機能性表示最新情報 110 号 / エキスの事例が初登場

こんにちは。

YDCのミッシーです。
先週、エキスの事例が出てくるのはいつになるのだろう?
という話をしましたが、なんと、今週早々と第一 号が
登場してしまいました。
それが次の事例です。
E20 桃屋のいつもいきいき

「本品には熟成にんにくエキスが含まれますので、
 睡眠の質を向上する機能があります。
 また、日常生活で生じる疲労感を軽減する機能が
 あります。」
届出者は桃谷さん。
届出日は4月11日となっていますから、事前にエキス
届出の準備を済ませ、解禁を待っていたというところ
でしょうか。
それにしても、1回で受理されるというのは凄いですね。

さて、

エキスの届出における一つのポイントは、同等性について
どう証明するか、ということになると思います。
それを論じるのは「別紙様式(3)-4 安全性及び機能性の
評価におけるエキス等の同等性の評価」ですが、
この様式はフリー記述形式。
空白の様式書類を前に悩む方も多いのではないでしょうか。
そこで今回はE20の事例をもとに、別紙様式(3)-4に
フォーカスを当てていきたいと思います。
この様式で求められていることは、安全性や機能性の
エビデンスとした論文等と、本品の同等性に問題がない
ことを示すことです。
そのためにE20では、それぞれで使用されたエキス、
商品のパターン分析を提示し、同等性に問題がない
ことを説明しています。
安全性、機能性、それぞれ見てい行きましょう。
まずE20の安全性の評価については、喫食実績なし。
既存情報では、安全性試験の文献1報を検索していますが
これは不十分(vitro、vivoはOKだが、ヒト試験が足りない)
として、追加の安全性試験(ヒト試験)を実施、

というように「既存情報のvivo、vitro」プラス 
「ヒト試験の実施」で安全性の確認をしています。
そこで、エキスにおいて既存情報の安全性評価を用いる
場合について、ガイドラインには次のようにあります。
「エキス等について安全性の科学的根拠を評価する際には、
 届出をしようとする食品と安全性に関する科学的根拠を
 得た際に用いられた食品について、エキス等の規格の評価、
 パターン分析等によるエキス等の同等性の評価を行う
 必要がある。」
つまり、すくなくとも「既存情報のvivo、vitro」の部分に
ついては、同等性を示す必要があるということです。
追加の「ヒト試験」については、本品であればパターン
分析まではいらないように思いますが、

ここでは「ヒト試験」で使われたものが、後述する
「試作品」であることから、パターン分析を用いて同等性の
説明を行っているようです。
既存情報で検索した1報は、実際には、自社が過去に行った
試験のようですから、

パターン分析などの資料を入手可能ですが、そうでない場合は、
既存情報で同等性の評価を行うことはかなり難しいと
言えそうです。
ところで、先述したガイドラインの引用には、次のような
続きがあります。
「また、届出しようとする食品が、錠剤、カプセル形状の
 食品の場合には、崩壊性試験及び溶出試験による最終製品
 としての同等性の評価を行い、届出資料中(別紙様式
 (3)-4)で分析結果を示す必要がある。」
E20は液剤であるためこの点には触れられていません。
しかし、届出をする食品の剤型によっては、上記の資料も
必要となります。
次は、機能性のエビデンスである論文と本品の同等性に
ついてです。
E20では、試験に使われた食品は、ロットサイズが異なる
(試作品)だったとして、本品との同等性を示すために、
パターン分析を示しています。
これは全く正しい方法だとは思いますが、その一方で
従来のRCT型届出における試作品の扱いでは、
パターン分析の提示までは必要とされず、

同等性について考察するのみで受理されていました。
エキスにおいては、RCTであってもパターン分析必須で
あるかどうかについては、まだ事例が一つだけである
ためにはっきりしません。
ただ、エキスではとかく同等性が問題とされること、
最初の事例であるE20が今後の規範になっていく
可能性を考えると、

資料を確保しておいた方が安心と言えます。
なお、SRの場合は間違いなく同等性を示す資料が
必要となります。
自社試験以外の論文を採用文献としている場合は、
パターン分析などを手に入れるのは難しく、
RCT以上にハードルが高くなりそうです。

ではまたメールしますね。