機能性表示最新情報 114 号 / ピペリンと ピペリン類の違い

こんにちは。

YDCのミッシーです。
7月1日に機能性表示のガイドラインと、質疑応答集に、
一部改正がありました。
とは言っても、その内容はとても些細なもので、

一部用語の変更や、質疑応答集の設問を一つ増やした
だけのものです。
その増えた設問と答えが次です。
問 124 届出を公表するまでの期間はどのくらいか。
届出に不備がない場合、消費者庁に届出資料が
提出された日から 50日※を超えない期間に公表する
ことを目標としている。
なお、届出に不備がある場合は、同様の期間に差戻しを
行うことを目標としている。※ 問 77 に示す
「機能性表示食品(再届出)」の場合は 30日
消費者庁では以前、届出資料提出から公表まで55日を
目標としている、としていましたから、少し早くなったと
言えるでしょうか。
また、「再届出」は、既に受理された事例をもとに、
書類の確認を簡略化する仕組みですが、これまで
どの程度期間がかかるのかはっきりしていませんでした。
これが30日以内と明記されたことは、利用される方に
とってはスケジュールの目途が立ちやすくなりますね。

さて、

今回のご紹介事例は、「ヒハツ」です。
E84 冷えケア

「本品にはヒハツ由来ピペリン類が含まれるので、
  寒さにより低下した血流(末梢血流)を改善し、
  体温(末梢体温)を保つ機能があります。
  本品は冬期や冷房による末梢の冷えが気になる方に
  適しています。」
届出者はファンケルさんで、RCTによるものです。
ヒハツ由来ピペリン類は初出の関与成分ですが、
これにとても近いものが既にあります。
D11 ナチュラルケア タブレット(粒タイプ)

「本品にはヒハツ由来ピペリンが含まれています。
  ヒハツ由来ピペリンには、血圧が高めの方の血圧を
  改善し、正常な血圧を維持する機能があることが
  報告されています。」
こちらは大正製薬さんがA番代の頃から出している、
血圧訴求の商品シリーズです。
関与成分は、ヒハツ由来ピペリンであり、「類」は
ありません。
E84では、ヒハツエキス中のピペリン、イソピペリン、
シャビシン、イソシャビシン、ピペラニンの含有量を
合算したものを、ピペリン類としています。
作用機序においても、これら5つの成分に機能性
(血管の弛緩作用)が関与していることを示唆し、
ピペリン類以外の成分には機能性がないことを
自社試験によって検証しています。
一方でD11は、機能性に関与するのはピペリンのみ
として、イソピペリン、シャビシン、イソシャビシン、
ピペラニンには触れていません。
作用機序においても、D11はピペリンを含んだ群と、
ピペリン標準品の群を比較し、両方の群で血管の
弛緩作用を確認したが、

ピペリンを含んだ群と、ピペリン標準品の群で効果の
大きさに有意差はなかったことから、機能性に
関与するのは、ピペリンのみであるとしています。
この両者の作用機序は、ともに血管の弛緩作用に
ついて検証したものですが、その結果は異なった
ものとなったわけです。
これらを踏まえて、E84で関与成分をピペリンではなく、
ピペリン類とした背景には、2つの可能性が考えられる
のではないでしょうか。
1.D11の頃はOKとされていた作用機序だが、その後に
  消費者庁の知見が増すなどして、より細かい所まで
  追及されるようになった。
2.個別の作用機序から是非を判断しており、
  E84とD11で結論が異なったとしても、その点は
  問わない。
消費者庁の判断がどちらにあるのか興味深い
ところですね。
ではまたメールしますね。