機能性表示最新情報 450号 / 内臓脂肪の増加抑制の謎

こんにちは。YDCのミッシーです。

それでは機能性表示最新情報をご紹介します。

L124 ゼンゼロビセラ25
「本品にはジンジャーエキス(指標成分:6-ジ
ンゲロール、6-ショウガオール)が含まれます。
ジンジャーエキスは、肥満気味の方の内臓脂肪
の増加を抑える機能があることが報告されてい
ます。」

届出者は池田糖化工業社、SRの作成も自社によ
るものです。注目したい表現は「内臓脂肪の増
加を抑える」という表現です。「全身の脂肪量
の増加を抑える」といった表現はこれまでにも
ありました。例えば以下のような事例です。

L61 燃焼習慣
「本品には、甘草由来グラブリジンが含まれま
す。 甘草由来グラブリジンには、肥満気味の方
の内臓脂肪や腹部総脂肪、ウエスト周囲径を減
らす機能、腹部皮下脂肪や全身の脂肪量の増加
を抑える機能が報告されています。 また、日常
生活や軽い運動時のエネルギー消費(カロリー
消費)に使われる脂肪の燃焼を高める機能があ
ることが報告されています。」

L61では、「減らす」と「増加を抑える」がそれ
ぞれに使われています。これがどういうことか
と言うと、群間有意差があり介入が減少してい
る場合は「減らす」、群間有意差はあるが介入
が減少していない場合は「増加を抑える」とい
うように、結果データに応じて表現を使い分け
ているという事です。

L124の表現も同じ考え方によります。つまり、
介入群と対照群では群間有意差があるが、介入
群の内臓脂肪自体は減少していない、とい
うことです。結果から導き出された表現と考え
れば、それは問題ありませんが、1点気になるこ
とがあります。それはリサーチクエスチョンの
立て方です。L124には次のようにあります。

「ジンジャーエキス(指標成分:6-ショウガ
オール、6-ジンゲロール)を含む食品の摂取に
より、内臓脂肪の増加を抑えるのか 」

通常、リサーチクエスチョンは一番最初に決定
するものです。その順番から言えば、L124は
「内臓脂肪の増加を抑える」という、どちらか
と言えばイレギュラーなリサーチクエスチョン
を最初から設定していたことになります。しか
し、なぜ「減少」ではなく、「増加を抑える」
ことに注目したのか、本文からは読み取れませ
ん。唯一それが読み取れるのは、採用研究のタ
イトル「ジンジャーエキスパウダーE 含有食品
の摂取による内臓脂肪蓄積抑制効果」のみです。
このあたりはきちんと説明しておかないと、こ
の論文を1件採用するという結果ありきで、リ
サーチクエスチョン(=SR)が作られている印
象を与えてしまいます。

採用研究関連では他に2点ほど気になることがあ
ります。一つは副次アウトカムの扱いで、腹部
総脂肪面積、腹部皮下脂肪面積、体重、体脂肪
率、BMIなどを測定しているにもかかわらず、そ
れに全く言及がないことです。PICOのOが内臓

脂肪面積だから、と言ってしまえばそれまでです
が、関連する分野の数値が一切出てこないとい
うのは少し不自然な感じがして、「内臓脂肪の
増加を抑える」という結果だけが最初からあっ
た、という印象を強めてしまいます。

もう一つ気になるのは、検索式で、L124では
PubMedの検索結果が0件になっています。マイ
ナーな成分だと検索結果が少なくなることはあ
りますが、それでもPubMedクラスのデータベー
スで0件と言うのはちょっと異様な感じがしま
す。検索式に不備がないか、絞り込みすぎてい
ないかを疑ってしまいます。

特に、同じく検索に使っているJDreamIIIと比較
すると、JDreamIIIではショウガオールとジンゲ
ロールが共に検索ワードに設定されているのに、
PubMedではshogaolしか設定されていないという
点があります。データベースが異なれば検索の
仕様も異なり、検索式が必ずしも1対1で対応す
るわけではありませんが、このジンゲロールの
欠損は不備よりな感じがします。

実際のところ、何か明らかなミスでもない限り、
リサーチクエスチョンや検索式が原因で差戻し
になるという事はほぼないでしょう。少なくと
も私は見たことがありません。とは言え、エビ
デンス全体の信頼性を担保しておくためには、
筋の通った説明をつけて置かないと、要らない
疑念を招くことになりかねないと思います。

それでは、またメールしますね。