機能性表示最新情報 385号 / 健康食品産業協議会のPRISMA2020ガイド

こんにちは。YDCのミッシーです。

先日、 健康食品産業協議会より、PRISMA2020

でSRを作成する際の留意点についてまとめたも

のが公表されました。

https://x.gd/N9iDu

この資料は3月13日に開かれた「保健機能食品

等に関する説明会」にて業界団体から提出され

たものとして、消費者庁のHPにも掲載されてい

ます。

https://www.caa.go.jp/policies/policy

food_labeling/foods_with_health_claims/

info_session/

それだけを見ると、消費者庁の公認のようにも

見えますが、少し気になるところもあります。

消費者庁からの指摘でよく見るものとして、報

告バイアスに関する次の指摘があります。

#14 報告バイアスの評価方法の記載として十分

か。下記について具体的に記載する必要がない

か。

(1) 出版・言語バイアス等の回避を目的とした

網羅的な検索(臨床試験計画登録UMINCTRや

ICTRP などの検索)

(2)選択的アウトカムバイアス等の回避を目的

とした採用論文の不明確な情報の取得(試験方

法の不明確な点、例えばランダム化や盲検化、

欠測となっているデータなどに関する著者への

問い合わせなど)

(3)(メタアナアリシス時)ファンネルプロッ

ト等を使った出版バイアスの評価段階とその評

価基準(どのような基準で各評価段階に落とし

込んだか)を含めた方法を記載する必要がない

か。また、(1)(2)の結果をどのように評

価に反映することとしていたか。

一方、健康食品産業協議会の資料では#14の記

載ポイントとして以下のようにあります。

・採用文献の研究内の特定の結果の欠測ではな

く、採用した研究全体に含まれなかった研究を

評価する方法を評価基準を含めて記載する。

・例えば、臨床研究登録データベースの検索等

を実施し未報告研究の扱いを評価基準とする。

・レビューワーの数、独立して作業した旨、判

断方法 (例:A, B不一致の場合、第三者が仲裁

に入る等) を記載する。

比較して見ると、消費者庁の指摘の(2)と、

健康食品産業協議会の資料の一番上の記載ポイ

ントはかみ合わない印象があります。(2)は

明らかに個別の文献の欠損データを焦点として

いますが、健康食品産業協議会の方では「研究

内の特定の結果の欠測ではなく」と言っていま

す。

どちらが正しいという話ではなく、どうも重視

しているポイントが両者で異なるような感じが

します。おそらく、健康食品産業協議会の資料

だけを頼って、(2)の視点が抜けていると、

指摘が来るのではないでしょうか。そう考える

と、健康食品産業協議会の資料は役には立つが、

これだけでは足りない、といった感じがします。

そういった点を補えるような、PRISMA2020に関

するその他の資料としては、

「PRISMA 2020 explanation and elaboration:

 updated guidance and exemplars for

 reporting systematic reviews」といった論

 文があります(https://www.bmj.com/content

 /372/bmj.n160)。

他には以前にメルマガで紹介した、薬理と治療

1月号に掲載された、東京農業大学の上岡氏の

PRISMA2020準拠SRの質に関するレビュー論文。

その付録として、「PRISMA2020におけるチェッ

クリストの詳細版(細目)」という資料があり

ます。この資料では、上記のPRISMA 2020

explanation and elaborationにおいて各項目

に記載するEssential elementsとしている部分

が和訳して載せられています。

ちなみに、上記論文では#14 のEssential

elementsとして、「Report any processes

used to obtain or confirm relevant

information from study investigators.」と

いう記載があります。消費者庁の(2)の指摘

に対応した部分と思います。ただ、これは7項

目挙げられているうちの1つにすぎません。興

味のある方は論文をご確認ください。

それでは、またメールしますね。