こんにちは。YDCのミッシーです。
特に消費者庁の新着情報欄にも出ていなかった
のですが、実は例年通りの年度替わりのタイミ
ング(4月1日)に、ガイドラインの改正が発
表されていました。ただこの改正は、機能性表
示を担当する「食品表示企画課」の名称が「食
品表示課」に変わったことにより一部の語句が
修正されたというだけのもので、実質的な変更
はありません。
それでは今回の機能性表示最新情報をご紹介し
ます。
I1308 まんぷくすらり精米
「本品および本品の炊飯米には一般の米および
その炊飯米と比較してレジスタントスターチが
多く含まれています。レジスタントスターチが
多く含まれる炊飯米を摂取することにより、レ
ジスタントスターチが少ない炊飯米を摂取する
ときと比べて、健康な方の食後の血糖値の上昇
をおだやかにする機能があることが報告されて
います。」
見ていただくとわかる通り、訴求自体は食後の
血糖値抑制ですが、その表現が一風変わってい
ます。どうしてこのような表現が可能なのか、
詳しく見ていきましょう。
まず前段部分「本品および本品の炊飯米には一
般の米およびその炊飯米と比較して」とありま
す。これは機能性関与成分を修飾した表現と言
えます。
機能性関与成分の修飾的な表現として、よくあ
るのは、「抗酸化作用のある〇〇(成分)
は・・・」というようなケースです。この場合、
「抗酸化作用」のような成分に係る作用は、後
に続く機能性の作用機序になっている必要があ
ります。
一方、I1308の前段部分は、「抗酸化作用」の
ケースとは異なります。この前段の内容は特定
の作用に言及しているのではなく、単に事実を
述べているだけです。よって、この部分が作用
機序の関係になっていなくとも、問題はないと
考えられます。
次に後段として、「レジスタントスターチが多
く含まれる炊飯米を摂取することにより、レジ
スタントスターチが少ない炊飯米を摂取すると
きと比べて」となっています。まるで抄録に書
く試験結果の説明のような言い回しです。
I1308のSRを見ると、5報の論文を採用してお
り、その内の4報はレジスタントスターチが豊
富な炊飯米を介入とし、一般の炊飯米をプラセ
ボとしています。特に、レジスタントスターチ
の有効量の根拠となっているzenel2015で試験
食品がこの設定になっていることから、エビデ
ンスに沿った表現であることがわかります。
仮に、zenel2015がレジスタントスターチをサ
プリのなどの剤型で摂取する試験だったとした
ら、後段の表現は難しかったかもしれません。
最後に一つ、少し懸念に感じた点として、この
届出教示はともすれば、RCTのように商品につ
いての機能性を謡っているように見えかねない
ところがあると思います。これは本品が米(炊
飯米)であり、届出表示中に「炊飯米」への言
及が何度も出てくるからでしょう。もしこれと
似たような届出表示を考えるのであれば、言い
すぎないように気を付ける必要があるのではな
いでしょうか。