機能性表示最新情報 160 号 / 科学的根拠(SR・RCT)の見直しは進むのか?

こんにちは。

YDCのミッシーです。

最近受理された事例の中には、機能性表示制度
初期のSRやRCTを見直したような事例が
いくつかあります。

例えばF7のα-リノレン酸。

元になったのはA82ですが、この時の論文では、
正常高値血圧者とI度高血圧者が分けられて
いなかったとして、

層別解析し再論文化したもので受理されて
います。

4月に始まった事後チェック制度の影響
でしょうか。

これから紹介する事例も、そういった関連かも
しれません。

では、今回の機能性表示最新情報 のご紹介です。

F54 還元型コエンザイムQ10(キューテン)

「本品には還元型コエンザイムQ10が含まれます。
  細胞のエネルギー産生を助け、酸化ストレスを
  緩和する働きがある還元型コエンザイムQ10は、
  日常の生活で生じる身体的な疲労感の軽減に
  役立つことが報告されています。
  本品は身体的な疲労を自覚している方に適した
  食品です。」

還元型コエンザイムQ10は受理事例のある
成分ですが、思い返してみるとしばらく受理を
見ていなかったような気がします。

調べてみると最後の受理はC328で、2年以上前の
ことです。

これは何かあるぞと思ってSRを読み比べてみると、
届出表示はさほど変わらないまま、F54は内容が
リニューアルされていました。

新旧SRの内容を簡単にまとめてみると次の
通りです。

まずC328で採用されている旧SR。

採用文献は5報。アウトカムは、
[A]身体的疲労感、[B]精神的疲労感、
[C]唾液中IgA、[D]身体的活動能力

ですが、このうちでAとBには群間有意差が
ありません。

CとDは客観的な指標にあたりますが、
それだけをもって疲労「感」という主観的な
機能性を導くのは少し苦しい感じがします。

しかし、それよりも問題なのは、CとDで
採用されている論文の還元型コエンザイム
Q10量は150~300mgで、本品の100mgよりも
多いということです。

これでは本品の機能性の根拠にはなりません。

対してF54の新SR。

採用文献は6報。

アウトカムは旧型と同じABCDです。

文献としてMorikawa2019を追加していますが、
これによって旧型の欠点をカバーしたものと
思います。

Morikawa2019は還元型コエンザイムQ10を
100mg摂取で、AとBについて、高ストレス者で
層別解析を実施、4w後に群間有意差あり、
となっています。

これならば、本品の機能性である「疲労感」
を導くことが可能になります。

ところで、旧型のSRを採用している事例に
ついては、今後、撤回して出し直しなどの
動きがあるのでしょうか。

今までなら、一度受理されたものについては
よほどのことがない限り、見直しになることは
ありませんでしたが、

今は事後チェック制度があります。

今のところはコロナ禍の影響もあって目立って
大きな動きはないように感じますが、
これからの動向には要注目かもしれませんね。

それでは、またメールしますね。