今日はQ&Aです。
Q.
ひざの不快感をヘルスクレームとしたいと
考えています。
JKOM総得点では群間有意差が出ません。
そこで、年齢・性別・BMIで層別解析したのですが
それでも群間有意差を導けません。
何か手はないでしょうか?
A
1.
層別解析でも群間有意差を導けないときの
一手として
「傾向スコア解析」
が考えられます。
「傾向スコア解析」は、アクティブの被験者と
ベストマッチのプラセボの被験者を抽出し、
アクティブ群とプラセボ群を比較すると、
より適切な比較ができる、
という考え方に立脚した解析方法です。
2.
たとえば、アクティブ群がA~Eの5名(A~Cが男)、
プラセボ群がF~Jの5名(H~Jが男)で、
JKOMスコアに関し両群を比較しても
群間有意差は出ない、とします。
そこで、性別をパラメーターとして
層別解析します。
つまり、ABC 対 HIJ(男のみの比較)、
DE 対 FG(女のみの比較)にトライするも
やはりダメ。
これが層別解析で行き詰った状況です。
3.
普通の試験機関はここでギブアップですが、
私たちはこの後さらに傾向スコア解析に
トライします。
Aに関して「性別」というパラメーターで
ベストマッチするのはHIJですが、
そのうちだれが解析対象として残るかは
次のパラメーターを何にするかによって
変って来ます(共変量)。
結果、たとえば層別解析だと、
「ABC 対 HIJ」
という比較になるのに対し、
傾向スコア解析だと
「ABC 対 HI」
という比較になる
といった状況が発生し、
層別解析では導けなかった群間有意差が、
傾向スコア解析では導ける場合も出て来ます。
4.
受理事例において
傾向スコア解析を用いている例として
D126(クリオイル由来 EPA・DHA)があります。
YDCの機能性表示データブック
(申し訳ありませんが、薬事チェック会員か
機能性会員しか見れません)
では、こうコメントしています。
“「クリルオイル500mgを4w摂取し、
VASとJOAでは群間有意差なし。
全体の解析で、高感度CRPとJKOMの下位項目
「この数日間、靴下をはいたり脱いだりする
ことはどの程度困難ですか」(Q靴下)と
「この数日間、日用品などの買い物は
どの程度困難ですか」(Q買い物)のみ
群間有意差あり(いずれも測定値)。
そこで被験者の体重・BMI・CRPを共変量とした
傾向スコア解析(追加解析Ⅰ)と
膝の痛みの程度・JKOM の総得点・JOA の
両足の平均スコアを共変量とした
傾向スコア解析(追加解析Ⅱ)を行ったところ、
追加解析ⅠではJKOMの下位4項目で
群間有意差あったが、Q膝とQ買い物に
群間有意差なし。
追加解析ⅡではQ靴下のみ群間有意差あり
(測定値と変化量)。
このことから
「靴下をはいたり脱いだりする時の
膝の違和感を軽減する機能があります」
を導く」”
(追加的解析を2度行っている理由は不明)
5.
傾向スコア解析に興味のある方は
info@yakujihou.com 濱野までお問合せ下さい。
■機能性表示データブックは、
機能性会員になると閲覧できます。
月額1万円(税別)です。
ご入会はこちらから
>>>https://www.yakujihou.com/kinousei/form-register/