機能性表示最新情報 274号 / 一時的な不安感を軽減するエビデンス

こんにちは。YDCのミッシーです。

それでは今回の機能性表示最新情報をご紹介
します。

◆H518 SANKYO(サンキョウ)バコパ
&脳+(プラス)

「本品にはバコパサポニンが含まれます。バ
コパサポニンには、加齢により低下する認知
機能の一部である記憶力(日常生活で見聞き
した情報を覚え、思い出す力)を維持する機
能や、一時的な不安感を軽減する機能がある
ことが報告されています。」

今回注目するのは「一時的な不安感を軽減す
る機能」です。この種の訴求については、こ
れまでにも幾つか事例があります(例えば
E555やG425など)。今回のH518では、2報の
論文を採用し、それぞれSTAI(状態不安)と
VASを効果指標としています。

気になるのはSTAIの数値です。別紙様式5-11
によると、対照群(前値:11.9±2.6、後
値:12.8±2.4)、介入群(前値11.7±2.4、
後値:9.6±1.7)とされており、群間有意差
ありとなっています。

一方で、SR中には効果指標であるSTAIについ
ての説明があり、それによるとSTAIでは不安
感について段階1(非常に低い)-段階5(非
常に高い)で評価が行われることになってい
ます。

そして状態不安についての段階1(非常に低
い)の数値は男性20-22、女性20-21とされて
います。そうなると、別紙様式5-11で示され
た値は段階1にも到達していないことになり、
そもそも不安感がある状態なのだろうか、と
いう疑問が湧きます。

例えば先に挙げた過去の不安感軽減の事例で
あるE555やG425でもSTAIを効果指標としてい
ますが、その値は30-40前後となり、先の5段
階評価で言うと段階3(普通)となり、H518
とは大きく異なります。

H518で採用されているもう一つの指標はVAS
ですが、こちらは特に数値は示されておらず、
群間有意差ありと示されているのみです。
VASについては「VAS スコアは STAI の状態
不安スコアと相関することが知られている」
とされてはいるものの、エビデンスとしては
少し物足りない感があるのではないでしょう
か。

「一時的な不安感を軽減する」機能について
考えてみると、おそらくスコアが高すぎると、
疾病的な暗示をしてしまうことになると思い
ます。反対にどの程度の低スコアであれば、
健常者でありながら一時的な不安感に該当す
るのか、という点が問題になってくるため、
なかなか難しい訴求領域ではないかと思いま
す。

それでは、またメールしますね。