機能性表示最新情報 265号 / トクホ基準ではないRCT

こんにちは。YDCのミッシーです。

それでは今回の機能性表示最新情報をご紹介
します。

◆H340 清祥茶房

「本品はグロビン蛋白分解物(VVYPとして)
を含みますので、食後の中性脂肪の上昇を抑
える機能があります。」

グロビン蛋白分解物という表現は初出ですが、
実際の成分としては、グロビン由来バリン-
バリン-チロシン-プロリンなどと同一のもの
ですね。

RCTによる申請となるH340ですが、その論文
は2002年となっており、今、新規のRCT申請
に使うものとしては古い論文という印象があ
ります。しかし古い論文だからこそのちょっ
としたテクニックがあるので、今回ご紹介し
ます。

まずは論文の内容から見ていきましょう。
試験デザインは単盲検クロスオーバー試験。
被験者数は13名で、その内健常者(110mg以
下)7名、正常高値(111~149mg) 6名です
が、正常高値群の中には高脂血症者1名が含
まれているとされています。

この論文では、健常者と正常高値者を分けて
測定しており、そのどちらの群でも、食後の
TGの上昇は抑制されたとしています。

さて、ここで「特定保健用食品の表示許可等
について」で示される、血中中性脂肪の試験
法について見てみます。それによると、食後
の血中中性脂肪の上昇関係の被験者設定は次
の通りです。

原則として、血中中性脂肪が正常高値域者及
びやや高めの者を 対象とする。

正常高値域 :血中中性脂肪 120~149mg/dL
やや高め :血中中性脂肪 150~199 mg/dL

H340の試験内容と照らし合わせてみた場合、
健常者(110mg以下)は上記に該当しません。
また、正常高値(111~149mg)についてもや
や範囲を外れている上、この中には病者(高
脂血症者)が含まれているということですか
ら、そもそも評価対象として適切ではない、
ということになります。

ではH340がこの点にどう対応しているかとい
うと、別紙様式5-2に次の記載があります。

本臨床試験(ヒト試験)は「特定保健用食品
の表示許可等について」が制定される前に実
施されたことから、 別添2「特定保健用食
品申請に係る申請書作成上の留意事項」(以
下、同留意事 項)に示されている試験方法
に準拠した試験ではない。 しかし、機能性
表示食品の届出等に関するガイドライン
「(Ⅴ)機能性に係る 事項」には、「同留
意事項の発出前の時点において研究計画につ
いて倫理審査委員会の承認を受けた臨床試験
については、特定保健用食品に係る従前の通
知に準拠していればよいこととする。」とさ
れている。本臨床試験(ヒト試験)は倫理審
査委員会の承認を受けていることに加え、本
届出品と同製品である清祥茶房は 特定保健
用食品として許可されており(許可番号:第
637号)、従前の通知に準拠している。

以上の点から、本臨床試験(ヒト試験)
は機能性表示食品制度に沿った臨床試 験
(ヒト試験)方法であると考える。

ちょっと抜け穴的な方法ですが、機能性表示
の初期の頃には上記の理由がしばしば用いら
れていました(A282、B7、B44など)。

それでは、またメールしますね。