機能性表示最新情報 117 号 / 産地縛りのある関与成分

こんにちは。

YDCのミッシーです。
先週の機能性表示最新情報 の冒頭で、「原料原産地表示」
の話題を出しました。
今回もまた、「産地」にまつわるお話です。
早速事例をご紹介しましょう。
E137 RAYDEL Policosanol10
     (レイデル ポリコサノール10)

「本品には、キューバ産サトウキビ由来ポリコサノールが
  含まれます。キューバ産サトウキビ由来ポリコサノールは、
  血中総コレステロールやLDL(悪玉)コレステロールを
  低下させ、LDL(悪玉)コレステロールとHDL(善玉)
  コレステロール値の比率を改善することが報告されて
  います。総コレステロールや悪玉(LDL)コレステロールが
  高めの方に適した食品です。」
この事例を最初に見たとき、キューバ産サトウキビ由来? 
と怪訝に思いました。
機能性関与成分名について、原産地による縛りがつけられて
いたからです。
これは初めての事例です。
それでは、このキューバ産サトウキビ由来ポリコサノールと
産地縛りの意味について見ていきます。
まず、研究レビューである別紙様式5-4に次のような
記載があります。
サトウキビはキューバの主な経済的作物であり、
昔国民総生産の約25%、総輸出額の80%を砂糖が
占めていた。
1990 年代早期、キューバの研究者はキューバ産サトウキビ
由来ポリコサノールを作製し独特な成分組成を持つ。
その成分 組成は 
1-tetracosanol(1-テトラコサノール)0.01~2.0%、
1-hexacosanol(1- ヘキサコサノール)3.0~10.0%、
1-heptacosanol(1‐ヘプタコサノール)0.1 ~3.0%、
1-octacosanol(1-オクタコサノール)60.0~70.0%、
1-nonacosanol (1-ノナコサノール)0.1~2.0%、
1-tricontanol(1-トリアコンタノール)10.0~15.0%、
1-dotriacontanol(ドトリアコンタン-1-オール)5.0~10.0%、
1-tetratriacontanol(1-テトラトリアコンタノール)0.1~5.0%
で規格化されている。
また、採用文献6報のうち、5報がキューバの研究
(残りの1報は韓国ですが、これはアジア人への外挿性を
示す目的があると思われます)であり、

試験品の原材料は本品と同じ、つまりキューバ産サトウキビ
である、ということ。
たしかに「キューバ産サトウキビ」が強調されているように
思えますが、一方でその規格は、前記したように明確に
定められていることから、

なにもキューバ産に限らずとも、規格に適合していれば
他の産地でも同等性に問題はないように思えます
(もちろん、そんな都合の良いサトウキビがあるのか、
という問題はあります)。
その同等性の証明にしても、実際に行うべきことは、
E137の定量・定性と同様に、ポリコサノールを構成する
規格成分全てを分析することになりますから、
手間は変わらないと言えるでしょう。
そう考えると、産地名を入れるという縛り自体の影響は、
さほど大きなものではないということになります。
届出申請上、入れることが必須とも思えません。
むしろ、産地を明示したいという意図が届出者にあって、
わざわざ入れたのではないでしょうか。
実際、関与成分に産地名を入れることができるという点には、
興味を惹かれる方もいると思います。
例えば、地方の特産品を健康食品素材として売り出したい
という方(最近、こういうご相談が結構あります)。
こういう方にとっては、ある種のブランド化にもなって、
面白い選択肢と言えるのではないでしょうか。

ではまたメールしますね。