機能性表示最新情報 230号 / 「高吸収」の訴求にはヒト試験が必要

こんにちは。YDCのミッシーです。

免疫訴求のプラズマ乳酸菌。コロナに対する効果の
検討を長崎大学で始めたというプレスリリースを見
ました。
もちろん、そんなことは機能性表示では言えません
が、それでもこの成分にかけるキリンさんの意気込
みはすごいですね。

さて、
それでは今回の機能性表示最新情報のご紹介です。

G783 記憶の維持にセラクルミンA
「本品には高吸収クルクミンが含まれます。本品に
含まれているクルクミンは、加齢により低下する認
知機能の一部である記憶力(言葉や図形を覚え思い
出す能力)の維持に役立ちます。」

この事例には前身となるものがあります。それが次
の事例です。

D515 記憶の維持にセラクルミン
「本品には高吸収クルクミンが含まれます。本品に
含まれているクルクミンは、脳の記憶や感情を司る
部位の一部(視床下部)への、老化に伴うアミロイ
ドベータやタウタンパク質の蓄積を抑え、加齢によ
り低下する認知機能の一部である記憶力(言葉や図
形を覚え思い出す能力)の維持に役立ちます。」

ぱっと見てわかる違いとして、「脳の記憶や感情を
司る部位の一部(視床下部)への、老化に伴うアミ
ロイドベータやタウタンパク質の蓄積を抑え、」の
部分が削除されています。受理された当時はよくこ
の文言でOKされたものだ、と思いましたが、その後
に何か指摘でもあったのでしょうか?

この削除も興味深い点ではありますが、今回の本題
は別の処にあります。両者の別紙様式5-3を見比べ
ると、G783には【「『高吸収』クルクミン」につい
て、科学的根拠に基づく適切な記載である論拠】と
いう項目が追加になっています。その要点を簡単に
まとめると、

(1)高吸収化されたクルクミンは、加工前のクル
クミンと比べて吸収効率が約27倍になっていること
が、ヒト試験で明らかになっている。

(2)加工前のクルクミンでは血中への移行が著し
く低いため、論文で示したような有効性が現れない
ことが推測される。

さて、ここでいう「高吸収」は一見すると成分の特
性を表す形容詞の様ですが、上記内容から考えると、
高吸収であることによって認知機能の機能性が得ら
れるわけですから、実際には作用機序(※)という
ことになります。

※この考え方について詳しくは、林田先生が「機能
性表示水面下情報 第121回」や、機能性表示デー
タブックの会員コンテンツ
>14.関与成分の性質と届出表示
で解説されておりますので、興味のある
方はそちらをご覧ください。

高吸収が作用機序で、それを届出表示の中に入れる
のであれば、当然ヒト試験のエビデンスが必要とな
り、それが(1)です。

一方(2)について、未加工のクルクミンについて
本当に有効性が現れないのかにてついて推測のみと
いうのは少し物足りない気もしますが、作用機序と
いうことを考えると、そこまで厳格ではないのかも
しれません。

機能性表示水面下情報のメルマガ中で、成分の特性
と作用機序の関係についてこれまではバラバラで
あったが、今後は統一されていくだろうと、林田先
生が書かれていましたが、このG783もその流れの中
にあるようですね。

それでは、またメールしますね。