薬機法の課徴金制度を丸ごと解説
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薬機法の課徴金制度を丸ごと解説

改正薬機法に基づき、2021年8月1日より、薬機法(旧薬事法)に課徴金制度が導入されました(2019年12月4日公布)。 
現在、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器その他、健康食品、ヘルスケア事業を展開している方、それら事業を支援している方のために、この制度の概要を分かりやすく、網羅的にまとめました。

薬機法の課徴金制度とは?

薬機法第66条に定められた、虚偽・誇大広告などの規制に違反し、不当な利益を得た企業に対して、その収益を取り上げる制度です。

従来、薬機法第66条の広告規制に違反した場合、逮捕されない限り、罰金は課せられませんでした。

しかし課徴金制度の導入後は、逮捕されなくても、違反対象商品の売上の4.5%に相当する額が行政の裁量で課せられます。

1億円の売上なら450万円、10億円の売上なら4,500万円と大きな経済的負担です。

医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器その他、健康食品、ヘルスケア関連企業にとって、新たなリスク事項となります。

課徴金納付命令(第75条の2)

  1. 第六十六条第一項の規定に違反する行為(以下「課徴金対象行為」という。)をした者(以下「課徴金対象行為者」という 。)があるときは、厚生労働大臣は、当該課徴金対象行為者に対し、課徴金対象期間に取引をした課徴金対象行為に係る医薬品等の対価の額の合計額(次条及び第七十五条の五の五第八項において「対価合計額」という。)に百分の四・五を乗じて得た額に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。
  2. 前項に規定する「課徴金対象期間」とは、課徴金対象行為をした期間(課徴金対象行為をやめた後そのやめた日から六月を経過する日 (同日前に、課徴金対象行為者が、当該課徴金対象行為により当該医薬品等の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して誤解を生ずるおそれを解消するための措置として厚生労働省令で定める措置をとつたときは、その日)までの間に課徴金対象行為者が当該課徴金対象行為に係る医薬品等の取引をしたときは、当該課徴金対象行為をやめてから最後に当該取引をした日までの期間を加えた期間とし、当該期間が三年を超えるときは、当該期間の末日から遡つて三年間とする。)をいう。
  3. 第一項の規定にかかわらず、厚生労働大臣は、次に掲げる場合には、課徴金対象行為者に対して同項の課徴金を納付することを命じないことができる。 一.第七十二条の四第一項又は第七十二条の五第一項の命令をする場合(保健衛生上の危害の発生又は拡大に与える影響が軽微であると認められる場合に限る。) 二.第七十五条第一項又は第七十五条の二第一項の処分をする場合
  4. 第一項の規定により計算した課徴金の額が二百二十五万円未満であるときは、課徴金の納付を命ずることができない。

引用元:昭和三十五年法律第百四十五号 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律厚生労働省

課徴金の対象となるのは「何人も」

薬機法第66条1項に「何人も」と記載されているように、禁止される誇大広告の主体は限定されていません。
広告に関与すればメディアや広告代理店、制作会社のほか、アフィリエイター・インフルエンサー・ライターなど多くの方が規制対象となります。

誇大広告の禁止(第66条)

  1. 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
  2. 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。
  3. 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。

引用元:昭和三十五年法律第百四十五号 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律厚生労働省

また、基本的には医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品を対象としているのが薬機法ですが、健康食品やサプリメント、マスクなどの雑貨についても効果効能を標ぼうした広告をして販売すると課徴金対象となる場合があるので注意しましょう。 

以下のページには広告作成時のチェックポイントについてまとめていますので合わせてご覧ください。
▶【薬機法】化粧品・コスメ広告のチェックポイント
▶【薬機法】雑貨(雑品)広告のチェックポイント
▶【薬機法】健康食品広告のチェックポイント

薬事法ドットコムでは課徴金制度の概要や対策についてまとめた有料レポートをご用意しております。
▶薬機法課徴金対策の有料レポート

景表法の課徴金制度との違い

課徴金制度と言えば、馴染み深いのは、2016年に導入された景表法。
活発に運用されており、下記のような巨額な課徴金納付命令が出されています。

景表法の課徴金額、歴代上位5社

12020年6月24日 フィリップ・モリス・ジャパン合同会社 5億7274万円 
22017年1月27日 三菱自動車燃費偽造事件(普通車) 4億8507万円
32020年12月16日 株式会社ダッドウエイ 3億7478万円
42020年3月17日 ジェイフロンティア株式会社事件 2億4988万円
52019年2月22日 株式会社TSUTAYA事件 1億1753万円

景表法の課徴金は、優良誤認・有利誤認などの不当表示に対して、売上の3%課せられますが、薬機法の課徴金は、これを上回る4.5%。当然、別個の扱いです。

したがって、一部の控除や減免規定はあるものの、景表法と薬機法、Wでペナルティを受ける可能性もあるというわけです。

薬機法と景表法の課徴金制度の違い

 薬機法景表法
対象者何人も事業者
対象行為虚偽・誇大広告優良誤認表示、有利誤認表示
対象期間違反行為を行なっていた期間+6ヶ月〜3年違反行為を行なっていた期間+6ヶ月〜3年
算定率売上の4.5%売上の3%
免除基準額225万円未満(売上5,000万円)150万円未満(売上5,000万円)

さらに、課徴金の徴収対象は、景表法が「事業者(広告主)」であるのに対し、薬機法は「何人(なんびと)も」と記載あるように、広告主に限定しません。

広告に関与すれば、メディアや広告代理店、制作会社のほか、アフィリエイター・インフルエンサー・ライターも規制対象となる点も注意を要します。

制度を導入する目的・背景

課徴金制度の導入の目的は、薬機法違反の抑止を図り、広告規制の実効性を確保することです。

 

背景には、行政の下記問題認識があげられます。

  • 虚偽・誇大広告違反事例が減少していない
  • 業務停止や行政処分による抑止効果が働きにくい
  • 違反広告により利益を得た業者に対して、その利益を社会に還元させる制度がない

特に、ノバルティスファーマ社の受容体拮抗薬「ディオバン」の効果に関する臨床研究でデータ改ざんが行われ、これに基づく学術論文掲載が議論の発端となりました。

その後、ネット広告費がテレビ広告費を上回り、問題認識がさらに高まる中、導入された措置となります

課徴金納付命令までの流れ

課徴金納付命令までの流れ

制度導入の影響

いくら魅力的な医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器その他、健康食品、ビジネスモデルを持っていても、薬機法を知らなかったばかりに、違反となるとどうなるでしょう?

課徴金という直接的な経済的負担だけでなく、行政指導や製品回収・広告中止による損害、社内規程の整備や従業員教育・訓練などの体制構築コスト、業者名公表によるレピュテーションリスクなど、事業運営に多大な影響を及ぼします。

この記事の監修を担当した弁護士

西脇 威夫

リップル法律事務所
弁護士 西脇威夫

一橋大学法学部卒。元ナイキ・インハウスロイヤー、エンターテインメント・ローヤーズ・ネットワーク会員、日本スポーツ法学会会員 他。
法人の設立、商業取引(英文及び和文の各種契約の作成・レビュー、ブランド保護、偽物対策、独禁法のアドバイス等)、人事労務、コンプライアンスについて、経験豊富。

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