機能性表示水面下情報 ~149号/機能性表示広告に関する自主広告基準と事後チェック指針

弁護士出身の実業家・林田です。

機能性表示広告に関し、自主広告基準(>ルール集5-A-3-2
と事後チェック指針(>ルール集5-A-7)の
内容が必ずしも整合的ではなく悩むことがあ
ります。

今日は広告で用いる2つのテーマ、(1)医師の
推薦と、(2)No.1・満足度について検討して
みたいと思います。

(1)医師の推薦

イ.自主広告基準

 「以下のような場合には、誇大表示に該当
 するおそれがある。

 <例>・アンケートやモニター調査の調査
    条件(質問内容、対象者、人数等)
    を適切に表示しないもの。
   ・特定の疾病を示し、予防・治癒効果
    があるかのような内容を記載したも
    の。
   ・医療関係者、大学教授など権威のあ
    る者による感想文や推薦文で、効果
    を保証するような内容を記載したも
    の。」

→医師の推薦が直ちにNGというわけではない
 が、効果に踏み込んで標榜するのはNGと読
 めます。

ロ.事後チェック指針

 「医師や専門家等が機能性表示食品を推奨
 等すること自体が直ちに景品表示法上問題
 となるおそれにつながるものではない。
 しかしながら、当該推奨等の内容が届出さ
 れた機能性の範囲を逸脱しているものであ
 る場合、景品表示法上問題となるおそれが
 ある。その他、以下の場合においても景品
 表示法上問題となるおそれがある。

 ・医療関係者、大学教授など権威のある者
  による感想文や推薦文において、特定の
  疾病名を示すことにより、当該疾病の予
  防・治療効果が得られるかのように表示
  する場合
 ・推奨等の事実がないにもかかわらず、当
  該推奨等を得ているかのように表示する
  場合
 ・推奨等が当該食品の効果を全面的に肯定
  していないにもかかわらず、肯定してい
  る部分のみを引用する場合
 ・有償、無償を問わず、肯定するよう特に
  依頼して行われた利害関係者の推奨等で
  あるにもかかわらず、客観的な立場から
  の推奨等であるかのように表示している
  場合
 ・推奨者の肩書を、事実に反して、当該食
  品の利用者にとって信頼される専門家で
  あるかのように表示する場合」

→機能性の範囲の逸脱の他、挙げている5つ 
 の例は当然の話。

 医師の推薦は、効果に踏み込んだものでも
 NGではないと読めます。

ハ.総括

 イはロによって修正されていると考えてよい
 と思います。

(2)No.1満足度

イ.自主広告基準

 「アンケート・モニター結果その商品につ
 いて実施したアンケート・モニター結果は、
 嗜好・食感・感想等に限り、広告に使用す
 ることは差し支えない。ただし、調査結果
 の回答を引用する場合は、消費者に誤認さ
 せることや商品の機能性を保証する印象を
 与えることがないよう十分に注意すること。
 また、調査実施者及び対象者の情報を付記
 する等、機能性の科学的根拠と誤認させる
 ことのないように注意すること。」

→”嗜好・食感・感想等”と限定されています。

 ”感想”も嗜好、食感に並んで書かれている
 ところからすると、効果に関わる感想・ア
 ンケ―トはNGであり、その種のNo.1・満足
 度もNGと読めます。

ロ.事後チェック指針

 「例えば、『売上NO.1』などといった
 商品の優良性を示す表示が行われることが
 あるが、その根拠が極端に短い期間のもの
 であったり、対象者が限られていたり、機
 能性表示食品として届出する以前の当該食
 品の売上実績を合算したりする場合は、そ
 れらが明瞭に記載されていない場合、一般
 消費者に実際よりも著しく優良なものと誤
 認させる蓋然性があり、景品表示法上問題
 となるおそれがある。」

→売上No.1は調査方法が適切であればOKとい
 うことはわかりますが、アンケートに基づ
 くNo.1や満足度については言及がありませ
 ん。

ハ.総括

 効果に関わるNo.1・満足度はNGと考えてお
 いた方がよさそうです。

 よって、「便通を改善したい方が選ぶ人気
 No.1」などはNGです。