「食事摂取基準」という。)
に摂取基準が策定されている栄養素を含め、食品表示基準別表第9の第1
欄に掲げる成分は対象外とする。

参照:消費者庁「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」

という事でですね、まあ要はですね、ここは縄張りの問題なんです。
例えば栄養機能食品という制度があるんですが
栄養機能食品という制度はそれを担当するセクションが
仕切っているわけで、そこにずかずか入ってこられると困ってしまうんですね。
例えばビタミンAなんていうのは栄養機能食品という制度に乗るんですよ。
だからビタミンAを機能性関与成分にして、機能性表示を取られてしまうと
栄養機能食品のビタミンAなんて意味がないじゃん、という事になってしまうので
そこは調整が必要だからそこはちょっと絞る必要があります、とそういう事です。

その辺はお役所側の都合もあるんですね。
例外はないのでしょうか?

今のビタミンAに関しては4Pに表がありますけど、
原則ダメなんですけど例外的には良いんですね
まあこの表の右側に入っているベータカロテンとかは大丈夫です。
あとは、以前問題になった糖類ですね、パラチノースなんてのも以前はダメだったんですが
今は例外、になりうるという事になっています。

まあこの関与成分ですね、これが設定できるか、
これががまず一番目に重要な事です。

食事摂取基準に摂取基準が策定されている栄養素 対象成分となり得る左記の構成成分等(例)
たんぱく質 各種アミノ酸、各種ペプチド )
n-6系脂肪酸 γ‐リノレン酸、アラキドン酸
n-3系脂肪酸 α‐リノレン酸、EPA(eicosapentaenoic acid)、DHA(docosahexaenoic acid)
糖質 キシリトール、エリスリトール、フラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖(ラクトスクロース)
糖類 L-アラビノース、パラチノース、ラクチュロース
食物繊維 難消化性デキストリン、グアーガム分解物
ビタミン A プロビタミン A カロテノイド(β-カロテン、α-カロテン、β-クリプトキサンチン等)

関与成分の設定が肝、と。
他には何に気を付ければよいでしょうか?

POINT2)機能性の範囲

次に重要なのは、機能性の範囲ですね 5Pの第2「 可能な機能性表示の範囲」これ非常に重要でですね、 要は機能性表示食品制度は健康の範囲内なんですね。 で病気に入ってはいけない。そこはもう医薬品の範囲、縄張りだから そこに入っちゃいけないよと、そういう事なんです

第2 可能な機能性表示の範囲

  1. 保健の目的が期待できる旨の表示の範囲は、疾病に罹患していない者(未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む。)及び授乳婦を除く。)の健康の維持及び増進に役立つ旨又は適する旨(疾病リスクの低減に係るものを除く。)を表現するものである※7、※8、※9。例えば、次に掲げるものであり、届出者は届出資料を作成するに当たって、医薬品に関する情報についても確認し、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35 年法律第 145 号)第2条に規定する医薬品と誤認されるおそれがないよう、留意すること。
    ※7 「診断」、「予防」、「治療」、「処置」等の医学的な表現は使用できない。
    ※8 健康の維持及び増進の範囲内であれば、身体の特定の部位に言及した表現も可能である。
    ※9 可能な機能性表示の範囲内の例としては、特定保健用食品で認められている表現が挙げられる(疾病リスクの低減に係るものを除く。)。

    ① 容易に測定可能な体調の指標10の維持に適する又は改善に役立つ旨
    ② 身体の生理機能、組織機能の良好な維持に適する又は改善に役立つ旨
    ③ 身体の状態を本人が自覚でき、一時的な体調の変化(継続的、慢性的でないもの)の改善に役立つ旨

  2. 本制度では認められない表現例としては、以下のものが考えられる。
    ① 疾病の治療効果又は予防効果を暗示する表現
    (例)「糖尿病の人に」、「高血圧の人に」 等
    ② 健康の維持及び増進の範囲を超えた、意図的な健康の増強を標榜するものと認められる表現
    (例)「肉体改造」、「増毛」、「美白」 等
    ③ 科学的根拠に基づき説明されていない機能性に関する表現
    (例)限られた免疫指標のデータを用いて身体全体の免疫に関する機能があると誤解を招く表現、in vitro 試験や in vivo 試験で説明された根拠のみに基づいた表現、抗体や補体、免疫系の細胞などが増加するといった in vitro 試験や in vivo 試験で科学的に説明されているが、生体に作用する機能が不明確な表現

ただ、一般論はあるんだけど具体的な所は難しくて
例えばその、便通改善は健康の範囲内なんだけど
便秘の改善っていうと病気の範囲になっちゃうんですね。
そんな感じでなかなか一般論はわかるけど具体的には難しい所があるんですが
その中で下記のように3つの例が上がってます

① 容易に測定可能な体調の指標10の維持に適する又は改善に役立つ旨
② 身体の生理機能、組織機能の良好な維持に適する又は改善に役立つ旨
③ 身体の状態を本人が自覚でき、一時的な体調の変化(継続的、慢性的で
ないもの)の改善に役立つ旨

参照:消費者庁「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」

①については例えば血糖値とかですね。
便通の改善っていうのは②のこれに該当しますね
一時的な評価っていうのは③のこれです。

ずーっと疲労してるな、慢性的に疲労してるっていう人の疲労を改善するっていうのはダメなんですね。
継続的、慢性的はダメなので。だけど一時的だったら良いという事なんです。
だから、健康の範囲内だって事を説明する時にこの3つのどれだと、
この3つの中のどれかじゃなきゃいけないって事では無いんですけれども、
この3つのどれかにひっかかりますよ、という風にロジックを立てた方が通りやすいという事はあります。なのでこの3つは非常に重要です。

なるほど、そのコツを知っているかどうかだけでも大きな違いが出そうですね!

なんというか、実務的に言うとさっきの関与成分はとにかく、
その関与成分が設定出来ない事にはどうしようもないんですね、
さっきの例の中国からきのこで機能性表示やりたいよ、というのが来まして
その時に「関与成分は何にしますか?ベータグルカンにしましょうか」と言って
ベータグルカンの定量が出来ないという事になると話が進みません。
だけど機能性の方はここはまあ言ってみればまあ、どうしても通したければ
控えればいい、要するに、出っ張ると、ここは病気だからダメよいう訳なんですが、
凹めばOKな訳なんですよ。
便秘と言えばダメだけど便通といえばいいわけじゃないですか。
そういう訳で機能性はまあ妥協するのであればなんとでもなるんですね。
妥協覚悟でやるんだったらなんとでもなる。
ただそれだと売れないんですね。
まあどうしてもとんがったやつで行きたいんですが、
実務的にはとんがったやつで行って
ダメそうだったらひっこめる、という感じで行くという感じでやる事が多いです。

さじ加減が難しいんですね…
その辺はやはりある程度の経験がないとバランスをとるのが難しそうに思います。

その点YDCでは2021年10月時点で機能性表示届出関与実績が165件もあり、常に現場の情報をアウトプットしていますし表に出てこない情報まで抑えていますので何かあっても対応の仕方を心得ています。経験の少ない方には心強いのではないかと思います。

確かになにか指摘が入った際の対応は知識が無い状態では難しそうです。
間違えた場合無駄に期間が長引きそうですし、最悪受理されないなんて心配もあります。
やはり実績のあるコンサルタントに依頼する事は大切ですね。

さて、次は

POINT3)安全性

のお話をしましょう。
ここも非常に重要で、大体は喫食実績でいくんですね。食経験。
食経験もそんなに厳しくはないので、最短だったら半年くらいでもいいです。
半年くらいで有害事象は報告されていないで構いませんけど、
全くそういう事がない、例えば海外で売られていたけれど海外でどうだったかがわからない、というような場合ですね、そういう場合はまあ文献調査で、まずデータベースですね。
国立栄研のデータベースがあるのでそれで関与成分を検索して、
そこに有害事象がレポートされているかどうかですね。
レポートされているとちょっとヤバい。
レポートされてなければこのように有害事象はレポートされていないよと言って
根拠づけるづける事ができます。

ただ厚労データベースも網羅的ではないのでそういう場合には自ら試験をすると。
大体臨床試験を行います。
安全性、過剰摂取と長期摂取というのをやるんですけど、
過剰摂取はサプリとかカプセルとか錠剤とかのサプリ形態だと5倍量、
一日3カプセルとかで設計してると一日15カプセル飲ませて、4週間飲ませて問題ないかという試験をします。これが過剰摂取。
長期摂取は12週間、3ヶ月飲ませて問題無いかという事を試験します。
という事で安全性の方はまずは喫食実績、それからデータベース、
どっちも無ければ臨床試験という事でガイドラインにそのフローチャートが示されています。

参照:消費者庁「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」

用意する書類もたくさんあるようですが、YDCでは書類作成もフォローしてもらえるのでしょうか?

もちろん対応可能です。

クライアントの力量により、どこまでフォローするかもご相談の上決定します。

それなら安心ですね!
では次のPOINTをお願いします!

POINT4)関与成分の定量

関与成分はなにかと決めるわけですね、
さっきの中国のきのこの例だとベータグルカンで出来ますって事になるじゃないですか。
そうするとその規格(スペック)を決めるわけです。
名前だけ決めたって意味がない訳で、
ベータグルカンっていうのはどういうもんだという、その内容を決めるわけです。
これが規格です。で、規格をきめて、後は定量ですね。これがものによってはできない。
ベータグルカンは結構難しいんです。つい最近までなかったです。
つい最近出てきましたけどそれまでは受理例は無かった。定量が難しいので。
そういう風に、物によっては定量が難しいという物もあります。
プラセンタなんかもそうです。
プラセンタも定量の仕方がわからなくて、
ずっと有名な成分だけど機能性には出てこなかったんですけれども
まあ最近はペプチドで捉えれば定量できるという事になって出てくるようになりました。

てな感じです。

以上4つが非常に重要なポイントです。
ガイドラインと共にこの話を参考にしていただければと思います。

定量のしかたも時代によって変わっているのですね。
本日は色々ためになるお話ありがとうございました!

林田学解説者: 林田 学(はやしだ まなぶ)

① リーガル:M&M 法律事務所最高顧問 
② マーケティ ング:薬事法ド ット コム社主
③ メディ カル:医療グループ JTA 理事長

東大法大学院卒。大学教授・弁護士を経て現職。平成 14 年度薬事法改正のための委員会委員。 1995 年から 600 社以上の薬事法・景表法とマーケティングの融合に関するコンサル経験を持つエビデンスリーガルマーケティングのスペシャリスト