機能性表示最新情報 321号 / 日本人の文献に絞る

こんにちは。YDCのミッシーです。

それでは今回の機能性表示最新情報をご紹介し

ます。

I721 切れてる!お刺身しめさばミニ

「本品にはDHA・EPAが含まれます。DHA・EPAに

は中性脂肪を低下させる機能があることが報告

されています。」

さくらフォレスト事件以降、DHA・EPAによる中

性脂肪訴求の事例は極端に減ったように思われ

ます。最近数か月での受理事例は、以下の3件

のみです。

(1)I596 EPA685mg、DHA515

(2)I552 DHA900mg、EPA100

(3)I491 DHA600mg、EPA260mg

当然ですが、いずれもDHA・EPA合計量はさくら

フォレスト事件で基準となった500mgを超えて

います。

(1)のSRはSOUKENが作成、(2)はマルハニ

チロ、(3)は日本健康・栄養食品協会となっ

ています。今回のI721も(3)と同じSRです。

(2)のI552については以前にもご紹介しまし

たが、問題となったさくらフォレスト社が使用

していたSRと全く同じもので、「機能性関与成

分DHA・EPAを1日当たり133 mg以上摂取するこ

とにより、中性脂肪を低下させる機能が認めら

れると考えられる。」と言った記載が各所に残

されています。消費者庁が500mgを基準ライン

としていたことを考えると、上記のような記載

が残されているのは、中途半端な感じがします。

(1)のSRも同様で、「DHA・EPA182mg~

6000mg/日を摂取することにより中性脂肪値が

低下する効果が認められた。」といった記載が

あります。このSRはさくらフォレストで問題と

なったものではありませんが、500mg以下のエ

ビデンスは(2)と大差ないので、やはり上記

の記載は気になります。

事情が異なるのは(3)です。こちらは「本レ

ビューで効果の認められた文献2報の摂取量で

あるDHA 260mg、EPA 600mg/日からトータル量

のDHA・EPA 860mg/日以上の摂取は中性脂肪の

低下作用を有すると結論付けた」とされていま

す。

(1)(2)と(3)の違いは何かというと、

対象者の考え方です。(3)ではPICOにおいて

対象者を「日本人の疾病に罹患していない者

(中性脂肪が正常な者:未成年者、妊産婦、授

乳婦は除く)と中性脂肪がやや高めの者」とし

ています。

検索フローで一次スクリーニングを見ると多く

の文献が除外されているので、この段階で日本

人以外を被験者とした文献は除外され、その結

果(1)(2)とは全く異なる結論になった、

ということだと思います。

文献選択の段階で日本人に限定する、というの

に是非はありそうですが、消費者庁の500mgラ

インに引っかからないという意味では、現状で

はこのSRが一番しっくりくるような感じがしま

す。