こんにちは。YDCのミッシーです。
10月1日に機能性表示食品の手引き、及び、質
疑応答集の一部改正が公開されました。主な変
更内容としては、栄養成分を含まない旨の表示
が可能となったことに関するものと言えそうで
す。新旧対照表が出ていますので、当該の表示
をしようと考えている方は、変更箇所を確認し
ておくと良いと思います。
ただ、上記以外にもいくつか変更点があり、中
でも気になった個所を二つほどご紹介します。
まずは一つ目、SRや論文のデータベースに添付
する際の決まりごとについてです。
「臨床試験(ヒト試験)は論文ごとに、システ
マティックレビュー(SR)はSRごとに、各欄に
添付すること。ファイル名には、機能性関与成
分とその機能性を含めること。例:(V)-1
-1~17(GABA、血圧) 」
添付するファイル名の命名規則が明示されてい
ます。これから届出申請を行う方は、忘れずに
ファイル名をチェックするようにしてください。
次に二つ目、これは質疑応答集からです。
問5-19
(答)
別紙様式(5)-11a及び11b(各論文の質評価
シート)のバイアスリスクの評価項目のうち、
(1)選択バイアス、(2)盲検性バイアス、(3)盲
検性バイアス、(4)症例減少バイアス、(5)選択
的アウトカム報告及び(6)その他のバイアスは、
必ず評価を行い、その結果を記載すること。こ
れらの項目以外の項目を評価すること、及び
(1)~(4)を評価する場合に当該項目の詳細(例
えば、(1)選択バイアスであれば、ランダム化
及び割り付けの隠蔵)に別の詳細を追加してそ
の結果を記載すること(評価をしていない詳細
の枠には斜線を引くこと)は差し支えない。
この内容からすると、バイアスリスクの評価項
目は追加可能だが、評価項目自体の改変は不可
という事になります。それの何が気になるかと
言えば、一般的なシステマティックレビューで
使用されるようなバイアスリスク評価ツールを、
機能性表示のSRでも使おうとすることが難しく
なると思ったためです。
一般的なシステマティックレビューにおいて使
う有名なツールとしては、ROB2(Risk of bias
tools2)などがあります。こういったツール
を使用することの利点は、評価項目や基準と
いったツールの妥当性が検証されていること
です。
ROB2の評価項目と、上記の(1)から(6)を紐づ
けることはある程度は可能だと思いますが、完
全に一致はしません。ROBに設定されているバ
イアス領域(ドメイン)は5つなので、(1)~
(6)の6項目とは数が違うためです。
既存の評価ツールの適用という点から考えると、
ROBUST-RCTなどが向いているのかもしれません。
こちらは評価項目にオプションがいくつかある
ため、ある程度は柔軟に適用できそうな感じが
します。ただ、こちらは新しいツールなので評
価の妥当性に疑問符が付く、という問題はあり
ます。
なお、評価項目については(1)~(6)を厳守とし
ている割に、その中身や基準については相変わ
らず何も定められてはいないので、やろうと思
えばガバガバな基準を設定して、エビデンスを
良く見せることもできてしまいます。
既存の評価ツールの使用はそれを防ぐ意味でも
ありではないか、と思っていただけに少し残念
な改正内容という感じがしました。
それでは、またメールしますね。
