機能性表示最新情報187号/医薬品成分の扱い方

こんにちは。

YDCのミッシーです。

早速ですが、

今回の機能性表示最新情報をご紹介します。

F740 OSK(オーエスケー)粉末桑茶

「本品は、糖の吸収を抑え、食後血糖値の
上昇を緩やかにする機能があることが報告
されている桑由来の成分が含まれています。」

届出者は小谷穀粉さんで、2報採用のSR。

医薬品成分である1-デオキシノジリマイシンを
機能性関与成分とした事例です。

同じく1-デオキシノジリマイシンを
機能性関与成分としたものとしては、

先行事例としてファンケルさんのカロリミット
がありました。

ただ、カロリミットの場合は、
次の二つの理由によって、

医薬品成分を機能性関与成分とする場合の
事例としては、わかりづらい部分がありました。

(1) 1-デオキシノジリマイシンを含む
   3つの成分を複合して桑の葉イミノシュガー
   としており、1-デオキシノジリマイシンは
   直接は出てこない。

(2) 1-デオキシノジリマイシンを正当化する
   ための説明があるはずですが、
   おそらくそれは非公開の文書となっており、
   どのようなロジックであるのか
   明示されれていなかった。

(1) について、 F740の機能性関与成分は
桑由来モラノリンとなっており、
  
モラノリンは1-デオキシノジリマイシン
の別名です。

つまり、複合などではなく、
1-デオキシノジリマイシンだけを
機能性関与成分としているわけです。

次に(2)についてですが、

その前に、本質的医薬品成分が機能性関与成分
として認めれらるようになった経緯を
簡単に振り返ってみます。

まず、
厚労省 Q&A:「医薬品の範囲に関する基準」
に関するQ&Aについて
(平成 31 年 3 月 15)の通知がありました。

「専ら医薬品リスト」に収載されているもので
 あっても、それが野菜・果物等の生鮮食料品
 ・・・に元から含有される成分である場合は
 ・・・医薬品に該当するとは判断せず、

 食経験、製品の表示・広告、その製品の
 販売の際の演術等を踏まえ総合的に判断する。

 また、当該生鮮食料品を調理・加工(伝統的
 発酵を含む。)して製造された食品・・・
 についても、当該加工食品の製造工程において、

 当該成分の抽出、濃縮又は純化を目的とした
 加工をしておらず、

かつ、食品由来でない当該成分を添加して
いない場合は、前段と同様の取扱いとする。」

これを受けて機能性表示の質疑応答集も
改訂され、問13が示されます。

「当該食品が医薬品、医療機器等の品質、
 有効性及び安全性の 確保等に関する法律
 ・・・に 規定する医薬品に該当しない場合
 には、機能性表示食品として届出をしようと
 することは妨げない。」

これらを踏まえた上でF740 がモラノリンを
機能性関与成分としてロジックはこうです。
 

「1-デオキシノジリマイシンは、「専ら医薬品
 として使用される成分本質(原材料)リスト
 」に収載されているが、
 当該成分を含有している桑葉は、同リスト
 において「非医」と定められている。

 届出食品は生鮮である桑葉を乾燥し、
 茶としての利用を目的に切断、粉砕などの
 簡易な加工を施した食品であり、製造工程に
 おいて、当該成分の抽出、濃縮又は純化を
 目的とした加工をしていない。
 
 また、食経験に基づいて安全性が
 確認されている事から、「医薬品の範囲に
 関するQ&A」に従い、届出食品は医薬品に
 該当しないと判断した。」

通知の内容に忠実に沿った説明であることが
わかります。

これから医薬品成分を含む申請を行う場合の
よいモデルケースと言えるのではないでしょうか。

ところで、

1-デオキシノジリマイシン以外でも
医薬品成分を機能性関与成分とした事例に、
γ-オリザノールがあります。

F583 発芽玄米の底力

「本品はGABAを含みます。GABAは、血圧が高め
 の方の血圧を下げる機能が報告されています。
 また本品は、血中の中性脂肪や
 総コレステロールを低下させる機能が
 報告されている成分を含みます。」

今回のF740と比べてみるとよくわかるのですが、

医薬品成分自体の名称を、

届出表示の中では直接言及せず、

「桑由来の成分」や「血中の中性脂肪や
総コレステロールを低下させる機能が
報告されている成分」

といった表現にしています。

含有する医薬品成分を強調してはならない
というルールによるのでしょう。

今後、この種の事例の場合には
こういうやり方がスタンダードになるのか、

注目の点ですね。

それでは、またメールしますね。