特集 ブラックジンジャーの関与成分
1.ブラックジンジャー(または黒ショウガ)
エキスを原料とした商品が多くある。
機能性の表示は、歩行能力の維持、握力・
自転車運動能力の改善、脂肪代謝であるが、
いずれも同じ作用からもたらされる機能と
言える。
2.最初の届出はB62(届出日;2016年6月2日、
機能性の表示;歩行能力の維持)で、
採用文献は1報(J Wattanathorn 2012)
だった。
関与成分は、「ブラックジンジャー由来
5,7-ジメトキシフラボン」で、作用機序に
おいて他成分の関与についての言及は
なかった。
その後、同内容のSRでB496(届出日;2017年
1月31日)が届け出された。
3.B496以降、消費者庁と原料メーカーとの間で
関与成分に関するやり取りがあった模様。
1年8か月後にD187(届出日;2018年9月12日)
が届け出される。
採用文献はそれまでのSRと同じく
J Wattanathorn 2012の1報のみであるが、
関与成分がブラックジンジャー由来
ポリメトキシフラボンに更新された。
ブラックジンジャーエキス中の、
5,7-ジメトキシフラボン以外の成分も
機能性に関与しているという説明が
加わった。
作用機序では、「ブラックジンジャーには
ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボン
(3,5,7-トリメトキシフラボン、
3,5,7,4-テトラメトキシフラボン、
3,5,7,3,4-ペンタメトキシフラボン、
5,7-ジメトキシフラボン、
5,7,4-トリメトキシフラボン、
5,7,3,4-テトラメトキシフラボン)が
含有」されており、「ブラックジンジャー
抽出物及びポリメトキシフラボンには
いずれも有意な脂肪分解促進作用が認められ、
ブラックジンジャー抽出物および
ポリメトキシフラボンは同等の作用を
有しており、ポリメトキシフラボン以外の
成分は機能性に関与しなかったことから
ブラックジンジャー抽出物の脂肪分解促進
作用に対するポリメトキシフラボンの
寄与率はほぼ100%である」としている。
以降、同様のSRで多数の商品が届出されて
いる。
4.他方、これまでとは違う原料メーカーが、
D352(届出日;2018年11月30日)を
届け出た。
機能性の表示は、「握る力・立ち上がる力
・自転車運動をサポートする機能」である。
採用文献は2報で、J Wattanathorn 2012の
他にToda 2016が加わった。
関与成分は、5,7-ジメトキシフラボンと
5-ヒドロキシ-7-メトキシフラボンである。
作用機序では、「黒ショウガ抽出物に
含まれるポリメトキシフラボン類の
活性寄与率を算出した結果、含有量と
10 uMでのGlut4遺伝子およびPGC1alpha
遺伝子の発現度合いから、
5,7-ジメトキシフラボンが92%以上活性に
寄与していることが判明した。
5-ヒドロキシ-7-メトキシフラボンの
寄与率は8%以下であった。
なお、5-ヒドロキシ-3,7-ジメトキシフラボン、
5-ヒドロキシ-3,7,4-トリメトキシフラボン、
5-ヒドロキシ-3,7,4,5-テトラメトキシフラボン、
3,5,7,4,5-ペンタメトキシフラボン、
5,7-4-トリメトキシフラボン、
3,5,7,4-テトラメトキシフラボンには
Glut4遺伝子およびPGC1alpha遺伝子ともに
10 uMで有意な発現増強が認められなかった
ことから、活性への寄与はない(寄与率は0)。」
とした。
5.D187とD352は実質的に相容れない内容と
なっており、今後の消費者庁の対応が
注目される。
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