機能性表示最新情報 304号 / これまでにあった機能性表示の問題

こんにちは。YDCのミッシーです。

6月30日のさくらフォレスト社への措置命令が

波紋を広げているようです。該当の措置命令で

は科学的根拠が問題とされていますが、公表さ

れた資料にはその詳細が示されておらず、当初

はメディアの取材内容から断片的に内容が語ら

れていたことなどが、騒動に拍車をかけている

ように思われます。

これまでにも、機能性表示をめぐっては、措置

命令、行政指導、大量撤回という事件が何度か

ありました。

代表的なものをまとめると、以下のようなもの

があります。

(1)葛の花由イソフラボン
葛の花由来イソフラボンを含む商品の広告をめ

ぐって、数社に措置命令が出されれた事件です

。今回と同じく措置命令ということでメディア

では引き合いに出されることも多いですが、

この事件は広告が問題とされたものであって、

科学的根拠が問題とされる今回の事件とは異な

ります。対象となった各商品については、

撤回を求められたわけではなく、その後も販売

が続いているものもあります。

広告が対象という意味では、2022年3月末に認

知訴求の商品の多数に行政指導が行われた事件

も同種のもので、商品自体の撤回は求められて

いません。

(2)歩行能力問題
届出表示における「歩行能力の改善」が、医薬

品的と指摘された問題です。これも科学的根拠

が問題とされたのではなく、そこから導いた

表現の問題でした。ただ、届出表示を変更する

必要があるため、各社届出を撤回、出し直し

という決着になっています。

(3)HMB
HMBという機能性関与成分名が適切ではないと

して、HMBカルシウムへ成分名が変更になった

問題です。成分に関することなので、広い意味

では科学的根拠の問題かもしれませんが、

名称の問題であって、エビデンスそのものの

有効無効を問われたわけではありません。

ただ、機能性関与成分名を変更する必要がある

ため、各社届出を撤回、出し直しとなっていま

す。

(4)アフリカマンゴノキ由来エラグ酸
この事件は、アフリカマンゴノキ由来エラグ酸

を含有する各商品が、成分名称を変更するとし

て、撤回になったものです。しかしその実態

としては、SRに採用されている1報がカメルー

ン人のものであり、日本人への外挿性を問われ

たという、科学的根拠が問題となったものでし

た。この事件では、各社が届け出を取り下げた

後、SRを作成した原料メーカーが日本人での

試験を実施し、それを組み込んだ新SRを作成、

各社「エラグ酸」を機能性関与成分名として出

し直し、という経緯になっています。

以上からすると、さくらフォレスト社の件は

(4)に近いものと言えそうです。ただ(4)

の場合は原料メーカー主導で自主的に各社の

撤回となっているのに対し、今回はすでに措置

命令が出ているためそれがどう影響するのか

(原料メーカーの損害賠償責任など)、といった

ところでしょうか。