薬機法とは?薬事法との違いや規制内容、罰則などを簡単に解説
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薬機法とは?薬事法との違いや規制内容、罰則などを簡単に解説

更新日2025/3/3

薬機法(旧薬事法)は、医薬品や医療機器、化粧品などの製造・販売、広告に至るまで幅広く規制を定めた法律です。違反した場合、課徴金や業務停止などの厳しい罰則が科され、企業にとって経済的損失や社会的信用の喪失につながる可能性があります。

また、薬機法は医薬品や医療機器だけでなく、健康食品や美容雑貨を扱う際にも理解しておくべき重要な法律です。

本記事では、薬機法の基礎知識や旧薬事法との違いを解説し、主要な法令についても紹介しています。薬機法を詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

1.薬機法とは

薬機法とは「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の略称です。この法律は、医薬品等の品質や有効性、安全性を確保し、保健衛生の向上(国民の生命や健康を守ること)を目的としています。 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品(以下、「医薬品等」という。)について、開発、承認、製造、販売、広告などに関する規制を定めたもので、これらの業務を行う企業が必ず理解し遵守すべき重要な法律です。

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2.「薬事法」と「薬機法」の違い

薬事法と薬機法は同じ法律です。
薬機法は、以前は「薬事法」という法律でしたが、2014年(平成26年)の法改正に伴い、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に名称が変更されました。法律の正式名称を略して「医薬品医療機器等法」や「薬機法」と呼ばれることもあります。

薬事法から薬機法への改正では、規制対象として「再生医療等製品」が新設されたほか、医療機器の対象として、診断などに用いる単体プログラム(ソフトウェア)が追加されるなど、新たな規制・ルールが定められました。

薬機法の改正は2013年(平成25年)から数えて計4回行われました。2025年にも政府によって薬機法改正案が閣議決定されています。
薬機法の改正について最新情報を知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

 

3.主な規制内容

薬機法では、主に3つのルールが定められています。

  • 各種事業の許可・登録制度
  • 医薬品等の広告規制
  • 医薬品等の取扱い規制

次から詳しく見ていきましょう。

各種事業の許可・登録制度

医薬品等を製造・販売するには、所定の許可や登録を受ける必要があります。具体的には以下の行為が対象となり、これらを許可や登録なしで行うと薬機法違反に該当します。

許可が必要となる行為

薬局の開設
医薬品、医薬部外品、化粧品の製造・販売
医療機器、体外診断用医薬品の製造・販売
再生医療等製品の製造・販売
医薬品の販売
高度管理医療機器等の販売・貸与
医療機器の修理

登録が必要となる行為

医療機器・体外診断用医薬品の製造

医薬品等の広告規制

医薬品等に関する誤った情報が発信されると、消費者が誤った使い方をしたり、過度に効能効果を期待して適切な治療を受けず、症状が悪化する可能性があります。このような広告による誤解から健康被害を防ぐため、薬機法では第66条から第68条において、医薬品等の広告規制を定めています。

ポイントは次の3点。

  1. 医薬品等の効能や効果、性能に関する虚偽・誇大広告や、医師などが保証したと誤解されるおそれのある広告は禁止。
  2. 特定疾病の治療薬については、医師などの医薬関係者を対象にした広告に限って認めており、一般人を対象にした広告は禁止。
  3. 承認を受けていない医薬品等の名称、製造方法、効能、効果、性能に関する広告は禁止。

上記の禁止事項を破ると、薬機法違反に該当します。 また、これらの規制の対象者は「何人も」と規定されている通り、広告主や広告代理店だけでなく、広告を掲載した媒体(Webサイト、新聞、雑誌、テレビなど)、さらにアフィリエイターやインフルエンサーも含まれますので注意が必要です。

医薬品等の広告について(薬機法第六十六条、第六十七条、第六十八条)

医薬品等適正広告基準でも医薬品などの広告制限について詳しく記載されています。以下に該当する内容をまとめました。

広告の制限について

▼広告規制や違反となる広告表現を確認したい方は以下も合わせてご覧ください。 

薬機法の広告規制とは?違反表現や罰則について解説

薬機法違反となる広告表現をチェック!OK・NG例や注意点を解説

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医薬品等の取扱い規制

薬機法では、広告だけでなく、医薬品等の取り扱いについても厳しい規制を設けています。 

  1. 処方箋医薬品の販売禁止
    処方箋を持たない者に対して、処方箋医薬品を販売することは原則禁止されている。
  2. 容器・被包への表示
    医薬品の容器や被包には、薬機法で定められた事項を、見やすく分かりやすい言葉で表示しなければならない。
  3. 記載が禁止されている事項
    医薬品の容器や被包には、虚偽や誤解を招く可能性がある事項、未承認の効能・効果・性能、保健衛生上危険がある用法・用量・使用期限を記載してはいけない。
  4. 販売禁止の医薬品
    薬機法に違反する医薬品は販売してはならない

4.薬機法に違反した場合の罰則

前章で紹介した薬機法の規制内容に違反した場合、次のような罰則が設けられています。

  • 行政処分(業務改善命令、業務停止命令、措置命令、許可・登録の取消)
  • 課徴金納付命令
  • 刑事罰

薬機法に違反すると、課徴金納付や業務停止などの重い罰則が科せられ、企業にとって多大な経済的損失となるばかりか、社会的信用を失うことにもなりかねません。

また、薬機法は、医薬品等に関する規制を定めた法律ですが、実は「医薬品等以外のもの」でも薬機法違反になる場合があります。たとえば、健康食品や健康・美容雑貨にもかかわらず、医薬品等であるかのような効能効果をうたうと薬機法違反になります。 そうならないためにも、法律を理解し、遵守することは重要です。

▼薬機法の違反行為や罰則について詳しく知りたい方は以下もあわせてご覧ください。

薬機法の広告規制とは?違反表現や罰則について解説

5.薬機法の定義(薬機法第二条より抜粋)

  1. 医薬品

    この法律で「医薬品」とは、次に掲げる物をいう。

    1.  日本薬局方に収められている物
    2.  人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)
    3.  人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)
  1. 医薬部外品

    この法律で「医薬部外品」とは、次に掲げる物であつて人体に対する作用が緩和なものをいう。

    1.  次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物(これらの使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
      1.  吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
      2.  あせも、ただれ等の防止
      3.  脱毛の防止、育毛又は除毛
    2.  人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除の目的のために使用される物(この使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
    3.  前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物(前二号に掲げる物を除く。)のうち、厚生労働大臣が指定するもの
  1. 化粧品

    この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。

  1. 医療機器

    この法律で「医療機器」とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。

  1. 再生医療等製品

    この法律で「再生医療等製品」とは、次に掲げる物(医薬部外品及び化粧品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。

    1.  次に掲げる医療又は獣医療に使用されることが目的とされている物のうち、人又は動物の細胞に培養その他の加工を施したもの  
      1.  人又は動物の身体の構造又は機能の再建、修復又は形成
      2.  人又は動物の疾病の治療又は予防
    2.  人又は動物の疾病の治療に使用されることが目的とされている物のうち、人又は動物の細胞に導入され、これらの体内で発現する遺伝子を含有させたもの
  1. 体外診断医薬品

    この法律で「体外診断用医薬品」とは、専ら疾病の診断に使用されることが目的とされている医薬品のうち、人又は動物の身体に直接使用されることのないものをいう。


出典元:薬機法 第二条(定義)

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この記事の監修を担当した弁護士

西脇 威夫

薬事法ドットコム
パートナー弁護士 西脇威夫

一橋大学法学部卒。元ナイキ・インハウスロイヤー、エンターテインメント・ローヤーズ・ネットワーク会員、日本スポーツ法学会会員 他。
法人の設立、商業取引(英文及び和文の各種契約の作成・レビュー、ブランド保護、偽物対策、独禁法のアドバイス等)、人事労務、コンプライアンスについて、経験豊富。

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