機能性表示最新情報 356号 / 右手はどこに?

こんにちは。YDCのミッシーです。

それでは機能性表示最新情報をご紹介します。

J298 バイタリ

「本品にはβ-ニコチンアミドモノヌクレオチド

(NMN)が含まれます。 β-ニコチンアミドモ

ノヌクレオチドは、高齢者の歩く力や握る力

を維持することが報告されています。」

少し前から話題の成分であるNMNですが、

機能性表示としてはこれが2例目となり、以前

の事例は下記です。

I230 Refeelas(リフィーラス)

「本品にはNMN(ニコチンアミドモノヌクレ

オチド)が含まれるので、肌が乾燥しがちな方

の肌の潤いおよび肌弾力を維持し、肌の健康を

助ける機能があります。」

今回のJ298では、「歩く力」や「握る力」を訴

求していますが、気になったのは、「手の筋

力」に関するデータです。Igarashi 2022では

「左握力(kg)」についてp=0.019で群間有意差

あり、もう1報のBagen2021は「握力(kg)」につ

いてp=0.98で群間有意差なしという結果。

肯定1報、否定1報なのでかなり微妙な結果かと

思いますが、この点について詳しく説明はされ

ておらず、有効性について、「握力は2報中1報

でβ-ニコチンアミドモノヌクレオチド群がプ

ラセボ群よりも向上していた」としているのみ

です。

しかしもっと気になるのは、Igarashi 2022の

データが「左握力」であるという点です。なぜ

左だけなのでしょうか。

実は論文を見てみると、右握力のデータも記載

されているのですが、J298ではこのデータを

拾っていません。右握力は群間有意差なしのた

め、あえて拾わなかったのでしょうか。

ちなみに、もう1報のBagen2021では、補足情

報を見ると、「握力」は利き手のものであると記

載されているので、特に問題はありません。

左握力だけを取り上げるのであれば、その理由

は明確にするべきだと思います。そうでないと、

恣意的なデータの選択をしているように見えて

しまいます。

特に、J298はPRISMA2020対応のSRとして

受理されています。しかし、データ抽出のプロセス

に不透明さがあるというのは、PRISMA2020の趣旨

に沿いません。J298のSRはその点が少し物足り

ないという感じではないでしょうか。

それでは、またメールしますね。