機能性表示最新情報 223号 / 「古い骨を壊すはたらき」とは?

こんにちは。YDCのミッシーです。

そろそろ年末が意識される時期になってきました。
昨年の年末はコロナ拡大中で大変でしたが、今年は
穏やかなお正月に期待してもいいのでしょうか。

以前このメルマガでもお伝えしましたが、機能性表
示の受理件数は、年末近くから翌年の3月位にかけ
て増加する傾向にあります。特に年末あたりには、
興味深い事例がぽろぽろ出てきたりするので、その
点にも期待したいですね。

それでは今回の機能性表示最新情報のご紹介です。

G596 サポートプラス 健骨生活
「本品にはパプリカ由来カロテノイド(β-クリプ
トキサンチン、β-カロテン、ゼアキサンチン、カ
プサンチンとして)が含まれます。パプリカ由来カ
ロテノイドは、加齢に伴い過剰となる骨吸収(古い
骨を壊すはたらき)をおだやかにし、骨の健康維持
をサポートすることが報告されています。本品は丈
夫な骨を維持したい方に適した食品です。」

届出者は理研ビタミンさん。「古い骨を壊すはたら
き」というなかなか刺激的な表現が目につきます。

この「古い骨を壊すはたらき」とはどういうことで
しょうか。
かいつまんで説明するとこうです。

骨は代謝が盛んな部位で、常に古い骨は分解吸収さ
れると同時に、新しい骨が形成されます。この関係
が釣り合っているうちは健康な骨と言えるのですが、
加齢によって分解吸収の方が強くなると、骨は弱く
なってしまいます。

G596はこの分解吸収のことを「古い骨を壊すはたら
き」と表現し、それを弱めることで、形成とのバラ
ンスをとって、骨の健康を維持する、としているわ
けです。

この骨の吸収や形成をみる指標が骨代謝マーカーで、
これはさらに骨吸収マーカーと、骨形成マーカーに
分けられます。

G596では骨吸収マーカーとしてTRACP-5bとsNTX、骨
形成マーカーとしてBAP、OCを取り上げ、骨吸収
マーカーのTRACP-5bに有意差があったことを以って、
届出表示を導いています。

骨の訴求としてメジャーな大豆イソフラボンなどで
もやはり骨吸収マーカーを見ていて、大豆イソフラ
ボンの場合はマーカーとしてデオキシピリジノリン
を採用していますが、骨の健康についての説明は
G596と同じです。

つまり、あちらの場合でも「古い骨を壊すはたら
き」という表現は使えることになります。

一方、他にも骨の訴求としてメジャーなものとして、
温州ミカンのβ‐クリプトキサンチンの事例があり
ます。

F605 富士みかん
「本品には、β‐クリプトキサンチンが含まれてい
ます。β‐クリプトキサンチンは骨代謝のはたらき
を助けることにより、骨の健康維持に役立つことが
報告されています。」

こちらの場合は、骨吸収マーカーと骨形成マーカー
の両方に有意差があるため、骨の代謝自体の改善を
訴求しているわけです。
骨吸収マーカーのみの有意差では、骨代謝の改善は
言えません。

各事例が採用している骨吸収・形成マーカーのまと
め➡一覧

骨吸収マーカーのみの場合(G596)と、骨吸収と骨
形成両方で有意差がある場合(F605)の事例を上げ
ましたが、それでは、骨形成マーカーのみに有意差
があった場合はどうでしょうか? 
この場合は機能性表示で扱うのは難しい気がします。

というのも、骨吸収マーカーのみの有意差は前述し
た骨代謝の説明から、機能性表示の命題である健康
の維持・増進によくかみ合いますが、骨形成マー
カーのみの場合はそうではありません。

骨形成マーカーのみに有意差があった場合は加齢に
よって弱くなっている骨を維持するのではなく、
健常な人の骨をより丈夫にする、というような意味
合いを帯びてしまいます(骨吸収の抑制ではなく、
骨形成の増強)。また、F605のように骨代謝のサ
ポートとも言えません。

よって、この辺りをうまく説明できるロジックがな
いと、骨形成マーカーのみの場合は難しいのではな
いでしょうか。

それでは、またメールしますね。