こんにちは。YDCのミッシーです。
PRISMA2020以降になってから、メタアナリシス
を実施しているSRも少し増えてきたように思え
ます。そこには色々な事情があるかもしれませ
んが、基本的にはメタアナリシスを実施してい
る方がエビデンスとしての信頼性が高まるので、
良いことだと言えるでしょう。
ただ、メタアナリシスについてはある程度の知
識がないと、正確に理解することが難しかった
りします。特に、広告などで使おうとすると、
色々な数値が出てきて、何を示すべきなのかわ
からない、という事もあるようです。そこで今
回はメタアナリシスを見るときの、代表的な数
値についてまとめてみました。
以下はPRISMA2020に対応した最近のSRから、
メタアナリシスの代表的な数値を拾ってきて整理
したものです。
K797
10m障害物歩行テスト(前後差変化率)
MD:-11.41 % [95%CI:-16.54; -6.28]
Heterogeneity:I2=0%; τ2(tau2)=0 p=0.53
K773
記憶力
SMD:0.103 [95%CI:0.037; 0.168]
Heterogeneity:I2=55%; p=0.00
K771
血中酸化LDLコレステロール値
SMD:-0.25 [95%CI:-0.39; -0.11]
Heterogeneity:I2=0%; τ2(tau2)=0 p=0.64
まず見るべきはMDとSMD。MDは平均差なので、
K797の場合、10m障害物歩行テスト(前後差変
化率)において、-11.41 %の改善があった、と
言えます。一方、K773やK771はSMD(標準化平
均差)となっています。これは効果量が大きい
か小さいかの目安にすぎず、実際の数値ではな
いので、例えばK771の場合なら、血中酸化LDL
コレステロール値が0.25低下した、とは言えま
せん。
SMDの評価基準には色々ありますが、一番よく
つかわれるのは、0.2程度で「小さい効果」、
0.5程度で「中程度の効果」、0.8以上で「大き
い効果」というのがあります。そこからすると、
K771は「小さい効果」、K773はさらに効果が小
さいということになります。
次にHeterogeneityは異質性で、研究間の違い
(ズレ)を示し、簡単にいうと、ズレの割合が
どれくらいなのかを示すのがI2、ズレの大きさ
を示すのがτ2(tau2)です。これらの値が大き
い場合は、メタアナリシスの信頼性が揺らぐこ
とになります(p値はズレがあるかどうかの判
定で、有意差ありなら、研究間に明確な異質性
があることになります)
そこからすると、K797、K771は研究間の異質性
がなく、信頼できる結果という事になります。
一方でK773はI2=55%となっています。I2の標準
的な解釈としては、0-25%低い異質性、25-50%
やや低い異質性、50-75%中等度の異質性、75-
100%高い異質性、となるので、K773は中程度の
異質性で、異質性あり(p=0.00)。τ2(tau2)
が報告されていないので、異質性の大きさはわ
かりません。
ここで終わるとK773のメタアナリシスの結果は
信頼性を欠く、という事になってしまうのです
が、K773ではそれを補うために感度分析を実施
しています。これは研究を1件ずつ外していっ
て分析しても有意差があることを確認するとい
う方法(leave-one-out 法)です。この感度分
析によって、結果が大きく変わらないことから、
K773のメタアナリシスは一定の信頼性を担保し
ているというわけです。
ざっくりと、メタアナリシスを見る際の目安や
良し悪しについてまとめてみましたが、いかが
だったでしょうか。メタアナリシスについては
他にもいろいろな要素がありますが、上に挙げ
た数値を見れば最小限の要点は押さえられると
思います。
それでは、またメールしますね。
