【2023年最新】薬機法とは?規制の対象や罰則も解説【弁護士監修】
更新日2023/6/16
薬機法では医薬品や医療機器、化粧品などの製造・販売から広告に至るまで、さまざまな規制やルールが定められています。薬機法に違反すると、課徴金納付や業務停止などの重い罰則が科せられ、企業にとって多大な経済的損失となるばかりか、社会的信用を失うことにもなりかねません。
本記事では、薬機法の規制対象や主な規制・制度をはじめ、薬機法に違反した場合の罰則、薬機法違反を防ぐポイントまで解説します。
1.薬機法とは
薬機法とは、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品(以下、「医薬品等」という。)について、開発・承認・製造・販売・広告などに関する規制を定めた法律です。
薬機法は正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といい、「医薬品医療機器等法」や「薬機法」と略されます。
薬機法は、医薬品等に関する規制を定めた法律ですが、実は「医薬品等以外のもの」でも薬機法違反になる場合があります。たとえば、健康食品や健康・美容雑貨にもかかわらず、医薬品等であるかのような効能効果をうたうと薬機法違反になります。
したがって、薬機法は医薬品等に限らず、健康食品や健康・美容雑貨などを取り扱う際も、必ず理解しておくべき法律といえます。
薬機法の目的
薬機法は医薬品等の品質や有効性、安全性を確保し、保健衛生の向上(国民の生命や健康を守ること)を目的とした法律です。
医薬品等は人の生命や健康に直接関わるものです。そのため、薬機法では医薬品等の品質不良や虚偽・誇大広告などによる、国民の健康被害を防ぐことを目的に、製造や販売、製品の表示・広告に至るまで厳しい規制が設けられています。
薬機法の目的(薬機法第1条) ※要旨
- 医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品(以下、「医薬品等」という。)の品質・有効性・安全性の確保と、医薬品等の使用による保健衛生上の危害の発生や拡大の防止のために必要な規制を行うこと。
- 指定薬物(危険ドラッグに含まれる成分など)の規制に関する措置を講ずること。
- 医薬品や医療機器、再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずること。
これらによって、保健衛生の向上を図ることを目的とする。
出典:薬機法 第1条
「薬事法」との違い
薬機法は、以前は「薬事法」という法律でしたが、2014年(平成26年)の法改正に伴い、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に名称が変更されました。法律の正式名称を略して「医薬品医療機器等法」や「薬機法」と呼ばれることもあります。
薬事法から薬機法への改正では、規制対象として「再生医療等製品」が新設されたほか、医療機器の対象として、診断などに用いる単体プログラム(ソフトウェア)が追加されるなど、新たな規制・ルールが定められました。
2.薬機法の規制対象
薬機法の主な規制対象は、「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」「医療機器」「体外診断用医薬品」「再生医療等製品」の6つです。
【薬機法の規制対象】
- 医薬品
- 医薬部外品
- 化粧品
- 医療機器
- 体外診断用医薬品
- 再生医療等製品
1.医薬品
医薬品とは、病気の診断・治療・予防に用いることや、身体の構造・機能に影響を及ぼすことを目的とした薬品です。
薬機法において医薬品は、次のように定義されています。
医薬品の定義(同法第2条第1項) ※要旨
医薬品とは、以下に掲げるものをいう。
- 日本薬局方に収められているもの。
- 人または動物の疾病の診断・治療・予防に使用することが目的とされているもので、機械器具等でないもの(医薬部外品や再生医療等製品を除く)。
- 人または動物の身体の構造・機能に影響を及ぼすことが目的とされているもので、機械器具等でないもの(医薬部外品や化粧品、再生医療等製品を除く)。
出典:薬機法 第2条第1項
1.にある「日本薬局方」とは、厚生労働省が定める医薬品の規格基準書のことです。日本薬局方には、日本国内の医療で繁用されている医薬品が掲載されています。
また、2.3.で「機械器具等でないもの」とあるのは、「医薬品」と「医療機器」を分けて定義するためです。「医薬品」の使用目的を持つものでも、それが機械器具等であれば「医療機器」となることを意味しています。
【医薬品の例】
医療用医薬品…医師の処方箋に基づき、病院や薬局で処方される薬(処方薬)
一般用医薬品…市販されているかぜ薬や胃腸薬、ビタミン剤など(市販薬)
2.医薬部外品
医薬部外品とは、医薬品に比べると人体に対する作用が穏やかでありながら、特定の目的に対して効能効果が認められているものです。
薬機法において医薬部外品は、次のように定義されています。
医薬部外品の定義(同法第2条第2項) ※要旨
医薬部外品とは、以下に掲げるものであり、人体に対する作用が緩和なものをいう。
- 次のいずれかを使用目的とし、機械器具等でないもの。
(1)吐き気などの不快感、口臭・体臭の防止
(2)あせも・ただれなどの防止
(3)脱毛の防止、育毛・除毛
※これらの使用目的のほかに、医薬品としての使用目的もあわせ持つものは、医薬品となる。- ねずみ、はえ、蚊、のみなどの生物の防除を使用目的とするもので、機械器具等でないもの。
※ただし、医薬品としての使用目的もあわせ持つものは、医薬品となる。- 医薬品の使用目的を持つもののうち、厚生労働大臣が指定するもの(指定医薬部外品)。
※厚生労働大臣が指定するもの…告示(平成21年厚生労働省告示第25号
出典:薬機法 第2条第2項
出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第二条第二項第三号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する医薬部外品(平成21年2月6日 厚生労働省告示第25号)
3.にある「厚生労働大臣が指定するもの」とは、「指定医薬部外品」のことです。
指定医薬部外品とは、医薬品販売の規制緩和に伴い、医薬品から医薬部外品へと移行された品目です。これによって、従来は薬局などでしか販売できなかった医薬品が、スーパーマーケットなどの一般小売店でも販売できるようになりました。
指定医薬部外品は、告示(平成21年厚生労働省告示第25号)によって、整腸薬など27品目が指定されています。
【医薬部外品の例】
制汗剤、育毛剤、殺虫剤、栄養ドリンク、薬用歯みがき粉、薬用化粧品など
▼医薬部外品について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
▼薬用化粧品(医薬部外品)について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
3.化粧品
化粧品とは、人の身体を清潔にする、皮膚や毛髪を健やかに保つといった目的のために、身体に塗るなどして使用するものを指します。
薬機法において化粧品は、次のように定義されています。
化粧品の定義(同法第2条第3項) ※要旨
化粧品とは、以下に掲げるものをいう。
- 次のいずれかを使用目的としたもの。
(1)人の身体を清潔にする・美化する・魅力を増す・容貌を変える
(2)皮膚や毛髪を健やかに保つ- 身体に塗擦・散布して使用するもの。
- 人体に対する作用が緩和なもの。
※ただし、医薬品としての使用目的を持つものや、医薬部外品は除く。
出典:薬機法 第2条第3項
【化粧品の例】
化粧水などのスキンケア用品、ファンデーションなどのメイクアップ用品、シャンプー、石けん、歯みがき粉、マニキュア、香水など
上記のように、化粧品に該当するものは、スキンケア・メイクアップ用品、シャンプーや石けんなど多岐にわたります。しかし、化粧品として表現できる効能効果の範囲は決まっているため、注意が必要です。定められた範囲を逸脱し、医薬品のような効能効果をうたうと、薬機法違反になります。
▼化粧品の広告規制や効能効果として認められている表現などについて、詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
4.医療機器
医療機器とは、病気の診断・治療・予防に用いられる機器のことです。
薬機法において医療機器は、次のように定義されています。
医療機器の定義(同法第2条第4項) ※要旨
医療機器とは、以下の目的を持つ機械器具等(再生医療等製品を除く)であり、政令で定めるものをいう。
※政令…薬機法別表第一(医療機器の範囲)。
- 人または動物の疾病の診断・治療・予防に使用するもの。
- 人または動物の身体の構造・機能に影響を及ぼすもの。
出典:薬機法 第2条第4項
【医療機器の例】
メス、X線フィルム、歯科技工用用品、超音波診断装置、人工関節、ペースメーカー、疾病診断用プログラム(ソフトウェア)、家庭用マッサージ器など
5.体外診断用医薬品
体外診断用医薬品とは、病気の診断に用いられる医薬品のうち、人や動物の身体に直接使用されることがない薬品を指します。
薬機法において体外診断用医薬品は、次のように定義されています。
体外診断用医薬品の定義(同法第2条第14項) ※要旨
体外診断用医薬品とは、主に疾病の診断に用いられる医薬品のうち、人または動物の身体に直接使用されることのないものをいう。
出典:薬機法 第2条第14項
【体外診断用医薬品の例】
血液や尿便を検査するために使用する試薬など
6.再生医療等製品
再生医療等製品とは、骨や臓器、皮膚など身体の一部を再生する「再生医療」などに用いられる細胞加工物のことです。
薬機法において再生医療等製品は、次のように定義されています。
再生医療等製品の定義(同法第2条第9項) ※要旨
再生医療等製品とは、以下に掲げるもの(医薬部外品や化粧品を除く)であり、政令で定めるものをいう。
※政令…薬機法別表第二(再生医療等製品の範囲)
- 人または動物の細胞に培養などの加工を施したもの(細胞加工製品)であって、
(1) 身体の構造・機能の再建・修復・形成を目的として使用するもの
(2) 疾病の治療・予防を目的として使用するもの- 人または動物の疾病の治療を使用目的とするもののうち、人や動物の細胞に導入され、これらの体内で発現する遺伝子を含有させたもの(遺伝子治療製品)。
出典:薬機法 第2条第9項
【再生医療等製品の例】
細胞加工製品(心筋の細胞シートなど)、遺伝子治療用製品(欠損した遺伝子を人の体内に投与するものなど)
3.薬機法による主な規制・制度
医薬品等による国民の健康被害を防ぐため、薬機法では製造や販売、広告、表示など関して、さまざまな規制・制度が設けられています。
製造・販売規制(許可・登録制度)
医薬品等の製造・販売などを事業として行う場合、薬機法に基づき、厚生労働大臣や都道府県知事の許可や登録を受ける必要があります。
許可制度の主な対象
【薬局】
- 薬局の開設(同法第4条第1項)
【医薬品・医薬部外品・化粧品】
- 医薬品・医薬部外品・化粧品の製造販売業(同法第12条第1項)
- 医薬品・医薬部外品・化粧品の製造業(同法第13条第1項)
【医療機器・体外診断用医薬品】
- 医療機器・体外診断用医薬品の製造販売業(同法第23条の2第1項)
【再生医療等製品】
- 再生医療等製品の製造販売業(同法第23条の20第1項)
- 再生医療等製品の製造業(同法第23条の22第1項)
- 再生医療等製品の販売業(同法第40条の5第1項)
【医薬品】
- 医薬品の販売業(同法第24条第1項)
【高度管理医療機器等】
- 高度管理医療機器等の販売業・貸与業(同法第39条第1項)
【医療機器】
- 医療機器の修理業(同法第40条の2第1項)
登録制度の主な対象
【医療機器・体外診断用医薬品】
- 医療機器・体外診断用医薬品の製造業(同法第23条の2の3第1項)
※製造販売業
製品を国内市場に出荷・流通させる(製品の製造はできない)。品質・安全管理を担い、市場に流通した製品の最終責任を負う。
※製造業
製造販売業者から委託を受けて、製品を製造する(市場への出荷はできない)。
広告規制
医薬品等について誤った情報が発信されると、消費者が誤った使い方をしたり、効能効果を過度に期待して、本来必要な治療を受けずに症状が悪化したりする可能性があります。
広告によって消費者に誤解を与え、健康被害が発生するのを防ぐために、薬機法では医薬品等の広告規制が設けられています。
薬機法における「広告」とは
そもそも薬機法において、広告とはどのようなものが該当するのでしょうか。
薬機法における医薬品等の広告について、厚生労働省は次のように定義しています。
薬機法における医薬品等の広告の該当性 ※要旨
- 顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること。
※昂進…物事の程度が高まること- 特定医薬品等の商品名が明らかにされていること。
- 一般人が認知できる状態であること。
上記3点をすべて満たす場合、広告に該当するものと判断する。
出典:薬事法における医薬品等の広告の該当性について(平成10年9月29日 医薬監第148号厚生省医薬安全局監視指導課長通知)
上記のように、広告に該当する範囲は非常に広くなっています。
たとえば、新聞や雑誌、テレビ、ラジオ、Webサイト、SNSなどにおける広告はもちろん、アフィリエイト広告なども「広告」とみなされます。
広告規制の対象者は「何人も(すべての人)」
薬機法の広告規制の対象者は「何人も」。つまり、広告主かどうか、法人・個人かどうかなどにかかわらず、違反広告に関係したすべての人が対象となります。
具体的には、広告主や広告代理店、広告を掲載した媒体(Webサイトや新聞、雑誌、テレビなど)はもちろん、アフィリエイターやインフルエンサーなども含まれます。
薬機法で禁止されている広告
薬機法では以下の広告規制によって、禁止している広告を具体的に定めています。
薬機法における主な広告規制
- 虚偽・誇大広告等の禁止(同法第66条)
- 特定疾病用医薬品等の広告の制限(同法第67条)
- 承認前医薬品等の広告の禁止(同法第68条)
虚偽・誇大広告等の禁止(同法第66条)
薬機法第66条では、医薬品等の虚偽・誇大広告等を禁止しています。
虚偽・誇大広告等の禁止(同法第66条) ※要旨
- 何人も、医薬品等の名称、製造方法、効能、効果、性能に関して、明示的・暗示的を問わず、虚偽・誇大な記事の広告・記述・流布をしてはならない。
- 医薬品等の効能、効果、性能に関して、医師などがこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事の広告・記述・流布をしてはならない。
- 何人も、医薬品等に関して、堕胎を暗示するものや、わいせつな文書・図画を用いてはならない。
出典:薬機法 第66条
医薬品等の効能や効果、性能に関する虚偽・誇大広告や、医師などが保証したと誤解されるおそれのある広告は禁止されています。そのほか、堕胎を暗示するものやわいせつ文書・図画を用いることも禁止です。
すでに述べたように、ここで注目したいのが規制の対象者が「何人も」となっている点です。薬機法に違反すると、法人・個人を問わず、違反広告に関わったすべての人が罰せられる可能性があるので注意が必要です。
特定疾病用医薬品等の広告の制限(同法第67条)
薬機法第67条では、がんや肉腫、白血病など特定疾病の治療薬に関する、一般人への広告を禁止しています。
特定疾病用の治療薬は効果が期待できる一方、強い副作用が発生するおそれもあり、使用にあたって高度な専門知識が必要です。そのため、薬機法では特定疾病の治療薬について、医師などの医薬関係者を対象にした広告に限って認め、一般人を対象にした広告は禁じています。
承認前医薬品等の広告の禁止(同法第68条)
薬機法第68条では、承認を受けていない医薬品等の名称、製造方法、効能、効果、性能に関する広告を禁止しています。
ただし、健康食品や健康・美容雑貨のように「医薬品等でないもの」でもであっても、「承認前医薬品等」とみなされ、薬機法違反になる場合があります。
たとえば、サプリメントなどの健康食品は「食品」、歯ブラシなどの健康・美容雑貨は「雑貨」にそれぞれ該当し、どちらも医薬品等ではありません。
それにもかかわらず、医薬品等と誤認させるような効能効果の表示・広告を行うと、それらの健康食品や健康・美容雑貨は「承認を受けていない医薬品等」と判断され、薬機法違反となります。
▼健康食品・サプリメント広告について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
【薬機法】健康食品・サプリメント広告のチェックポイント
▼雑貨(雑品)広告について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
【薬機法】雑貨(雑品)広告のチェックポイント
薬機法違反となる広告の判断基準
薬機法の広告規制に違反しているかどうか。それを判断するうえで指針となるのが、厚生労働省が定める「医薬品等適正広告基準」や「化粧品の効能の範囲」です。
医薬品等適正広告基準
「医薬品等適正広告基準」は、医薬品等による健康被害を防ぐため、広告の内容が虚偽・誇大にならないように、広告表現に関する基準や禁止事項などを定めたものです。 たとえば、承認を受けた効能効果の範囲を超えた表現や、「必ず治る」といった効能効果を保証する表現などは禁止されています。
化粧品の効能の範囲
「化粧品の効能の範囲」は、化粧品の効能効果として表現できる範囲(56の効能効果)を定めたものです。たとえば、「頭皮、毛髪を清浄にする」「皮膚にうるおいを与える」などの表現が認められています。しかし、「化粧品の効能の範囲」を超えた表現をすると、消費者に医薬品と誤認させることになり、虚偽・誇大広告と判断されるおそれがあります。
▼化粧品・コスメ広告について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
【薬機法】化粧品・コスメ広告のチェックポイント
▼薬用化粧品(医薬部外品)について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
薬用化粧品(医薬部外品)における美白表現の範囲
薬機法違反となる広告表現の例
では、医薬品等の広告において、具体的にどのような表現が薬機法違反になるのでしょうか。
ここでは、薬機法違反となる広告表現の例をご紹介します。
名称
承認を受けていないなど、販売名に使用できない表現は禁止されています。
例)
化粧品なのに「○○薬」などの名称・愛称を使用
※医薬品の承認を受けていないのに、医薬品と誤認させるような名称・愛称なので×
製造方法
製造方法の優秀性を誇大に認識させるおそれのある表現は、禁止されています。
例)
「最高の技術」「最先端の製造方法」など
効能効果・性能・安全性
効能効果や性能、安全性について、承認を受けた範囲や「化粧品の効能の範囲」を超える表現、確実であると保証する表現、最大級の表現は禁止されています。
例)
- 化粧品の効能として「シワを改善」
※「化粧品の効能の範囲」で定められた表現を逸脱しているので×- 「○○が全快する」「副作用の心配がない」「最高の効き目」など
※効能効果・性能・安全性について、確実であると保証する表現や最大級の表現のため×
出典:医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について(平成29年9月29日 薬生発0929第4号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)
▼薬機法の広告規制について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
薬機法の広告規制とは?違反表現や罰則について解説
▼薬機法違反に関わる違反表現・広告事例について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
薬機法違反に関わる違反表現・広告事例集134選
医薬品等の取り扱い(販売や表示など)に関する規制
薬機法では医薬品等の取り扱い(販売や表示・記載事項など)についても、さまざまな規制が設けられています。
主なものを以下にご紹介します。
【医薬品の販売について】
- 処方箋医薬品の販売(同法第49条第1項)
- 薬機法に違反する医薬品の販売・授与等の禁止(同法第55条)
- 薬機法に違反する医薬品の販売・製造等の禁止(同法第56条)
【医薬品の表示・記載事項について】
- 直接の容器等の記載事項(同法第50条、同法第51条)
- 容器等への符号(バーコード)等の記載(同法第52条第1項)
- 添付文書等の記載事項(同法第52条第2項)
- 記載事項の記載方法(同法第53条)
- 記載禁止事項(同法第54条)
緊急承認制度
薬機法では国民の生命・健康を守るために、規制だけでなく、さまざまな制度も設けています。その例として、ここでは2022年(令和4年)の薬機法改正で新設された「緊急承認制度」をご紹介します。
緊急承認制度とは
緊急承認制度とは、感染症のパンデミック(世界的大流行)などの緊急時において、治療薬やワクチンを迅速に使用できるようにするための制度です。
「特例承認」との違い
これまでも「特例承認」という制度はありましたが、「緊急承認制度」ではより迅速に医薬品等の承認ができるようになりました。
「特例承認」と「緊急承認制度」の主な違いは、以下のとおりです。
特例承認
- 海外で流通している医薬品等が対象
- 安全性と有効性を「確認」したうえで承認
緊急承認制度
- すべての医薬品等が対象(まだ海外で流通していない医薬品等も対象)
- 安全性は「確認」したうえで、有効性は「推定」できれば承認
通常、医薬品等は臨床試験を通して有効性や安全性を確認します。
特例承認の場合は、臨床試験で安全性と有効性を「確認」したうえで承認します。
一方、緊急承認制度の場合は、安全性は「確認」したうえで、通常の承認で必要な臨床試験が完了していなくても、有効性が「推定」できれば承認することができます。
4.薬機法違反に対する罰則
薬機法に違反すると、行政処分や課徴金納付命令、刑事罰を受けるおそれがあります。
行政処分
薬機法に違反すると、行政処分(業務改善命令、業務停止命令、措置命令、許可・登録の取消)を受けるおそれがあります。
製品の廃棄・回収命令(同法第70条第1項)
品質不良や不正表示の製品など、薬機法に違反した医薬品等を販売した場合、製造販売業者は製品の廃棄・回収命令を受ける可能性があります。
業務改善・停止命令(同法第72条第1項)
医薬品等の安全管理や品質管理の方法が、薬機法で定められた基準に適合していない場合、製造販売業者は業務改善命令(または改善されるまでの業務停止命令)を受ける可能性があります。
措置命令(同法第72条の5第1項)
虚偽・誇大広告等の禁止(同法第66条)や、承認前医薬品等の広告の禁止(同法第68条)に違反した場合、措置命令を受ける可能性があります。
具体的には、違反広告の中止、違反広告の再発防止策の公示(公表)などが命じられます。
許可・登録の取消(同法第75条第1項、同法第75条の2第1項)
医薬品等の製造販売業や販売業を受けた業者が、許可・登録の基準を満たしていない場合や、薬機法に違反した場合、許可・登録が取り消される可能性があります。
課徴金納付命令
虚偽・誇大広告等の禁止(同法第66条)に違反した場合、課徴金納付命令を受けるおそれがあります(同法第75条の5第2項)。
課徴金制度とは
課徴金制度とは、2021年(令和3年)の薬機法改正で導入された制度です。
もともと虚偽・誇大広告等の違反行為に対して、行政処分や刑事罰は設けられていました。しかし、近年、インターネット広告を中心に虚偽・誇大広告の違反行為が多数発生していることから、罰則の強化として課徴金制度が導入されました。
課徴金額
課徴金額は、違反(虚偽・誇大広告等)を行っていた期間中における、課徴金の対象商品の売上額×4.5%です。
なお、課徴金の対象期間は、違反行為の開始日から最長で3年間です。
課徴金制度の導入前は200万円が上限(罰金)だったのと比べると、高額な課徴金を支払わなければならない可能性があり、違反者にとって大きな経済的損失になるといえるでしょう。
ただし、課徴金納付命令には以下のような例外もあります。
・課徴金額が225万円(対象品目の売上が5000万円)未満の場合
⇒課徴金納付命令の対象外
・課徴金対象行為に該当する事実を、事案発覚前に違反者が自主的に報告した場合
⇒課徴金額が50%減額される
▼薬機法の課徴金制度について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
薬機法の課徴金制度を丸ごと解説
刑事罰
薬機法違反が悪質な場合、懲役や罰金などの刑事罰が科せられる場合があります。
主な違反行為と刑事罰の内容は、以下のとおりです。
無許可製造・販売(同法第84条)
医薬品の製造販売業(同法第12条第1項)や医薬品の販売業(同法第24条第1項)などに違反し、医薬品等を無許可で製造・販売した場合、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、または両方を科せられるおそれがあります。
虚偽・誇大広告(同法第85条)
虚偽・誇大広告等の禁止(同第66条)に違反した場合、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、または両方を科せられるおそれがあります。
特定疾病用の医薬品等に関する広告(同法第86条)
薬機法では、がんや肉腫、白血病など特定疾病の治療薬に関する、一般人への広告を禁止しています(同法第67条)。
これに違反した場合、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、または両方を科せられるおそれがあります。
5.薬機法違反を防ぐためのポイント
薬機法違反を防ぐために、以下のポイントをおさえておきましょう。
薬機法に関するガイドラインをよく理解する
薬機法に違反しないために、「医薬品等適正広告基準」など厚生労働省が公表している薬機法に関するガイドラインをしっかり理解しておきましょう。
また、国や医薬品等の各業界団体などが発信している、薬機法関連の情報やニュースも日々チェックし、情報収集することも重要です。
専門家に相談する
薬機法やガイドラインなどは、内容が複雑だったり、専門用語があったりと、一般人では解釈が難しい面もあります。
薬機法で不明点や不安がある場合は、薬機法専門のコンサルティング会社や弁護士などに相談することをおすすめします。
社内で広告ガイドラインを作成する
社内で広告ガイドラインを作成するもの有効です。広告表現で遵守すべきルールなどをまとめて、社内の担当者または社外の関係各所(広告代理店や制作会社など)と共有するといいでしょう。
6.まとめ
薬機法に違反すると、課徴金納付命令や行政処分、刑事罰を受ける可能性があり、経済的損失だけでなく、企業の場合は消費者からの信頼も損ねることになります。
医薬品等はもちろん、健康食品や健康・美容雑貨などのビジネスに関わる場合は、薬機法をしっかり理解しておきましょう。
この記事の監修を担当した弁護士

リップル法律事務所
弁護士 西脇威夫
一橋大学法学部卒。元ナイキ・インハウスロイヤー、エンターテインメント・ローヤーズ・ネットワーク会員、日本スポーツ法学会会員 他。
法人の設立、商業取引(英文及び和文の各種契約の作成・レビュー、ブランド保護、偽物対策、独禁法のアドバイス等)、人事労務、コンプライアンスについて、経験豊富。
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