機能性表示水面下情報~204号~ 科学のプロ故損をしたDHA・EPA!?(2)

弁護士出身の実業家・林田です。

前回に続き、ホームズとワトソンの対話です。

ワトソン:前回の話では、M社は「科学的真

実を正直に描きすぎて損をした」という感じで

した。

なぜこんなことになったのでしょうか?

ホームズ:機能性表示の世界は、半分は科学の

世界だが、半分は情報と政策の世界だという認

識が不足していたのではないかと思う。

ワトソン:科学のロジックからすれば、

Burns、Garcia、Rajkumarと3つの否定文献

があったとしても「totality of evidence」の観

点により「全体としては肯定的」という結論を

導きうる、と考えたのでしょうか?

ホームズ:そう思う。M社の反論でもそう述

べている。少々長いが引用してみよう。

「本研究レビューは、貴庁ガイドラインに従

い、網羅的に広く情報を検索し、恣意的な文献

の除外をしていないため、非常にレンジの広い

研究レビューになりました。しかし、適切な

PICOに基づいて調査した論文において評価す

ることが、「totality of evidence」であり、特定

の論文や特定の摂取量以下のみで議論するべき

ものでないことと理解しております。その観点

から、当該商品の含有量による有効性を否定す

るものではなく、判断は適切であったと考えて

います。

一方、設定量付近の採用論文、No.282(133

mg)、165(250 mg)、248(261 mg)、757

(300 mg)、054(463 mg)は、282と248は

群間有意差で効果が認められ、757は介入前後

で有意差あり(対照群は有意差無し)、054に

ついては、有意差は無いが介入群のみ低下傾向

ある報告です。本来、「totality of evidence」の

観点であれば、研究レビューの中の特定の設定

量以下のみで議論するのは適切ではありません

が、あえて評価したとしても効果有と判断でき

ると考えられます。」

ワトソン:不満たらたらですね。

ホームズ:しかし「totality of evidence」とは

マジックワードで、そこは消費者庁が裁量で決

めることができる。

その決定の過程では、政策的配慮も登場する。

ワトソン:科学的真実だけでは話は決まらない

わけですね。本件にはどのような政策的配慮が

あったのですか?

ホームズ:「6月30日に措置命令が出た」とい

う点が重要だ。

ワトソン:科学的に精緻なSRを作ることも大

事だけど、そういう政策的配慮の情報を収集す

ることはもっと大切そうですね。

そのためにはどうしたらよいのですか?

ホームズ:YDCのような情報収集に長けた会

社のサポートを受けることだね。

詳しいことは、8月23日に行われたセミナー

「機能性表示食品で初! 科学的根拠で措置命

令! ~何がいけなかったのか?今後どうすれ

ばよいのか?~」を録画視聴するとよい(お申

込みはこちら>

https://www.yakujihou.com/seminar/s20230823/)。