機能性表示最新情報 197号 / 「お腹のつらさ」訴求

こんにちは。YDCのミッシーです。
 
コロナ禍は運動不足やストレスの増大を招き、
コロナ太りが問題になっている、として
ダイエット系の機能性表示食品が伸びている
というニュースを見ました。
 
 
ちょっと前は、同じくコロナによるストレスの
影響で睡眠系の機能性表示食品が増えている、
なんていう記事も見た気がします。
ダイエットに睡眠にと忙しい限りですが、
それだけ機能性表示が広がっている
ということなんでしょうね。
 
 
さて、それでは今回の機能性表示最新情報のご紹介です。
 
 
F947 ビフィズス菌N708タブレット
「本品には、独自のビフィズス菌N708株
 (B.breve N708)が含まれます。
 ビフィズス菌N708株(B.breve N708)には、
 お腹のつらさを和らげ、お腹の調子を整える
 機能が報告されています。」
 
 
届出者は日清食品さんで、1報採用のSR。
ビフィズス菌N708株は初出の機能性関与成分で、
届出表示には「お腹のつらさ」を入れています。
「お腹のつらさ」と言えば、
過去に次のような事例がありました。
 
 
D245 カゴメラブカロン
「本品には、ラブレ菌(Lactobacillus brevis
  KB290)とβ-カロテンが含まれるので、
  お腹のつらさを和らげ、お腹の調子を整える
  機能があります。
  お腹の調子に悩む方にお勧めです。」
 
 
こちらはカゴメさんで、RCTによる届出と
なります。
さて、届出表示はほとんど同じ両者ですが、
「お腹のつらさ」を導く効果指標に違いが
あります。
 
まずD245では、別紙様式5-2の記載されている
通り、Lickert scale 法を採用しています。
 
 
これは、24 時間以内に感じた腹痛のうち
最も強かった腹痛の程度を測る指標で、
アメリカの食品医薬品局が過敏性腸症候群向け
治療薬の評価ガイダンスにおいて、
腹痛強度を評価するために推奨されているもの、
としています。
 
 
つまり、「痛み」のことを「つらさ」と表現
しているわけです。
 
 
対して、今回のF947では出雲スケールを指標と
しています。別紙様式5-4では、出雲スケールは
「消化管症状に関連した QOL 低下を包括的に
評価する指標」としています。
 
 
さらにこのスケールの評価で、
「「強いストレスを感じた時におこる下痢で
困ったこと」スコアの有意な抑制効果が
示された」とし、「「困ったこと」は
「つらさ」とも言い換えられる」という
ロジックで「お腹のつらさ」を導いています。
 
 
「困ったこと」を「つらさ」に言い換えることは、
若干の強引さも感じられますが、
一方でストレスやQOLを絡めてくるのは、
健康の維持・増進という点から受け入れやすい
ように思います。
 
 
ところでF 947には一つ気になるところが
あります。 それは「お腹の調子を整える機能」
のところです。F947のアウトカムは上述した
出雲スケールのみで、便通改善系の指標は
採用していません。
 
 
D245では、便の頻度もみているので、
「お腹の調子を整える機能」と言っても違和感は
ないのですが、F947ではどうでしょうか。
 
 
広義に捉えれば、お腹のつらさを和らげるは、
「お腹の調子を整える機能」と言えると
思いますが、ちょっと誤解を生じさせる表現
という感じもします。広告などでは、機能性の
範囲を逸脱しないように注意が必要そうですね。 
 
 
以下に、2つの事例の比較を表にまとめました。
(>>>https://www.yakujihou.com/merumaga/20210410-01.pdf
 
それでは、またメールしますね。