こんにちは。YDCのミッシーです。
薬理と治療1月号に、2024年4月1日から9月30日
までに公表されたPRISMA2020準拠SRの質に関す
るレビュー論文が掲載されていました。著者は、
東京農業大学の上岡氏です。PRISMA2020の和訳
や、以前にも同様にSRの質評価の論文などを出
している方ですね。
この論文では、PRISMA2020に即したSRであるか
形式的なチェックを行い、各項目ごとに不備率
を集計しています。
形式的というのは、例えばバイアスリスクの評
価方法などが実際に適正であったかどうかにつ
いては評価しないということです。ある意味で
は、機能性表示食品の審査制度の本来的な
やり方と言えるかもしれません。
この論文における全体的なSRへの評価は厳しい
もので、なかなか耳の痛い話です。
不備が多いとされている項目については、消費
者庁からの差戻においてよく指摘されているの
を目にする項目もあります。論文及び付録の資
料では、そういった項目を改善するポイントも
示されているため、指摘に苦労している方は参
考にするとよいのではないでしょうか。
他方で、この論文では不備があるとされる項目
と、消費者庁が重視して指摘してくる項目は、
完全に一致するものではないという感じもあり
ます。
例えば、考察やその他の情報(項目23や24関
連)について、この論文では不備が多いとされ
ています。しかし、実際の申請においてはこう
いった項目に不備指摘があって差戻しになった、
という事例はあまり目にしたことがありません。
また、論文では報告バイアスに関する項目につ
いては、形式的な意味ではほとんど不備がない
ことになっています。
しかし、最近の差戻し事例を見ていると、既存
のPRISMA2020準拠SRと同程度の報告バイ
アスの記述に指摘がされており、その内容につ
いてもかなり細かいように見受けられます。
こうした点については、消費者庁は形式から一
歩踏み込んで、内容の適正性についても精査し
ている、ということかもしれません。
年度末まで残すところ2か月弱です。皆様もそ
ろそろPRISMA2020準拠SRへ切り替える準備
をされていることと思いますが、形式、そして
内容ともに不備とならぬよう、丁寧な記載を心
がけてください。
それでは、またメールしますね。