こんにちは、林田学(Mike Hayashida)です。
【機能性表示制度のルール関するQ&A】
よくある質問についてQ&A方式で回答します。
Q15. 法的割り切りと科学的真実を追求する査読の矛盾
Q: 先生のセミナーでは、
「機能性表示ではトクホのような厳格な証明を求められない。
その典型が作用機序だ。その結果、何が有効成分かも科学的に厳格に詰める必要はない」
という話をよく聞きます。
確かに機能性表示はもともと許可制ではなく自己責任の制度ですから
そういう制度としてデザインされていると思います。
しかし、RCT論文を査読に出したときに、査読者は自然科学のフィールドの人であり、
そういう人は科学的真実を追求する発想しかないので、そこで矛盾が生じないでしょうか?
つまり、査読者はトクホのような発想で本来機能性表示においては求められていないことまで求めて来るのではないしょうか?
A: おっしゃるとおりです。
1、査読者は機能性表示用とかトクホ用とか関係なく
ワンパターンの評価をするので機能性表示制度との矛盾が生じる危険があります。
たとえば、機能性表示を「目の健康」にしようと思い、
①客観的な視力と改善テスト
②主観的なアンケート(たとえば本を読むにあたり見にくさが改善されたと感じるか)
を行ったとします。
RCTの結果②では有意な改善結果が出たが、①ではそうではなかったとします。
この場合、機能性表示のエビデンスとしては「視覚のQOL改善が得られた」
と評価でき、「このサプリにより見えにくいと感じることが少なくなります」
と機能性表示できると考えられます。
しかし、査読者は科学的真実を追求する立場に固執し、
なぜ①で有意差がないのに②で有意差が出たのか科学的に合理的な説明がないと
査読はOKとしないと答える可能性があります。
2、要は医学雑誌の査読は機能性表示のような妥協的制度を想定していないので
目的(機能性表示)と手段(医学的査読)がミスマッチなのです。
さらに言うと、査読が条件という話は5月の検討会で突如出て来たもので、
その時点では機能性表示の基準はとても厳しいものでしたが、
その後、機能性表示の基準は緩和されたのに査読が条件という点だけは
5月の基準が残っているので制度として整合性を欠く結果となっているのです。
我々としては機能性表示に適合した査読付き雑誌が登場するのを待つしかありませんが、
それまではRCTの試験計画を機能性表示と査読の2軸を睨みながら
工夫して考察する必要があります。
Q14.第一目標で有意差なし、第二目標で有意差あり、どうしたらいいか?
Q15.法的割り切りと科学的真実を追求する査読の矛盾
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