機能性表示水面下情報 ~71号/キリン社の免疫論文について

今日はキリンさんが免疫表示でエビデンスとした
SRの中の1報に関するQ&Aです。

Q.キリン社が免疫のSRに採用した、鈴木ら2015
  について教えて下さい(>>>
  https://www.yakujihou.com/merumaga/20201110k2.pdf )。

   (あ)被験者は末梢血中pDC活性の値が相対的に
    下位であった者100名を選んでいますが、
       これで健常者を選択したことになる
       のでしょうか?

  (い)末梢血中pDC活性マーカーとしてCD86と
    HLA-DRをアウトカムして測定しています。

    図2を見ると、CD86については群間有意差
    ありと言えそうですが、HLA-DRについて
       はアクティブとプラセボと入り組んで
       いますが、これで「pDCを活性化し」と
    言えるのでしょうか?

  (う)体調アンケート結果が表3に示されて
    いますが、7項目中アクティブが
    プラセボに比べ有意なのは3項目(鼻汁、
    関節痛、寒気)だけですが、これで
    「免疫機能を維持」と言えるのでしょうか?

A.1.(あ)について
 
  たしかに微妙です。

  100名の中の最下位あたりには病者と評価
  されてもおかしくない人が含まれていた
  かもしれません。

  SRなのでうまくカバーできたのかもしれ
  ません。

   2.(い)について
 
  「pDCを活性化し 」は作用機序です。

  作用機序を届出表示に入れるときはヒト試験
  のエビデンスが必要ですが、群間有意差が
  要求されるわけではありませんので、ここは
  問題ないと思います。

  3.(う)について

  これだけで「免疫機能を維持」と言えるかは
  たしかに疑問です。

  この点もSRなのでうまくカバーできたのかも
  しれません。