機能性表示水面下情報 ~185号/シオノギさんの免疫は行けるか?

弁護士出身の実業家・林田です。

「薬理と治療」2023年51巻3号に、シオノギヘ
ルスケア(株)の「ガゴメ昆布由来フコイダン
含有食品摂取による健常者の体調改善および
免疫維持に対する影響 -無作為化二重盲検プ
ラセボ対照並行群間比較試験-」が掲載されて
いました。

どう見ても機能性表示食品の免疫表示狙いで
すが、今日はその分析をしましょう。

1.概要

 1)司令塔となる免疫の活性と体調アンケー
  トを同時に実施している。

 2)既存の事例と異なる点として、免疫指標
  としてpDCではなく、mDCを評価している。

2.セッティング

 免疫表示に関しては、1)免疫の司令塔と
 言える細胞を活性化し、2)1)と同一の被験
 者の体調が自覚症状として維持され、3)1)
 2)とも群間有意差がある。

 これが消費者庁の受理基準。

 個々の免疫細胞の活性化をいくら積み上げ
 ても受理する気はない…

 私は20年末頃からずっとこう提唱していま
 すが、本件のセッティングもまさにこれで、
 私の提唱が正しかったことを証明する事例
 がまた一つ増えた、という感じです。

3.本件の問題点

 1)免疫の司令塔としてmDCを評価している点
  は問題ないと思いますし、そこでの群間
  有意差も問題ないと思います。

  問題は、体調アンケートに関し、「のど 
  の痛み」しか群間有意差が出ていない、
  という点です。

 2)従来だと「これでは…」という感じです
  が、最近は免疫表示に関し、「OTCは改
  善、機能性表示は維持」というような棲
  み分けができている感じなので、その状
  況下でどうなるのかが注目されるところ
  です。