機能性表示最新情報 246号 / 運動時と日常活動時の違いは?

こんにちは。YDCのミッシーです。

前々回に運動に絡めた訴求の話をしましたが、
今回の機能性表示最新情報も、運動絡みの事例
を取り上げます。
まずは次の二つの事例をご覧ください。

G1305 アストレアプロS
「本品にはプシコース(アルロース)が含まれ
ます。プシコース(アルロース)には、運動時
の脂肪の燃焼を高める機能があることが報告さ
れています。」

G1306 アストレアプロa
「本品にはプシコース(アルロース)が含まれ
ます。プシコース(アルロース)には、日常生
活(安静時や日常活動時)のエネルギー代謝に
おいて、脂肪の燃焼を高める機能があることが
報告されています。」

届出者はどちらも松谷化学工業さん。よく似た
内容の届出表示ですが、G1305が「運動時の脂
肪の燃焼を高める機能」であるのに対して、
G1306は「日常生活(安静時や日常活動時)の
エネルギー代謝において、脂肪の燃焼を高める
機能」とされています。
消費者の要望に応じて、運動時なのか、日常活
動時なのか、商品を使い分けできる、というも
のに見えます。

さて、この運動時と日常活動時の違いについて、
勘のよい方であれば、運動量を数値化した指標
METsによるものではないか、と気づくと思いま
す。実際その通りなのですが、ここでのMETsの
使い方には少し不思議なところがあります。

まず、それぞれのSRについて簡単にみていくと、
G1305は(a)山口2019の1報を採用、対して
G1306は(b)kimura2017(C)山口2019
(d)kimura2021の3報採用です。機能性関与成分
であるプシコース(アルロース)の含有量はど
ちらも5g。そして(a)と(C)は同じ文献です。

G1306 では、(b)と(d)が運動負荷なしの試験で
安静時、(c)が4METs程度の軽い運動であること
から日常活動時とすることで、「日常生活
(安静時や日常活動時)」を導いています。

対してG1305では、4METs程度の運動は「ヨガや
階段昇降等のコンディショニング運動、速歩、
サイクリング等に 相当する」ということで、
「運動時の脂肪の燃焼を高める」としているわ
けです。

つまり、両者を分けているのは、4METs程度の
運動の解釈の仕方ということになります。

実際のところ、METsについてまとめられた「身
体活動のメッツ(METs)表」では、運動時と日
常活動時が必ずしも明確になっていません。
「家での活動」として5METsの歩行やランニング
が分類されていますし、「洗濯(洗濯物を干す、
衣類の手洗い)」が4METsとされています。

よって、それらをどのように表現して届出表示
に落とし込むかは、解釈の余地があるのだろう
と思われます。
ただ、G1305とG1306の届出表示がが二つ並んで
いると、どちらも4METs程度の運動であるにもか
かわらず、G1305はハードなスポーツ用途向けで
G1306は手軽なダイエッター向け、のように見え
てしまい誤解を与える可能性があります。

このため、消費者の要望に応じて使い分け出来
そうな商品に見える、と最初の方に書きました
が、実際に広告上でそういう見せ方をすると、
届出の範囲を超えてしまう可能性があるので、
注意が必要ではないでしょうか。

それでは、またメールしますね。