機能性表示最新情報 224号 / 認知訴求広告での数字の取扱い

こんにちは。YDCのミッシーです。

最近、認知機能を訴求する際の届出表示や、その広
告コピーについてのご質問をよく目にします。再び
認知機能関係がトレンドになりつつあるのかもしれ
ませんが、認知訴求のコピーを作る際は、「数字」
というワードには気を付けたい点があります。今回
の機能性表示最新情報は、この「数字」というワー
ドについて少し考えてみたいと思います。

「本品にはDHAとEPAが含まれます。DHAには、中高年
の方の加齢に伴い低下する、認知機能の一部である
記憶力、判断力をサポートすることが報告されてい
ます。(記憶力:数字に関する情報を記憶し、思い
出す力。判断力:数字や文字の情報を認識し、次の
行動にうつす力。)DHAとEPAには血中の中性脂肪を
低下させる機能があることが報告されています。」

これはG633の届出表示ですが、ちょうどよく今回の
テーマである数字関係の文言が入っているため、例
として見ていきます。この届出表示に対して、次の
ようなコピーや強調表示はOKでしょうか?

「数字を扱う仕事のパフォーマンスアップ!」

まずこの場合は、「数字」がどうこう言う以前に、
「パフォーマンスアップ」がNGです。 届出表示はあ
くまでも、加齢によって衰える認知機能を対象とし
ているのであって、記憶力などに何ら問題のない人
が、より記憶力が良くなるような誤解を与える「パ
フォーマンスアップ」はNGとなるわけです。
パフォーマンスアップに近いものとしては、次のよ
うな事例はあります

F189 やる気スイッチタブレット
「本品にはヒスチジンが含まれます。ヒスチジンに
は日常生活における疲労感を軽減し、疲労による頭
が冴えない、注意力低下といった状態を和らげ、認
知機能の一部である単純な記憶と判断力が求められ
る作業効率の向上に役立つ機能があることが報告さ
れています。」

ただしこちらの場合でも、精神的な作業負荷のよう
なもので注意力などが低下するのを和らげる、とい
うものであって、より注意力が向上するようなもの
ではないことに気を付ける必要があります。

さて、ちょっと話が脇にそれましたが、パフォーマ
ンスアップがダメであれば、以下の様に、衰えてき
ていたのが以前のようにスムーズにできるように
なった、というのであればどうでしょうか。

「年齢と共に苦手になってきた、数字を扱う作業が
スムーズに!」

これだと一概にNG とは言えないと思います。
しかし、ここからが本題です。数字を扱う作業ある
いは仕事がどういうものかを考えると、ぱっと思い
つくのは経理などの計算作業です。しかし例題の届
出表示には、記憶力、判断力はあっても、計算力は
ありません。

各指標の測定方法は様々ありますが、例えば記憶力
なら、少し前に提示された数字を後からどれくらい
思い出せるかというものや、判断力であれば、画面
にランダムに表示された数字を順番にタッチしてい
くなどがあります。もちろんそこに計算力は含まれ
ていません。計算力の測定となると、皆様も職業適
性テストなどでやったことがあるクレペリン検査な
どになるでしょうか。

これらを具体的な動作で考えてみると、電話番号を
思い出すなどは記憶力になりますし、数字の記載さ
れた荷物を適切な場所に仕分けるなどの作業であれ
ば、判断力の範疇と言えそうです。しかし、経理な
どの計算がメインの作業が絡んでくると、計算力に
なって例題の届出表示には合いません。

そこで最初の「数字を扱う作業がスムーズに!」に
戻って考えると、これだけでは上に説明した認知機
能のどの分野なのかはっきりしないので、具体的な
説明を追加するか、前後の文脈などでそれを示す、
といった工夫が必要です。

認知機能の届出表示を、実生活の具体的な行動にあ
てはめて訴求しようとする広告はよく目にしますが、
ピントが外れたものも少なくありません。特に「数
字」は、記憶、判断力、計算力など複数に絡むので、
注意が必要だと思います。

ちなみに、「認知機能」という言葉を含む事例は、
メルマガ執筆時点で385件あり、その内、数字につい
て言及しているのは67件なので、そこそこの事例が
あると言えます。

数字and記憶が入っているパターンはこの67件すべて
に共通していて、一方、数字and判断力のパターンは
13件です。また、計算を届出表示に入れているのは
15件で、全て「ラクトノナデカペプチド」の事例と
なっています。
そう考えると、数字を絡めたコピーなどの表現の場
合は、記憶力に関係するものが無難と言えそうです。

それでは、またメールしますね。