機能性表示最新情報 275号 / イライラ感はVASだけで言えるのか?

こんにちは。YDCのミッシーです。

それでは今回の機能性表示最新情報をご紹介
します。

◆H561 アスタキサンチン アクティブ

「本品にはアスタキサンチンが含まれます。
アスタキサンチンは、仕事や勉強に伴う一時
的なストレス(イライラ感)を緩和する機能
があることが報告されています。」

H561は1報採用のSR。興味深いのは、「一時
的なストレス(イライラ感)を緩和する」に
ついてVASによる一項目の効果指標のみで評
価している点です。

この点を考えるために、これまで「イライラ
感」を言っていた事例と、その効果指標をま
とめると以下のようになります。

■H301 ローズマリーa

「本品にはローズマリー由来ロスマリン酸が
含まれます。ローズマリー由来ロスマリン酸
には、一時的なイライラ感および日中の眠気
を軽減する機能があることが報告されていま
す。」

効果指標:POMS
POMSの「怒りー敵意」をイライラ感と表現。

■H141 からだにユーグレナ やさしいマス
カット&ハーブ味

「本品はユーグレナグラシリス由来パラミロ
ン(β-1,3-グルカンとして)を含みま
す。ユーグレナグラシリス由来パラミロン
(β-1,3-グルカンとして)には、作業
時の一時的なストレス(イライラ感、緊張
感)を緩和する機能、睡眠の質(眠りの深さ、
すっきりとした目覚め)を改善する機能が報
告されています。」

効果指標:SF-36、POMS、VAS
VASによるイライラ感から導く。

■G8 ワタナベオイスターDHМBA(ディ
ーバ)ゼリーS

「本品には、牡蠣肉抽出上清由来3,5-
dihydroxy-4-methoxybenzyl alcoholが含ま
れるので、仕事などで生じる一時的なストレ
ス(イライラ感)を緩和し、睡眠の質(夢
み)を向上させる機能があります。また、日
常生活で生じる中高年の方の一過性の疲労感
を軽減する機能があります。」

効果指標:職業性ストレス簡易調査票
「領域 B【ストレスによっ ておこる心身の
反応】」の「Irritability」から導く

上記から見ると、H561は、VASを採用した
H141に近いように見えます。ただ、H141では
SF-36やPOMSなどの他のストレス系指標も組
み合わせています。

VASのみで評価している点についてH561は、
「VASは広くコンセンサスの取れた手法であ
り、一時的な疲労感、ストレスを評価する指
標として広く採用されている」としています。
実際、疲労感などではVAS単体で評価をして
いる事例がいくつか受理されています。

疲労感については、「抗疲労臨床評価ガイド
ライン」で、疲労感の評価方法の一つとして
VASが推奨されていることから、VASを用いる
ことは学術的にコンセンサスが取れていると
言っていいと思いますが、ストレスについて
はどうなのか、という疑問があります。疲労
感とストレスは同じようなものと考えること
もできますが、そうであっても少し説明が欲
しいところではないでしょうか。

もう一つH561で気になっているのは、採用文
献リストの主要アウトカムにはPOMSが記載さ
れているのに、そのことについては一切言及
されていないことです。先に示した事例から
もわかるように、POMSはストレス評価とは関
係性の高い指標です。結果が思わしくないの
かもしれませんが、何も触れないのは恣意的
な印象が出てしまいます。

全体的にみると、VASだけで「一時的なスト
レス(イライラ感)を緩和する」をいうのは、
エビデンスとしてはちょっと物足りない感が
あります。やはりほかのストレス系の指標と
も組み合わせるのが、確実ではないでしょう
か。

それでは、またメールしますね。