機能性表示水面下情報 35 号/「事後チェックガイドライン」のドラフト 発表

1.先週16日、消費者庁は「機能性表示食品に
  対する食品表示等関係法令に基づく事後的規制
   (事後チェック)の透明性の確保等に関する指針
   (案)」を公表し、パブリックコメントの募集を
  開始しました。

2.このドラフトは、「第1 機能性表示食品の
  科学的根拠に関する事項」と「第2 広告
  その他の表示上の考え方」に分かれていますが、

  「第1 機能性表示食品の科学的根拠に関する
   事項」は、機能性表示の審査が本来のたて付け
  通りの形式審査に近づきつつあり、

   そうなると最終的には「おかしい」受理事例も
   登場するので、そのチェックをこのガイドライン
   に沿い自社ないし他社でやるべしというもので、
   そのチェックポイントは当然のことながら
   機能性表示ガイドラインの要点を繰り返して
  いるだけです。

  
3.「第2 広告その他の表示上の考え方」は
  景表法との整合性を図るものです。

  いくつか注目される点がありますが2点を
  指摘しておきたいと思います。

4.注目点(1)医師の推奨について

  1)この点は自主広告基準よりもニュアンス的に
   緩くなっています。

  2)自主基準は「医療関係者、大学教授など
   権威のある者による感想文や推薦文で、
     効果を保証するような内容を記載した
   もの。(はNG)」 (P7)とあり、

     媒体審査では「医師が商品を推薦していると
   効果を保証しているように思える」として、
   医師の推薦自体をNGとするケースが珍しく
   ありません。

  3)これに対し、ドラフトは「医師や専門家等が
   機能性表示食品を推奨等すること自体が
   ただちに景品表示法上問題となるおそれに
     つながるものではない。」(P6)と明記した
   ので、これに従えば推薦自体がNGとなる
   ことはないでしょう。

   NG例としては

  「・医療関係者、大学教授など権威のある者
    による感想文や推薦文において、特定の
    疾病名を示すことにより、当該疾病の
    予防・治療効果が得られるかのように
    表示する場合

   ・推奨等の事実がないにもかかわらず、
    当該推奨等を得ているかのように表示
    する場合

   ・推奨等が当該食品の効果を全面的に
    肯定していないにもかかわらず、
    肯定している部分のみを引用する場合

   ・有償、無償を問わず、肯定するよう
    特に依頼して行われた利害関係者の
    推奨等であるにもかかわらず、客観的
    な立場からの推奨等であるかのように
    表示している場合

   ・推奨者の肩書を、事実に反して、当該
    食品の利用者にとって信頼される
    専門家であるかのように表示する場合」

   があがっていますが、これらは当然のこと
   なので、「医師の推薦」の範囲は広がる、
   と言えます。

5.注目点(2)体験談について
 
  1)体験談については2点が注目されます。
 
  2)まず、「断定的な表現を用いて効果を
   保証する」のはNG。

   体験談の内容が認められた機能性の範囲内
   であればOKなので、これは「きっとこう
   なれます」的な強調パターンを想定して
   いるのでしょう。

  3)次に「体験談において機能性表示食品の
   効果に言及されている場合において、
     一般消費者の誤認を招かないようにする
     ためには、当該体験談を表示するに当たり
     事業者が行った調査における(1)体験者の
     数及びその属性、(2)そのうち体験談と
     同じような効果が得られた者が占める割合、
     (3)体験者と同じような効果が得られ
     なかった者が占める割合等を明瞭に表示
     することが推奨される。」と、 

   平成29年7月14日に出した
   「打消し表示に関する実態調査報告書」
   以来、表示対策課が言い続けていることが
   盛り込まれています。

   これが「MUST」だとするとこれは大変な
   ことですが、「推奨される」となっている
     ので、パブリックコメント後の最終
     バージョンがどうなるかを見定める必要が
   ありそうです。