機能性表示最新情報 119 号 / サラシノールと ネオコタラノールと形式審査

こんにちは。

YDCのミッシーです。
サラシア由来サラシノールと言えば、
食後血糖値の上昇抑制を訴求する成分として、
以前から一定の人気があるものです。
ところがこのサラシアには、少し前から一つ
問題が発生しています。
それは、サラシアエキスには他に機能性を
有する成分が含まれているのではないか、
という疑念があり、

そういう趣旨で差し戻されている例と、
そこがスルーされて受理されている場合が
あることです。

さて、

以上を踏まえたうえで、今回ご紹介する二つの
事例をご覧ください。
E185 サラシア

「本品にはサラシア由来ネオコタラノールが
  含まれます。サラシア由来ネオコタラノール
  には、糖の吸収を抑え、食後血糖値の上昇を
  ゆるやかにする機能があることが報告されて
  います。食後血糖値が高めの方に適した
  食品です。」
E204 サラシア

「本品にはサラシア由来サラシノールが
  含まれます。サラシア由来サラシノールは、
  食事から摂取した糖の吸収を抑え、食後
  血糖値の上昇をゆるやかにする機能が
  報告されています。」
奇しくも商品名も含めて似通った二つの
事例ですが、機能性関与成分について
ネオコタラノール、サラシノールという
違いがあります。
まずE185は小林製薬さんによる届出で、
採用文献1報によるSR。
文献は小林ら2010
「サラシアエキス配合食品の食後血糖上昇抑制効果」
機能性関与成分をネオコタラノールとしている
理由については、作用機序に次のように記載が
あります。
「サラシアエキス中のαグルコシダーゼ阻害活性が
  報告されている成分のうち、エキス中の含有量
  およびマルターゼ阻害活性の強さより、
  ネオコタラノールが主たる活性成分であった。
  また、サラシアエキスのマルターゼ阻害活性と
  ネオコタラノール含量は高い相関を示し、
  阻害活性はネオコタラノール含量に依存する
  ことを確認している。
  以上より、本品の機能性に関して、
  ネオコタラノール以外の成分の寄与は無視でき、
  ネオコタラノールのみを関与成分とすることは
  適切と考える。」

他方、E204は、2報採用のSRで、採用文献は、

[1]北林ら2007 「サラシアエキス含有飲料の
   食後血糖上昇抑制効果と長期摂取および
   過剰摂取の安全性の検討」

[2]Nobukoら2017 「A study for evaluating 
   the effect of the intake of meal 
   containing Salacia extract on postprandial 
   hyperglycemia」
サラシアエキス中のサラシノールのみに
機能性があることの説明は、以下の作用機序です。
「サラシアエキスのα-グルコシダーゼ IC50
  (作用を 50%阻害する濃度)の逆数と
  サラシノール含量に正の相関関係
  (α-グルコシダーゼ阻害活性が高ければ
  高いほどサラシノール含量が高くなる)が
  得られたことや、その他成分の含有量および
  活性からサラシノール以外の成分は血糖値
  上昇抑制作用に影響を及ぼしているとは
  考えられず、サラシノールが機能性関与成分
  であることは明白であると判断した。」

さて、二つの事例を見比べると、どちらの
言っていることが正しいの? という気に
なります。
一方ではαグルコシダーゼ阻害活性を示すのは
ネオコタラノールであるとするのに対し、
もう一方では、サラシノール以外の成分は
関係ないとしているためです。
ただし、比較は行わず、個別の事例としてだけ
見れば、どちらもロジックはきちんとしています。
そして、このロジックとして問題がないという
ことが重要で、消費者庁も学問的な真偽には
踏み込まず、形式審査として受理しているのでは
ないかと思います。
そう考えれば、冒頭で述べたサラシノールに
発生していた問題についても、

資料中のどこかで筋の通った説明がなされて
いたかどうか、ということが受理の明暗を
分けていた、と言えるのではないでしょうか。
ではまたメールしますね。