機能性表示水面下情報 ~154号/不思議なメタアナ

弁護士出身の実業家・林田です。

メタアナリティクス。

アナログに1個1個文献を検討するのではなく、
数式とグラフで定量的に示すので科学的でカッ
コイイです。

ただ、逆に、数式とグラフだけ見ていると、
真相を見落してしまうということがよくあり
ます。

「統計学はある種のトリックだ」という人が
いますが、そういうことなのかもしれません。

たとえばG371(届出表示:本品には茶カテキ
ンが含まれます。茶カテキンには、肥満気味
の方の内臓脂肪を減らす機能があることが報
告されています。>表示見本)。

研究#4~#13、10報の研究を結合し、
P=0.0011という結果を導き、「茶カテキン
の摂取により、内臓脂肪面積の低減が有意に
認められた」と結論づけています(>様式V-15)。

そして、次のように説明しています。

「本研究レビューでは、メタアナリシスによ
る定量的統合を実施した。メタアナリシスの
評価対象とした研究は、腹部内臓脂肪面積の
実測値(平均値)が記 載されている研究で、
各測定値の標準偏差が記載されているか、標
準誤差が記載されており、標準偏差が計算で
きるものとした。その結果、メタアナリシス
により統合された研究は、対象研究 1、2-1、
2-2、3を除いた10 研究であった。対象研究
5は3用量の介入群が設定されていたが、腹部
内臓脂肪面積の実測値が記載されていた中用
量介入群(茶カテキンを一日当たり570.4mg
摂取)のみを、対象研究11は2用量の介入群
が設定されていたが、高用量介入群(茶カテ
キンを一日当たり 279.5mg 摂取)のみを対
象とした。 メタアナリシスにより定量的統
合を実施した結果、腹部内臓脂肪面積におけ
る平均差の効果推定値は-6.52cm2 [95%CI;
-10.44, -2.60, p=0.0011]で、プラセボ食品
の経口摂取と比較して茶カテキンを含む食品
の経口摂取で有意に腹部内臓脂肪面積が低減
することが認められた。」

しかし、10個の研究を1つずつ検討するとこ
うなります。

(1) 本商品の茶カテキン量は1日540mg。それ
  以下の量で有効な結果が出ているのは
  #5 Kataoka、#9 鈴木、#10 高瀬、#11
  Kobayashi、#13 Matsui、の5報。

(2) しかし、#9・#11は届出番号H119
  (>表示見本)では病者が含まれている
  可能性があるとされている。

  また、#13はアウトカムが「皮下脂肪」
  であり、本体の「内臓脂肪の低減」には
  マッチせず、残るは#5と#10になる。

(3) #5は、570、277、844mgの摂取量で試験
  をしていて、実は、本商品以下の容量で
  ある277mgでは有意差がない。

(4) 結局、#10しか採用できず、そもそもメタ
  をやる前提が満たされていないように思
  われる。