弁護士出身の実業家・林田です。
今日はケーススタディとして、I407を取り上
げます(>表示見本)。
※届出表示:本品には、還元型コエンザイムQ
10が含まれます。細胞のエネルギー産生を助
ける働きと抗酸化作用により酸化ストレスを緩
和する働きがある還元型コエンザイムQ10
は、日常の生活で生じる一過性の身体的・精神
的な疲労感の軽減に役立つことが報告されてい
ます。
様式1には次のような記述があります。
「採用論文6 報のうち5 報がポジティブな結
果であった。日本人を対象とした試験4 報の
うち3報では、還元型CoQ10の100mg/日摂
取により、摂取前と比較して『活力』『疲労回
復』『ストレス度』(身体的・精神的疲労感の指
標)などの改善が認められた。さらに、『疲労
回復』『ストレス度』については、一過性のス
トレスを感じている人(ストレス度が高めの
人)において、プラセボ摂取群に比べて有意な
差が認められた。別の1報では、還元型
CoQ10の150mg/日摂取により、『活力』『心
の健康』(身体的・精神的疲労感の指標)の改
善とともに、1日の歩数の増加が認められた
(いずれも摂取前との比較)。これらの結果
は、還元型CoQ10が日常の生活で生じる一過
性の身体的・精神的な疲労感を軽減したものと
考えられた。」
ただ―
「6報のうち5報がポジティブな結果」と言っ
ても、それは群内有意差中心の話。
採用文献1・3・6は群内。#4も「ストレス度
が高めの人」に絞って群別解析すれば群間有意
差が出ますが、届出表示にはそのような限定は
ないので、純粋に群間有意差があるのは#2の
みと言えます。
さくらフォレスト事件では、採用文献37報中
25報が肯定的結果とされているものの、うち
12報は群内有意差でした。
それとの対比からすると、このケースは「背筋
が寒くなる」ものがあります。
#2のみが抽出されるPICOや除外基準の設定
を行うべきだったのかもしれません。