こんにちは。YDCのミッシーです。
それでは機能性表示最新情報をご紹介します。
K1113 SUNKINOU(サンキノウ) オ
リーブ
「本品にはオレウロペインおよびヒドロキシチ
ロソールが含まれます。オレウロペインとヒド
ロキシチロソールは、血中LDLコレステロール
の酸化を抑制することが報告されています。」
届出者は三生医薬社で、SRの作成は三菱ケミカ
ル社となっています。三菱ケミカル社でヒドロ
キシチロソールと言えば、思い出されるのはさ
くらフォレスト事件。この事件によって、三菱
ケミカル社のヒドロキシチロソールのSRは科学
的根拠が不十分という指摘を受け、市場から消
えていきました。その後に他社から登場したの
が、新しい論文を加えた上で、メタアナリシス
を実施することで、科学的根拠を強化するとい
うものでした。この方法は、複数社が採用して
おり、現在のヒドロキシチロソール・コレステ
ロールSRの主流となっています。
今回のK1113のSRは、そんな三菱ケミカル社の
逆襲の一面をはらんでいます。順にみていきま
しょう。まず、SRとしては(1)Covas2006、
(2)de la Torre-Carbot2010、(3)Olga20
12の3報を採用。この内、(2)は三菱ケミカ
ル社の昔のSRでも採用していたもの。(1)は
冒頭で紹介した最近主流となっているタイプの
SRにおいて採用されている論文です。
何が逆襲なのか、その一つ目は、今回のSRでは
機能性関与成分としてヒドロキシチロソールだ
けでなく、オレウロペインも加えられているこ
と。これは、三菱ケミカル社自身の過去のSRを
否定するだけでなく、(1)や(2)の論文を
採用する他社のSRについても、寄与する成分は
ヒドロキシチロソールだけなのか、という問題
を提起します。
K1113のロジックはこうです。(2)の論文よ
り、低用量:精製オリーブオイル(ヒドロキシ
チロソール0mg、オレウロペイン0mg)、高用量:
バージンオリーブオイル(ヒドロキシチロソ
ール1.59mg、オレウロペイン8.18mg)において
、高用量摂取において有意な改善がみられてい
る。
また、「精製オリーブオイルにはフェノール類
が含まれていないのに対し、バージンオリーブ
オイルには複数種のフェノール類が含まれてい
た。特定されたフェノール類の総量(629 mg/L)
のうち、ヒドロキシチロソール(63.5 mg/L)、
チロソール(24.4 mg/L)、オレウロペイ
ン(327.2 mg/L)、リグストロシド(208.0 mg
/L)が99%の量を占めていた。」とした上で、
「ヒドロキシチロソール、チロソール、オレウ
ロペイン、リグストロシドを用いて、ヒトLDL
コレステロールの酸化抑制作用を同濃度で比較
したところ、ヒドロキシチロソール、オレウロ
ペインには抗酸化作用が認められたが、チロソ
ール、リグストロシドには抗酸化作用が認めら
れなかった」と引用(非公開資料)しています。
ただ、引用が非公開資料であることなどもあり、
真の機能性関与成分がなんであるかについて
は、科学的な見解はまだわかれるところだと思
います。実際に、これまでのSRでもこういった
見解の相違は度々起きており、その後、明確に
なっていないままのものも多くあります。
真に逆襲となりうるのは2つ目の点です。この3
つの論文について、K1113では、(2)(3)
の論文は(1)の論文で行われた試験のサブグ
ループ解析であり、実質的にこの3つは同一の
試験に由来しているため、メタアナリシスを実
施しない、と明言しています。実際に確認して
みると、(2)は本文中に(1)のサブサンプ
ルであることが明記されており、(1)と
(3)は、臨床試験の登録番号が共に
ISRCTN09220811と同一です。
このため、K1113がメタアナリシスを実施しな
かったことは、被験者数の2重カウントを防ぐた
めに妥当な措置であると思われます(Cochrane
Handbookでは、こうした2重カウントはunit-of-
analysis errorとして注意喚起されている)。
一方、既存のメタアナリシスでは(1)と(2)
を独立した試験としてメタアナリシスを実施
してしまっています(中には(1)の用量違い
をそれぞれ独立した試験として計上し、プラセ
ボ群の人数を2重カウントしているものもある)。
そうなると、既存のメタアナリシスの結果に問
題はないのか、という強烈なカウンターになり
えます。また、もう1歩突き詰めて考えると、
ヒドロキシチロソールのコレステロールSRは(
今回のK1113も含めて)、その多くが1つの研究
に強く依存している、という構造も浮かび上が
ってきます。この点について各社がどう考える
のかはわかりませんが、一波乱あるのか、興味
深く見守りたいところです。
それでは、またメールしますね。
