機能性表示制度|5.2 新制度の内容 戦略の紹介

こんにちは、林田学(Mike Hayashida)です。

機能性表示制度 5.2アウトラインの衝撃!
方向転換する健食新規制

について解説します。 

5月2日に行われた健食新制度の検討会
国が考える機能性表示のアウトラインが示されました。

その内容は、
これまでの議論で原点となっていたアメリカ型からは大きく離れ、

エビデンスには医薬品規制を、
成分規制にはトクホの規制を多く取り入れ、


まさに驚きを禁じ得ない内容となっています。

規制強化につながるだけでなく、
強引に医薬品規制の考え方を取り入れているため
健食規制にはミスマッチな部分があり、
どこが規制緩和なのかと思える改変です。

 

現実的に言うと、OEM供給型の健食プレーヤーの場合、
5.2アウトラインに沿った臨床試験を実施し、機能性表示を行うには
おそらくれまでとは一桁違うコストがかかるのではないでしょうか。

極端な話、この制度がそのまま実施されれば、
中小プレーヤーの中には
健食ビジネスから撤退せざるをえない企業も多く出て来るものと思われます。
今後は資金力ある企業によるM&Aも増えるかもしれません。

 

そこで、今回は、
5.2アウトラインの概要に触れ、
今やるべきこと、今しかできないことに言及し、
新制度下でのマーケティングを考察します。

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 【まず、6月中にすべき判断】 

5.2アウトラインが施行されれば、
大手製販一体型プレーヤーに圧倒的に有利な状況となります。

では、OEM型プレーヤーが取るべき戦略は何でしょうか?

まず、制度実施が予定される来年4月以降に
売上を大きく落としたくなければ、
6月中には新しい機能性表示を導入するかどうかを決める必要があります。

その判断基準として重要なのは、以下です。

(1)ある商品の年商が既に10億以上あるか、あるいはそれを現実的な目標として持っている
(2)そのどちらでもない

つまり、
機能性表示を導入しなければ、10億円以上の年商を実現することは困難なのです。

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 【(1)に該当する場合】  

判断基準の
(1)ある商品の年商が既に10億以上あるか、あるいはそれを現実的な目標として持っている
に該当する場合、 

今回のアウトラインではとてもレベルの高いエビデンスが要求されています。

この基準は今後、
景表法・健増法の合理的根拠の基準にそのまま採用されるか、
少なくとも、大きな影響を与えるでしょう。

たとえば、
便秘のサプリを「朝からスッキリ」などの訴求で年商10億円売っている企業が、
機能性表示を導入しなかった場合、おそらく以下のような感じで推移します。

それなりの規模でプロモーションしているため「朝からスッキリ」の訴求を把握される
消費者庁から「これは結局便秘の効果を暗示していますね」と言われ、
その合理的根拠の提出要求が来る
5.2レベルのエビデンスがない
措置命令を受ける
メディアが「XXサプリに便秘改善効果なし」と報道
その商品の売上が激減する ≒市場からの退場

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消費者庁の措置命令はメディア報道と相俟って、
あるブランドをマーケットから駆逐するに等しい威力を持っています。
昨年のダイエットサプリの事例がそのことを実証しています。

以上の例からすれば、
年商10億円規模の商品は機能性表示を導入し、エビデンスを備えざるをえません。

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※備えるべき「エビデンス」について
こちらの記事に詳細をまとめています。
   ぜひご覧下さい。
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 【(2)に該当する場合】  

判断基準の
(2)そのどちらでもない 
に該当する場合、

ある商品の年商が10億以下であるプレーヤーの
取るべき戦略の一部を
いくつかご紹介していきます。

【戦略1】Systematic
Review(SR)

(A:現行品の場合)

最低1000万円に達する投資となる臨床試験の実施は
予算的に簡単ではありません。

となると、
次に検討すべきはSystematic Reviw=文献調査となります。

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※「
Systematic Reviw=文献調査」ついて
こちらの記事に詳細をまとめています。
   ぜひご覧下さい。
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まず、
HFS(健康食品素材の科学的実証データベース)
現行品の主要成分の有効性を調べてみて下さい。
 

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こちらの記事でも解説している通り
SRの傾向と対策として以下があります。

(1)有効性が示唆されていれば可能性がありますが、これに該当するケースは稀です。
(2)有効性について否定的ならば使用不可能です。
(3)その成分のデータベースがない場合に、新たに自らシステマティックレビューを行うことは可能ですが、その結果は決して期待できるものではありません。

(B:新製品の場合)


ならば、SRで行けそうな成分を使った
新商品のOEM供給を受けたほうが早いかもしれません。
たとえば、CoQ10に関しては、HFSでの記述では
「高血圧患者の血圧低下作用が示唆されている」
とありますので、
「正常な血圧を維持したい方へ」といった機能性表示を行い、
SRをエビデンスとするという方策を採ることが可能です。

但、問題もあります。

第1に、他社も同じことを考えていますので、競争が厳しくなります。
(使える成分に集中し、過当競争となる)
第2に、このようなデータベースで有効性OKの成分は極めて少なく、
勢いOEMメーカーの売り手市場となり、商品価格が高騰しかねません。

どうやら、答えは別のところに求めざるを得ないようです。

【戦略2】オフショア戦略

ご興味がある方は薬事法ドットコムにご相談下さい。
相談窓口はこちら
https://www.yakujihou.com/

【戦略3】機能性をうたわないという戦略

「機能性をうたわない」という戦略もありますが、
その解釈については
薬事法(厚労省)と景表法(消費者庁)にズレがある
ことに注意する必要があります。
つまり、
先にあげた「朝からスッキリ」という訴求は、
薬事法的には効果はうたっていないと解釈され、ギリギリセーフです。
しかし、景表法はそもそもが
「それを言っていたらアウト」という規制ではなく
「エビデンスを求める」(アウトかセーフかはエビデンス次第)
という規制なので、
表現について薬事法より広く解釈する傾向があります。
したがって、「朝からスッキリ」も
「結局は便秘のことですね」「エビデンスを出してください」となる可能性大です。
そして、景表法における健食のエビデンスは
来年4月以降、5.2アウトラインが重要な基準になるでしょうから、
これに対応したレベルのエビデンスでなければ
景表法違反となる可能性があります。
以上からすると、
「構造機能をうたわない」という戦略は、
自分ではうたっていないつもりでも
景表法上うたっていると解釈され
アウトになる可能性があるので、リスキーだと思います。

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