【薬機法】健康食品・サプリメント広告のチェックポイント
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【薬機法】健康食品・サプリメント広告のチェックポイント

健康食品事業に従事する方、あるいはそれら事業の広告を取り扱う方のために、薬機法(旧・薬事法)観点で注意すべきことを網羅的にまとめました。

健康食品は薬機法で定義されない“一般食品”

健康食品と薬機法は、密接な関わりを持つことから誤解されがちですが、実は健康食品は、薬機法という法律で定義されておらず、一般食品と同じ扱いです。

 

薬機法は、基本的には医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器の品質・有効性および安全性を確保することを目的とした法律です。

法令にてそれぞれ定義されていますので、詳しくは薬機法の解説をご確認ください。

 

したがいまして、健康食品は、薬機法規制の対象外となります。

 

ただし、健康食品にもかかわらず「おなかの調子を整えます」「脂肪の吸収をおだやかにします」などの効果効能を標ぼうした広告をして販売すると、法律上、医薬品とみなされ、薬機法に抵触します。

 

結果、無免許での医薬品や医療機器の販売のみならず、未承認の医薬品・医療機器広告を禁止する第68条違反(2年以下の懲役または200万円以下の罰金)になるので注意が必要です。

承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止(第68条))

何人も、第14条第1項又は、第23条の2の5第1項若しくは第23条の2の23第1項に規定する医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、まだ第14条第1項、第19条の2第1項、第23条の2の5第1項、第23条の2の17第1項、第23条の25第1項若しくは第23条の37第1項の承認又は第23条の2の23第1項の認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。


引用元:昭和三十五年法律第百四十五号 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律厚生労働省

サプリメントも“一般食品”と同じ扱い

なお、健康食品に類似する存在として、サプリメントも市場で多く流通しています。

 

亜鉛やビタミンなど、特定成分が濃縮された錠剤やカプセル形態の商品を指すことが多いですが、こちらも健康食品と同様、薬機法では定義されておらず、一般食品と同じ扱いです。

 

国が定めた特定の栄養成分であり、かつ定められた上・下限値の範囲内であれば「亜鉛は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です」などの表示をすることが可能ですが、定められた表示内容を逸脱すると、法律上、医薬品とみなされ、薬機法に抵触する点は、変わりません。

脂 肪 酸(1種類)n-3系脂肪酸
ミネラル類(6種類)亜鉛、カリウム※、カルシウム、鉄、銅、マグネシウム
ビタミン類(13種類)ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、
ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸

チェック1:健康食品・サプリメントの定義を知ろう

薬機法が規制する主要な対象物は以下の4つ。 

  • 医薬品…病気の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物
  • 医薬部外品…吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止、あせも、ただれ等の防止、脱毛の防止、育毛又は除毛を目的として使用される物
  • 化粧品…人の身体を清潔する、美化・魅力を増す、容貌を変える、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦・散布などで使用されることが目的とされている物
  • 医療機器…病気の診断、治療若しくは予防に使用される、又は身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具

効果効能を含めて、医薬品の範囲に関する基準が、4つの視点で定められているので、合わせてご紹介いたします。

  • 成分本質:医薬品専用の成分を指定しているか
  • 効能効果:身体の変化を表現しているか
  • 形状:医薬品と思わしき形状であるか
  • 用法用量:決まった用法用量が明示されているか

成分本質:医薬品専用の成分を指定しているか

効能効果:身体の変化を表現しているか

形状:医薬品と思わしき形状であるか

・用法用量:決まった用法用量が明示されているか

一方で、例外的に効果効能を言えるケースがいくつかあります。

明らか食品、そして国が認めた保健機能食品(トクホ、栄養機能食品、機能性表示食品)です。

明らか食品

明らか食品とは、誰が見ても明らかな食品。

例)
  1. 野菜、果物、卵、食肉、海藻、魚介等の生鮮食料品及びその乾燥品(ただし、乾燥品のうち医薬品として使用される物を除く)
  2. 加工食品 (例)豆腐、納豆、味噌、ヨーグルト、牛乳、チーズ、バター、パン、うどん、そば、緑茶、紅茶、ジャスミン茶、インスタントコーヒー、ハム、かまぼこ、コンニャク、清酒、 ビール、まんじゅう、ケーキ、等
  3. 1、2の調理品(惣菜、漬物、缶詰、冷凍食品 等)
  4. 調味料 (例) 醤油、ソース 等

医薬品と誤解する人もいないため、効果効能をうたっても、薬機法違反とはなりません。

 

▶︎ 明らか食品って何ですか?《健康食品カテゴリー》

 

もちろん、効果効能表現がオーバートークの場合、景表法を問われるため、注意が必要です。

保健機能食品

国が定めた一定の要件をクリアすることで、薬機法上の広告規制をクリアし、効果効能(機能性)をうたうことができます。


これらの総称を「保健機能食品制度」と言い、トクホ、栄養機能食品、機能性表示食品が該当します。

特定保健用食品(トクホ)

健康の維持増進に役立つことが科学的根拠に基づいて認められ、「コレステロールの吸収を抑える」などの表示が許可されている食品です。 機能性(効果)や安全性は国が個別審査を行い、食品ごとに消費者庁長官が許可しています。

栄養機能食品

国が定めた特定の栄養成分(ビタミン、ミネラルなど)の摂取目安量に適合した食品です。

一日に必要な栄養成分が不足しがちな場合、その補給・補完のために利用できます。

機能性表示食品

事業者の責任で、科学的根拠を基に商品パッケージに機能性を表示するものとして、消費者庁に届け出られた食品が機能性表示食品です。
機能性表示食品では「おなかの調子を整えます」「脂肪の吸収をおだやかにします」など、特定の保健の目的が期待できる(健康の維持及び増進に役立つ)という食品の機能性を表示することができます。

特に、注目されているのが、消費者庁管轄で2015年4月にスタートした「機能性表示食品」制度。

消費者が、正しい商品選択ができるように、安全性の確保や科学的なエビデンスをそろえることなどを条件に、一定の効果効能をうたうことを認める制度です。

薬事法ドットコムでは、薬機法にまつわるソリューションの一環として、下記サービスも手がけていますので、ぜひご相談ください。

▶︎ 機能性表示食品届出コンサルティング

保健機能食品比較表
保険機能食品の分類
国の審査
手続き・承認
マーク・表示
特徴
機能性表示食品
×

安全性の確保と科学的根拠を前提に消費者庁に届出(届出のみ)
×

マークなし、パッケージに「機能性表示食品」と表示されている
事業者の責任において機能性(効果)を表示できる
特定保健用食品
(トクホ)

機能性(効果)や安全性を個別審査

食品ごとに消費者庁長官が許可

消費者庁許可のマークがあり、「特定保健用食品」と表示されている
許可手続きに時間と費用がかかる
栄養機能食品
×
×

許可・届出は不要
×

マーク無し
国が定めた表現によって機能性(効果)を表示 / 対象成分が限定されている

有効成分の効果と安全性が国に認められている「医薬品」、育毛剤や入浴剤などが分類される「医薬部外品」とは違い「機能性表示食品」は疾病の診断、治療、予防を目的としたものではなく「食品」に分類される「保健機能食品」の中のひとつです

食品と医薬品の分類表

有効成分の効果と安全性が国に認められている「医薬品」、育毛剤や入浴剤などが分類される「医薬部外品」とは違い「機能性表示食品」は疾病の診断、治療、予防を目的としたものではなく「食品」に分類される「保健機能食品」の中のひとつです

チェック2:健康食品・サプリメントの広告規制を知ろう

健康食品事業に従事する方、あるいはそれら事業の広告を取り扱う方が特に抑えておくべきなのが、広告規制。

 

前述した通り、健康食品やサプリメントは、薬機法上の定義はありませんが「おなかの調子を整えます」「脂肪の吸収をおだやかにします」などの効果効能を標ぼうした広告をして販売すると、法律上、医薬品とみなされます。

 

※保健機能食品(トクホ、栄養機能食品、機能性表示食品)は除く 

 

その他、健康食品やサプリメントの広告で確認しておくべき法令として、下記に代表的なものをピックアップしました。

薬機法以外でも確認すべき法令

健康増進法

国民の健康維持と現代病の予防を目的とする一方、健康保持増進の効果などについて、虚偽・誇大広告の禁止などについて規定した法令です。

食品衛生法

食品の衛生上の危害防止と国民の健康保護を目的とし、衛生的な規格と基準を定めた法令です。

食品表示法

消費者が食品を購入するとき、正しく理解・選択・使用するための表示ルールを定めた法令です。

 

薬事法ドットコムでは、健康食品をとりまく規制の全体像やリスク、規制をクリアするケーススタディまで、わかりやすく解説したガイドブックもご用意しています。 

 

▶︎ 健康食品・薬事法コンプライアンスのノウハウ<2022年版>

景品表示法

商品やサービスの品質・内容・価格等をいつわった表示や、過大な景品類の提供を防ぐための法令です。

 

たとえば最近では、洗濯機に入れると、洗剤を使った時と同レベルの洗浄効果があるとうたった商品が、合理的根拠なしとされ、行政処分をくだされています。

違反した場合は、行政による措置命令や課徴金が課され、その事実が消費者庁HPやNEWS等でも一般公開されますので、注意が必要です。

 

薬事法ドットコムでは、景表法の概要やリスク、ケーススタディから万が一、行政から指導が入った場合の対応方法に至るまで、わかりやすく解説したガイドブックもご用意しています。

 

▶︎ 3時間で分かる!景表法(不当表示)<2022年版>‐3回のメール質問付き

特定商取引法

事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防ぎ、消費者の利益を守ることを目的とする法令です。

 

▶︎ 特定商取引法改正2021年!改正内容の解説

その他

薬事法ドットコムでは、薬機法・健康増進法・食品衛生法・食品表示法・景品表示法・特定商取引法などの主要法令以外におさえておきたい行政通知や業界ルールもまとめています。

 

そもぞも健康食品やサプリメントを扱う際、何に注意すれば良いかわからない?という方は、ぜひご覧ください。

 

▶︎ 薬機法(薬事法)違反はこれでチェック!薬機法ルール集:4.健康食品

チェック3:健康食品・サプリメントの違反表現を知ろう

原理原則がわかったところで、具体的なOK/NG例を知ると、実務で判断する際の勘所が磨かれていきます。 

 

ここでは、健康食品やサプリメントの広告で認められる表現と認められない表現について、一部ご紹介いたします。

訴求認められる表現認められない表現
シミ「太陽がまぶしい夏の美容対策」ならNGではない。「紫外線によるシミを防ぐ」という表現は、予防も体の変化と言えるのでNG。「紫外線」は、限定的なワードなので避けた方が良いでしょう。
ハリ、ツヤ「化粧品のノリが良くなった感じがする」であれば、ギリギリでしょう。「女子力が上がった気がする」というのも可能でしょう。肌の変化をうたうと「体の具体的変化」をうたうことになりNG。「ハリ、ツヤ」は「肌」という言葉はないものの、それを暗示していると言われる危険性があります。実際、ドリンクの容器にこれを書いていて指導された例がありますので止めた方がよいでしょう。
「美容のためのサプリ」「友達に化粧品変えたの︖って聞かれます」くらいしか言えません。「肌をきれいにする」程度の抽象度ではNGです。肌がきれいになるということは体の具体的変化とみなされます。
コラーゲン「肌の成分コラーゲン配合サプリ」ならOKです。46通知の解説において「体の成分を配合した旨の表現は可」とされています。「美肌の成分コラーゲン配合サプリ」という表現だと、「美肌」は「肌を美しくする」ということで体の変化となりますのでNGです。
目の下のクマ「ずっと黒ずんだ顔をしていると言われましたが、最近明るい顔になったと言われます」「ずっと暗い感じに受け取られていましたが、この間、明るいねって言われてうれしかったです」であれば可能でしょう。「目の下のクマがとれた」という表現は、体の変化なのでNGです。
ダイエット「××を飲み始めて1ヶ月、流行のスリムなデザインのズボンが似合うと言われています。」なら不可ではないでしょう。「××を飲み始めて1ヶ月、ポッコリしたお腹がへこみました。」などの部分痩身の表現はNGです。「ポッコリしたお腹がへこむ」はこれにあたります。
バストアップ「グラビアモデルに人気です。」だとギリギリでしょう。「爆乳サプリ」という表現は、バストアップの趣旨にあたり、体の具体的変化になるのでNGです。
育毛「美容院が開発したサプリ」ならOKです。「育毛サプリ」は、「毛を育てる」は体の変化なのでNGです。「育毛サロン」が開発したサプリもNGです。
「歯を白くする」ことが、ガムの成分が歯の表面を覆って白くなるという趣旨なら必ずしもNGとは言えません。ガムの成分等が歯の表面を覆うことで白く見せるという趣旨であっても、なおかつ※等で注記する必要があるでしょう。「歯を白くする」など、ガムの成分が溶け込んで歯が白くなるという趣旨ならNGです。
関節「毎日元気で歩ける喜び。」ならOKでしょう。「ひざの痛みに」という表現は、ひざの痛みがよくなることを示唆しておりNGです。

薬事法ドットコムでは、上記のような薬機法や景表法を踏まえた代替表現集をご用意しています。

広告審査が通らずお悩みの事業会社や広告代理店の方、健康・美容関連の案件で優位性を持ちたいライター・アフィリエイター・インフルエンサーの方に好評です。  

薬機法を知るべき理由、知らないことのリスク

いくら魅力的な健康食品やサプリメント、それらのビジネスモデルを持っていても、薬機法を知らなかったばかりに、違反となるとどうなるでしょう?

 

前述した罰金だけでなく、行政指導や製品回収・広告中止による損害、レピュテーションリスクなど、事業運営に多大な影響を及ぼします。 

日頃からチェック体制やいざという時の対応スキームを整備しておくことが大切です。

繰り返しになりますが、薬機法の規制対象は「何人(なんびと)も」と記載あるように、広告主に限定しません。

広告に関与すれば、メディアや広告代理店、制作会社のほか、アフィリエイター・インフルエンサー・ライターも規制対象となる点も注意を要します。

こんな悩みがあれば、お気軽にお問い合わせください。

  • 自社がどの程度薬機法リスクがあるのか分からない
  • 広告表現チェックはできても、良い代替表現が見つからない
  • チェックやマニュアルに基づくの法令遵守体制をつくりたい
  • 社員教育やセミナーをして欲しい
  • 課徴金制度を踏まえた、売上アップの方法を知りたい

薬事法ドットコムは、国内最高峰の薬事コンサルティング企業として、高級官僚OB(大蔵省・厚生省・警察庁)、元検事長・政府委員など、法律・行政・医学・統計学・マーケティングの権威が集結。

最新の動向を踏まえ、マーケティング効果と法令遵守のバランスを第一に考えたコンサルティングを提供いたします。

「何を相談したら良いか分からない」という疑問から、まずはお気軽にお問合せください。

この記事の監修を担当した弁護士

西脇 威夫

リップル法律事務所
弁護士 西脇威夫

一橋大学法学部卒。元ナイキ・インハウスロイヤー、エンターテインメント・ローヤーズ・ネットワーク会員、日本スポーツ法学会会員 他。
法人の設立、商業取引(英文及び和文の各種契約の作成・レビュー、ブランド保護、偽物対策、独禁法のアドバイス等)、人事労務、コンプライアンスについて、経験豊富。

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