機能性表示水面下情報~122号/免疫表示の最新基準

本年もよろしくお願いします。

1.消費者庁は手ゴマが少ないこともあってパト
 ロールの外部委託を前から積極的に進めてい
 ますが、それに倣う省庁が増えていると思い
 ます。
 機能性表示の「形式審査」なども、行政サイ
 ドから見るとflexibleでやりやすい仕組みで、
 他省庁にも波及していくかもしれません。

2.免疫表示に対するスタンスもいろんな事例に
 遭遇しながらだんだん煮詰まって来ている気
 がします。

現在のスタンスは私が見る限りこうです。

(1) 「体の免疫機能を維持する」しか認め得る
  ヘルスクレームはない

(2) 体調アンケートは(1)のエビデンスの一つ
  となりうる

(3) (2)以外に(A)免疫の司令塔と言えるものが、
  活性化されて(B)個々の免疫細胞に降りてい
  くという作用機序を示す必要がある。

(4) (A)のエビデンスは作用機序のエビデンスで
  あると同時に(1)のエビデンスでもあるので
  (体調アンケートだけだと「体調を維持する」
  というヘルスクレームしか導き得ない)ヒト
  試験が必要

(5) 体調試験の被験者と免疫細胞活性化のエビデ
  ンスの被験者は同一でなければならない。

前からこのメルマガをお読みになられている方は
お気付きのことと思いますが、(2)と(4)と(5)が
変わっています。

3.他方、抗加齢協会様の指針はこうです。

「既に受理されている樹状細胞の活性化に加え、食
細胞活性、NK細胞活性、T細胞(CD4T細胞)増殖性・
活性化、分泌型IgA 抗体濃度※なども免疫指標とし
て有用である。ここに記載している指標以外にも、
科学的根拠が説明できる指標を使用することも構わ
ないが、これらの免疫指標が複数動いていることが
望ましい。

しかし、単一の指標でも、さらに下流に応答した免
疫指標に類似した指標(サイトカインなど)が動き、
局所及び体全体のクリニカルアウトカムが合理的に
説明できれば、免疫全体を調整していることの根拠
となりうる。

また、用いた指標が免疫全体を調整することを科学
的に説明できることが重要であり、科学的に免疫全
体を調整する作用機序を記載することが必要である。」

問題は「局所及び体全体のクリニカルアウトカムが
合理的に説明できれば、免疫全体を調整しているこ
との根拠となりうる。」です。2のスタンスは
(3)にあるように上から下に降りて行くロジック
ですが、抗加齢協会様のは「下から上もあり」とい
うロジックです。

一般論としてはその通りだと思いますが、実際問題
としてはここをどう論証するかは難しいところで、
今後の展開が注目されます。

4.上記の(5)は最近出て来た考え方で、これが基準
 となると免疫表示はかなり難しくなるかもしれません。

最新研究情報

1.マンゴスチン果皮由来α-マンゴスチン配合食品
 摂取による男性の夜間の排尿にかかわる生理機能
 と生活の質の改善効果-プラセボ対照ランダム化二
 重盲検並行群間比較試験
 -(薬理と治療 vol.49, no.12)

(1) 小林製薬株式会社の論文

(2) 排尿改善について、生活の質(QOL)と絡めて
  いることから、機能性表示を狙っているものと
  思われる。

(3) 現在、唯一受理されている排尿関係の事例F18も、
  生活の質と絡めることで排尿の訴求を行ってお
  り、これを参考にしていると考えられる。

2.Effects of bovine lactoferrin on subjective
 gastrointestinal symptoms related to physical
 conditions in healthy subjects-A randomized,
 double-blind, placebo-controlled trial
 -(薬理と治療 vol.49, no.12)

(1) 森永乳業株式会社の論文

(2) ラクトフェリンによる免疫訴求を狙っていると
  思われる。

(3) pDC細胞の活性を評価していることは、キリン
  社のプラズマ乳酸菌と同様。

(4) 一方で、体調等に関するアンケートは実施され
  ていない。