機能性表示最新情報 412号 / 手引きの一部改正

こんにちは。YDCのミッシーです。

10月1日に機能性表示食品の手引き、及び、質

疑応答集の一部改正が公開されました。主な変

更内容としては、栄養成分を含まない旨の表示

が可能となったことに関するものと言えそうで

す。新旧対照表が出ていますので、当該の表示

をしようと考えている方は、変更箇所を確認し

ておくと良いと思います。

ただ、上記以外にもいくつか変更点があり、中

でも気になった個所を二つほどご紹介します。

まずは一つ目、SRや論文のデータベースに添付

する際の決まりごとについてです。

「臨床試験(ヒト試験)は論文ごとに、システ

マティックレビュー(SR)はSRごとに、各欄に

添付すること。ファイル名には、機能性関与成

分とその機能性を含めること。例:(V)-1

-1~17(GABA、血圧) 」

添付するファイル名の命名規則が明示されてい

ます。これから届出申請を行う方は、忘れずに

ファイル名をチェックするようにしてください。

次に二つ目、これは質疑応答集からです。

問5-19  

(答)

別紙様式(5)-11a及び11b(各論文の質評価

シート)のバイアスリスクの評価項目のうち、

(1)選択バイアス、(2)盲検性バイアス、(3)盲

検性バイアス、(4)症例減少バイアス、(5)選択

的アウトカム報告及び(6)その他のバイアスは、

必ず評価を行い、その結果を記載すること。こ

れらの項目以外の項目を評価すること、及び

(1)~(4)を評価する場合に当該項目の詳細(例

えば、(1)選択バイアスであれば、ランダム化

及び割り付けの隠蔵)に別の詳細を追加してそ

の結果を記載すること(評価をしていない詳細

の枠には斜線を引くこと)は差し支えない。

この内容からすると、バイアスリスクの評価項

目は追加可能だが、評価項目自体の改変は不可

という事になります。それの何が気になるかと

言えば、一般的なシステマティックレビューで

使用されるようなバイアスリスク評価ツールを、

機能性表示のSRでも使おうとすることが難しく

なると思ったためです。

一般的なシステマティックレビューにおいて使

う有名なツールとしては、ROB2(Risk of bias

 tools2)などがあります。こういったツール

 を使用することの利点は、評価項目や基準と

 いったツールの妥当性が検証されていること

 です。

ROB2の評価項目と、上記の(1)から(6)を紐づ

けることはある程度は可能だと思いますが、完

全に一致はしません。ROBに設定されているバ

イアス領域(ドメイン)は5つなので、(1)~

(6)の6項目とは数が違うためです。

既存の評価ツールの適用という点から考えると、

ROBUST-RCTなどが向いているのかもしれません。

こちらは評価項目にオプションがいくつかある

ため、ある程度は柔軟に適用できそうな感じが

します。ただ、こちらは新しいツールなので評

価の妥当性に疑問符が付く、という問題はあり

ます。

なお、評価項目については(1)~(6)を厳守とし

ている割に、その中身や基準については相変わ

らず何も定められてはいないので、やろうと思

えばガバガバな基準を設定して、エビデンスを

良く見せることもできてしまいます。

既存の評価ツールの使用はそれを防ぐ意味でも

ありではないか、と思っていただけに少し残念

な改正内容という感じがしました。

それでは、またメールしますね。