機能性表示最新情報 161 号 / 単回摂取と継続摂取の明示

こんにちは。

YDCのミッシーです。

最近になって届出が受理された方々のところへ、
事後チェック制度が始まったことを

お知らせするメールが消費者庁より届いて
いるようです。

内容としては、事後チェックの内容を確認し
広告には気を付けましょう、という程度の
ものですが、

発信元が機能性表示を管轄する食品表示
企画課ではなく、景表法に関係する表示
対策課になっています。

事後チェックには、表示対策課の意向が
反映されている、と林田先生が何度も
仰っていましたが、まさにその通りという
感じですね。

さて、

今回の機能性表示最新情報 ですが、
「単回摂取を届出表示に盛り込めないか?」
というご相談があったので、その点を
考えてみたいと思います。

そもそも、単回なのか継続なのかは、
エビデンスとする文献の研究デザインに
依存します。

この点をうまく使い分けている事例として
次のようなものがあります。

E332 梅丹 梅肉エキスb

「本品にはクエン酸が含まれます。
  クエン酸は日常生活における軽い運動後の
  一時的な疲労感を軽減することが報告
  されています。
  さらに、クエン酸は継続的な摂取により、
  日常生活の疲労感を軽減することが報告
  されています。」

この事例では摂取の方法として、

[1]運動後の一時的な疲労感:運動前に
     本品3g(単回)

[2]日常生活の疲労感:本品9g(継続)

と設定することで、単回と継続のエビデンス
と機能性の対応をうまく使い分けています
(単回のエビデンスの強さは微妙という
問題はあるのですが、使い分けの点では
忠実と言えます)。

一方で、単回と継続の区別が曖昧なこんな
事例もあります。

E867 琉球黒もろみ酢GABA(ギャバ)
      リッチ

「本品にはGABAが含まれます。
  GABAの継続的な摂取により、(1)日常
  生活で生じる一時的に落ち込んだ気分を
  前向きにする〔活気・活力感  (積極的な
  気分、いきいきとした気分、やる気など)
  の低下を軽減する〕機能、(2)デスクワーク
  などの事務的作業によって生じる一時的な
  精神的ストレスと疲労感を緩和する機能、
  (3)睡眠の質(眠りの深さ)の向上に役立つ
  機能、(4)すっきりとした目覚めをサポート
  する機能、(5)血圧が高めの方の血圧を下げ、
  正常な血圧を維持する機能があることが
  報告されています」

文脈から見て、
「GABAの継続的な摂取により」は、
届出表示全体にかかっていると思われ
ますが、(2)の精神的ストレスと疲労感に
ついては、採用文献が単回となっています。

単回で効果があるのだから、継続でも効果が
あるということだと思いますが、冒頭に
「継続的な摂取により」をつけているだけに、
ちょっとスッキリしない感じもします。

摂取の方法についても、1日3球(GABA100mg)
の摂取とされているだけで、使い分けは
ありません。

さらに、これまでの届出事例全体から
見てみると、単回か継続かを明示することは
あまり多くないようです。

例えば、難デキを代表とする食後血糖値の
訴求では、試験デザインは単回ですが、
「食後の血糖値の上昇を抑制する」とある
だけで、単回かどうかを明示してはいません。

反対に、イヌリンなどには継続摂取の
文献を根拠に食後血糖値を訴求した
ものもありますが、届出表示は上記と
同様で受理され、ことさらに継続摂取を
示すことはありません。

こう考えてみると、単回・継続表現の
明示については必要性が曖昧です。

ただ、E867のように複数の訴求をする
場合には、明示すると表現が複雑になる
可能性がある、とは言えそうです。

結局、E332のように、明確な目的をもって
使い分ける場合を除いて、単回・継続の
明示はないほうが無難かもしれませんね。

それでは、またメールしますね。