機能性表示最新情報 112 号 / HMB歩行改善の現在

こんにちは。

YDCのミッシーです。
歩行改善の問題で撤回が行われたHMBですが、
最近では、届出表示の装いを少し変えた、
新たな受理事例が増えてきました。
そこで今回は、新たに受理されたHMBと歩行の関係に
ついて、SRごとに比較しながらまとめてみたいと
思います。
まずは、HMB事例のご紹介。
E71 皇潤 歩

「本品には、HMBカルシウムが含まれます。
  HMBカルシウムには、自立した日常生活に必要な
  筋肉量と筋力を維持し低下を抑えること、健常者の
  歩く力を助けることが報告されています。」
届出者はエバーライフさん。
HMBとして基本のクレームである筋肉の維持に加えて、
歩行にも言及したタイプの事例です。
歩行クレームの点で見たとき、現在のHMBには3つの
タイプがあります。

(1)歩行機能なし(+腹部の脂肪)

(2)「立つ・歩くための筋力」(筋力の中に織り込む)

(3)「歩く力を助ける」
機能性関与成分の名称としては、いずれも
「HMBカルシウム」又は「カルシウム ビス-3-ヒドロキシ
-3-メチルブチレートモノハイドレート」としており、
括弧の有無などの違いはあるものの、概ね統一されています。
(1)歩行機能なし(+腹部の脂肪)

      従来の届出表示から、歩行機能に関するものを
      取り除いたものです。
      それ以外の点では、撤回以前と大きな違いは
      ありません。
      含有量を3gとして、腹部の脂肪入れたタイプも
      あります。
(2)「立つ・歩くための筋力」(筋力の中に織り込む)

      HMBの原料メーカーである小林香料さん作成のSRの
      パターンです。

      採用文献は6報。

      この中のBerton2015には、副次アウトカムとして
      歩行機能が設定されているはずですが、それを
      SRの評価としては取り上げていません
     (歩行機能の改善を謳った従来型は、このアウトカム
      を根拠としていました)。

      このタイプのSRでは、筋力の指標の一つである
      膝等尺性収縮筋力を取り上げ、「膝等尺性収縮筋力は、
      運動能力との関係性が報告されており、
      「立つ、歩くための筋力」と解釈できる。」とする
      ことで、筋力の中に歩行クレームを織り込んでいます。
(3)「歩く力を助ける」

      今回ご紹介したE71のSRです。

      採用文献は4報。

     (1)や(2)で採用されているNissen1996、
      Gallagher2000については、未成年者が含まれている
      として除外。

      それ以外の4報については、上記二パターンと同一です。

      SRのアウトカムとして、(2)では採用されなかった
     「歩行機能」を採用。Berton2015の指標である6MWT
     (6分間の歩行距離試験)の結果から、歩行機能が
      改善したとしています。

      ここまでのロジックは、撤回となったHMB歩行機能改善の
      事例群とほぼ同一です。

      一方でE71では、別紙様式(5)-16において、
      次のような説明を入れます。

      「歩行機能」は、消費者にとって理解しがたい
      表現であり、当該採用文献で行った試験(6MWT)は
      歩く能力(歩く力)を評価する試験であるため、
      表示しようとする機能性としては、平易な表現で
      「歩く力」とした。

     「改善」は医薬品を標榜する表現と受け取られる
      可能性があるため、本品は補助的な役割であることを
      踏まえ「助ける」という表現とした。

E71の事例からは、歩行のクレームについてどう表すか、
まさに「表現」が重要ということが見えてきますね。
ではまたメールしますね。