景品表示法(景表法)とは?規制内容や違反事例、罰則などルールをわかりやすく解説
更新日:2024年11月18日
広告や販売を展開する事業者にとって、「景品表示法」は必ず押さえておきたい法律です。合理的なエビデンスなく商品・サービスをアピールしたり、誤解を招くような表現で消費者を呼び込んだりしている場合は、景品表示法に抵触する可能性があります。
また、法改正により導入された「ステルスマーケティング」への規制について、頭を悩まされている事業者も少なくありません。
本記事では、景品表示法はどのような法律なのか、違反事例を交えながら詳しく解説していきます。また、事業者がやっておくべき景品表示法の対策もお伝えしますので、ぜひ最後まで読み進めてください。
1.景品表示法(景表法)とは?
景品表示法(景表法)とは、正式名称を「不当景品類及び不当表示防止法」といい、消費者に対する不当な広告や過大な景品類の提供を規制する法律です。上記の画像のとおり、おもに「不当な表示の禁止」と「景品類の制限及び禁止」の2本の柱から成り立ちます。
景品表示法では、商品・サービスの品質や内容、価格などに関する偽った表示や、過大な景品類の提供を規制することで、消費者がより良い商品・サービスを自主的かつ合理的に選択できる環境を守り、利益を保護することを目的としています。
例えば「国産うなぎ」と謳い販売しているものが、実際は安い「中国産うなぎ」である場合などは、不当な広告に当てはまります。消費者はうなぎを見ても、国産であるかどうかの見分けはほぼつきません。
また「通常価格10,000円の商品がキャンペーン価格で2,000円!」という広告を見ると、「8,000円引きならお得だ」と思う人が多いかもしれません。しかし、実際には1万円での販売実績がなく、常に2,000円で販売されているケースも、不当な広告に当てはまります。
これらの例のように、商品が売れるよう品質や価格などを偽って表示することは、消費者の利益の阻害につながります。
商店やスーパーなどは、価格やサービスを良くし常に競争を行なっています。景品表示法は、この競争が公正なものであるためのルールを守る法律でもあるのです。
景品表示法(景表法)に関するガイドライン
消費者庁では、景品表示法の運用基準や違反事例集などを公開しています。以下は、その一例です。
- 「商品の原産国に関する不当な表示」の運用基準について
- 「おとり広告に関する表示」等の運用基準
- 景品類等の指定の告示の運用基準について
- 「一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限」の運用基準について
上記以外にも様々なガイドラインが消費者庁のウェブサイト「景品表示法関係ガイドライン等」にまとめられていますので、確認してみましょう。
2.景品表示法の「不当な表示の禁止」と違反事例
前章で紹介した「不当な表示の禁止」と「景品類の制限及び禁止」の内容を、ここから順に解説していきます。まずは、「不当な表示の禁止」の内容と違反事例についてです。
広告で、実際の商品よりも品質や価格などが優れていると過大に表現すると、消費者は合理的な選択ができません。そのため景品表示法では、消費者を守るために不当表示が禁止されています。
不当表示とは、消費者をだます虚偽の表示や、誤認させる表示のことで、以下の3つに分類できます。
- 優良誤認表示
- 有利誤認表示
- 指定告示
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
優良誤認表示
優良誤認表示とは、商品・サービスの品質や規格などが、実際のものや競合他社のものよりも著しく優良と見せかける不当な表示のことです。優良誤認表示は、景品表示法第5条第1号により規制されています。
第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
すなわち、以下のいずれかに該当するものであり、かつ不当に顧客を誘引し、消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあるものが優良誤認表示に該当します。
(1) 実際のものよりも著しく優良であると示す表示
(2) 事実に相違して他社の商品・サービスよりも著しく優良であると示す表示
例えば、ダイエット効果の確たるエビデンスがないにもかかわらず、「飲むだけでスリムを叶える」などという表現で販売しているケースは優良誤認表示に当てはまります。
以下では、消費者庁から優良誤認表示として措置命令等を受けた事例を紹介します。
参考例:キリンビバレッジ株式会社:「トロピカーナ」メロン果汁2%でも「100%」表記
キリンビバレッジ株式会社は、商品の果汁表示に関して、優良誤認表示として措置命令を受けました。同社は、「トロピカーナ100%まるごと果実感メロンテイスト」と呼ばれる商品にメロン果汁が約2%しか入っていないにもかかわらず、パッケージには「100% メロンテイスト」などと記し、ほぼメロン果汁で作られているような誤解を招く表示をしていました。
参考例:大幸薬品株式会社:合理的な根拠なくウイルスや菌の除去効果をアピール
大幸薬品株式会社は、空間除菌剤「クレベリン」シリーズにおいて、優良誤認表示として過去最高額(6億744万円)の課徴金納付命令を受けました。クレベリンの広告では、使用すれば空間中のウイルスや菌が除去されるような表示がなされていましたが、同社から提出された根拠資料は合理性に欠ける内容と判断されました。
有利誤認表示
有利誤認表示とは、商品・サービスの価格などの取引条件が、実際のものや競合他社のものよりも著しく有利であると見せかける不当な表示のことです。有利誤認表示は、景品表示法第5条第2号により規制されています。
第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
(中略)
二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
すなわち、以下のいずれかに該当するものであり、かつ不当に顧客を誘引し、消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあるものが有利誤認表示に該当します。
(1) 商品やサービスなどが実際よりも著しく消費者に有利であると誤認させる表示
(2) 他社の商品やサービスなどと比較した際、著しく有利であると消費者に誤認させる表示
例えば、「メーカー希望小売価格の5割引」と表示していたものが、実際はメーカー希望小売価格自体が架空のもので、商品価格を有利に見せかけているケースが有利誤認表示に当てはまります。
以下では、消費者庁から有利誤認表示として措置命令等を受けた事例を紹介します。
参考例:アワ・パーム・カンパニー・リミテッド:オンラインゲームガチャで事実と異なる確率を表示
アワ・パーム・カンパニー・リミテッドは、オンラインゲームのガチャの確率において、有利誤認表示として措置命令を受けました。「THE KING OF FIGHTERS’98 ULTIMATE MATCH Online」内の5日間限定のガチャでは、特定のキャラクターが3%の確率で当たるような表示がなされていましたが、実際の確率は0.333%でした。
参考例:株式会社ドミノ・ピザジャパン:実際に支払う金額よりも低い価格をチラシに掲載
株式会社ドミノ・ピザジャパンは、宅配ピサのチラシ内の価格表示に関して、有利誤認表示として措置命令を受けました。消費者が実際に支払う金額は、チラシに記載された価格に一定の「サービス料」が加算されるものの、それが不明瞭な内容となっていました。
指定告示
指定告示とは、商品・サービスの取引に関する内容について、消費者が誤認するおそれがあると認められた、「内閣総理大臣が指定する表示」です。指定告示は、景品表示法第5条第3号に該当します。
第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
(中略)
三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの
具体的には、以下の表示が挙げられます。
- 無果汁の清涼飲料水等についての表示
- 商品の原産国に関する不当な表示
- 消費者信用の融資費用に関する不当な表示
- 不動産のおとり広告に関する表示
- おとり広告に関する表示
- 有料老人ホームに関する不当な表示
また、令和5年(2023年)10月1日から、「ステルスマーケティング」が不当表示(指定告示)の対象となりました。ステルスマーケティング(ステマ)とは、特定の商品・サービスについて、実際は広告であるのに、広告だとわからないように宣伝することを指します。日本では、ステルスマーケティングに対する法規制が導入されるのは初めてのことです。
ステルスマーケティングの法規制について詳しくは、後述する「法改正によるステルスマーケティング(ステマ)規制の導入」の章をご覧ください。
ここでは、指定告示に関して、消費者庁から措置命令を受けた事例を紹介します。
参考例:株式会社あきんどスシロー:うにを提供しないのに、提供するかのような広告を続ける
株式会社あきんどスシローは、すでに提供が停止されている商品を提供しているかのように広告したことで、おとり広告に該当するとして措置命令を受けました。キャンペーン商品の「新物!濃厚うに包み」などを、在庫不足の懸念から多くの店舗で終日提供していないのにもかかわらず、依然として提供を続けているかのように自社サイトで広告していました。
3.景品表示法の「景品類の制限及び禁止」と違反事例
続いて、景品表示法の「景品類の制限及び禁止」の内容と違反事例を解説します。
景品類の制限及び禁止とは、過剰な景品やサービスを規制することを指し、景品表示法第4条に規定があります。
第四条 内閣総理大臣は、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を確保するため必要があると認めるときは、景品類の価額の最高額若しくは総額、種類若しくは提供の方法その他景品類の提供に関する事項を制限し、又は景品類の提供を禁止することができる。
ここでの「景品類」は、景品表示法第2条第3項で以下のように定められています。
- 顧客を誘引するための手段として
- 事業者が自己の供給する商品又は役務(サービス)の取引(不動産に関する取引を含む。)に付随して
- 取引の相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であって、内閣総理大臣が指定するものをいう
引用:景品類とは(消費者庁)
具体的には、金銭や金券、物品、不動産、接待、優待などが景品類に該当します。
本来、販売者が消費者に対し景品を提供すること自体は、規制の対象ではありません。問題なのは、過剰な景品の提供によって消費者を誘引することです。消費者はその景品に当惑し、合理的な判断ができずに商品を購入してしまう可能性があります。
この章では、景品表示法における景品類のルールや制限額について、「一般懸賞」「共同懸賞」「総付景品」に分けて解説します。
一般懸賞
そもそも「懸賞」とは、「くじやビンゴなど、偶然性を利用して」または「クイズや競技など、優劣または正誤によって」景品類を提供するものです。懸賞のうち、次項の「共同懸賞」に該当しないものは、すべて「一般懸賞」に該当します。
一般懸賞では、提供する景品類の最高額と総額が決まっています。景品の最高額は、取引価格(典型的には売買価格)により、以下のように異なります。
- 5,000円未満の取引価格:取引価格の20倍
- 5,000円以上の取引価格:10万円
- 景品類の総額:懸賞に係る売上予定総額の2%が限度
共同懸賞
一定の地域の小売業者やサービス業者、一つの商店街にある店舗など、複数の事業者の相当多数が集まって行なう懸賞を共同懸賞といいます。共同懸賞として実施するには、以下の条件を満たさなければなりません。
- 一定の地域における小売業者又はサービス業者の相当多数が共同して行う場合
- 一の商店街に属する小売業者又はサービス業者の相当多数が共同して行う場合(ただし、中元、年末等の時期において、年3回を限度とし、かつ、年間通算して70日の期間内で行う場合に限られます。)
- 一定の地域において一定の種類の事業を行う事業者の相当多数が共同して行う場合
なお、上記の条件を満たしていても、懸賞への参加資格を限定したり、一部の者に過剰に負担を強いて懸賞に参加できないようにしたりする場合は、共同懸賞として実施できません。
共同懸賞でも、提供する景品類の最高額と総額が設定されています。具体的には、以下のとおりです。
- 景品の最高額:30万円
- 景品の総額:取引懸賞に係る売上予定総額の3%が限度
総付景品
総付景品とは、上述した懸賞の定義に沿っていなくとも提供される景品のことです。購入者に景品を提供するケースや、商品を購入しなくても入店者(サイトであればサイトへのアクセス者)に景品を提供するケースが該当します。
総付景品でも、取引価格(定型的には売買価格)に応じて提供する景品類の最高額が定められています。
- 1,000円未満の取引価格:200円
- 1,000円以上の取引価格:取引価格の10分の2(20%)
なお、特定の種類の事業については別途制限があります。詳細は、消費者庁のウェブサイトにてご確認ください。
4.法改正によるステルスマーケティング(ステマ)規制の導入
先述のとおり、令和5年(2023年)10月より、ステルスマーケティング(ステマ)が景品表示法の不当表示規制の対象となりました(「ステマ規制」とも呼ばれます)。
具体的には、以下のようなケースがステルスマーケティングに該当します。
- 事業者が、自社とは無関係の第三者になりすまし、商品・サービスの良さを宣伝する
- 事業者が芸能人やインフルエンサー、一般消費者に商品やサービスを提供したうえで、声をもらいそれを自発的な声のように紹介する(2024年8月のchocoZAP事件の例)
ステマ規制の対象
ステマ規制の対象となるのは、SNS投稿や口コミ・レビュー投稿、アフィリエイト広告、テレビや雑誌での表示など、原則として広告全般です。ただし、個人が単なる感想としてインターネット上に投稿したものや、テレビCMのように明らかに広告であることがわかるようなものは、ステマ規制の対象外となります。
一方で、事業者がインフルエンサーなどの第三者に依頼・指示したものは、ステマ規制の対象です。ステマ規制に関して責任を負うのは、インフルエンサーなどではなく、依頼主(広告主)である事業者という点にも注意しましょう。ステマ規制に違反した場合は、消費者庁から措置命令を受けることになります。
なお、アフィリエイターは、自身のWebサイトなどで特定の商品・サービスを紹介し、第三者の購入につなげた場合に成果報酬を受けている人のことです。アフィリエイターの場合、広告内容に問題があったときには、事業者がステマ規制だけでなく優良誤認表示の責任も負います。したがって、措置命令に留まらず、課徴金納付命令を受ける可能性があります。
ステマ規制に違反しないためには?
ステマ規制に違反しないためには、消費者が広告であると一目でわかるような表示をすることが重要です。例えば、「プロモーション」「PR」「広告」といった文言を記載する方法があります。
ただし、以下のようなケースでは、広告である旨を表示していても景品表示法に抵触する可能性があるでしょう。
- 非常に小さい文字、または目立たない場所に「PR」と表示した
- SNS投稿において、大量のハッシュタグのなかに「#広告」と記載した
- 動画において、一瞬だけ「プロモーション」と表示した
- 一部の人しかわからない業界用語を用い、広告である旨を伝えた
よって、「誰が見ても広告であるとすぐに理解できるか」という視点から、適切な表示方法を検討しましょう。
併せて、インフルエンサーなどに商品・サービスのPRを依頼する際には、意図せずステルスマーケティングにならないよう事前に周知・啓発することも大切です。
5.景品表示法に違反した場合の措置・罰則
ここまでに紹介した複数の事例からもわかるとおり、景品表示法違反が認定されると、消費者庁や都道府県から「措置命令」や「課徴金命令※」が下されます。ここでは、この2つの措置について解説していきます。
※「課徴金命令」を下しうるのは消費者庁のみ
措置命令
措置命令とは、景品表示法第7条に基づき、消費者庁または都道府県が景品表示法に違反した事業者に当該広告や表示を停止させ、謝罪広告を命じるものです。措置命令において、事業者に対する罰金などは生じません。
広告は停止するだけで済みますが、違法な内容が印字された商品は回収し、新たなパッケージを使用して出荷しなければなりません。加えて、措置命令はマスコミに取り上げられるため、事業者は大きなダメージを受けるでしょう。
- 措置命令に違反した場合の罰則
措置命令に違反した場合は、景品表示法第36条に基づき、2年以下の懲役または300万円以下の罰金に処される可能性があります。
課徴金納付命令
課徴金納付命令とは、景品表示法第8条に基づき、措置命令を受けた事業者に課されるものです(指定告示違反の措置命令は除く)。対象期間の上限を3年間とし、課徴金額は対象商品などの売上額に3%を乗じた額となります。
課徴金納付命令はお金を払えば済むのではなく、措置命令と同じように公表されます。ただし、事業者が自主的に違反事実の報告を行なった場合は、超過金が2分の1に減額されます。また、課徴金額が150万円に満たない場合や、相当な注意をしていた場合は免除されます。
過去には、先述した大幸薬品株式会社などの広告のほか、日本マクドナルド株式会社の「東京ローストビーフバーガー」や株式会社TSUTAYAの「動画見放題プラン」などの広告が、課徴金納付命令を受けています。
令和7年(2025年)施行予定の確約手続き
これまでの景品表示法では、故意かどうかに関係なく、違反した場合は措置命令や課徴金納付命令がなされてきました。一方で、意図せずに景品表示法に違反してしまったケースのなかには、積極的に改善に取り組もうとする事業者もいます。
このような背景を踏まえ、景品表示法では「確約手続き」を導入することとなりました。
具体的には、景品表示法違反が疑われることを通知された事業者は、改善計画(是正措置計画)を作成し、内閣総理大臣に対して内容の認定を申請します。是正措置計画が認められた場合には、事業者名や是正措置計画の概要などを公表する代わりに、措置命令が出されないことが確約されます。
6.事業者がやっておくべき景表法対策
事業者が景表法違反で措置命令を受けたときに「広告に違反する内容とは知らなかった」「期間限定キャンペーンを続けて行なうことが違反だと知らなかった」というコメントが見られることがあります。
「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針(平成26年11月14日内閣府告示第276号)」は表示等を管理するための景品表示法の勉強をして一定以上の知識を持つ人を管理者として据えよと言っています。
現在、景表法に基づく調査の際には必ずこの「表示等を管理するための担当者」の有無を訊かれています。(PDF:報告書様式該当箇所 参照)
「表示等を管理するための担当者」は「例えば、景品表示法の研修を受けるなど、景品表示法に関する一定の知識の習得に努めていること。」という定めがあり、企業にとって景表法の研修は必須項目となりました。
「知らなかった」「大丈夫だと思っていた」では、法律は許してくれません。
そこで事業者は景表法体制の構築を行う事が早急の責務となります。
景品表示法第26条第1項の規定に基づく必要な措置
下記の項目は「事業者が講ずべき表示等の管理上の措置の内容」として1~7の内容を実施するように内閣府告示として周知されているものです。
下段はYDCを利用した場合の対応状況回答のサンプルとなりますが参考にしてみてください。
1.景品表示法の考え方の周知・啓発
貴社は、景品表示法第4条の規定に基づく告示に違反する景品類の提供及び景品表示法第5 条に違反する表示( 以下「不当表示等」という。) の防止のため、景品表示法の考え方について、景品類の提供又は自己の供給する商品若しくは役務についての一般消費者向けの表示( 以下「表示等」という。) に関係している役員及び従業員(※) にその職務に応じた周知・啓発を行っていますか。行っている場合には、具体的な取組状況を、行っていない場合にはその旨を記載してください。
※表示等の内容を決定する又は管理する役員及び従業員のほか、決定された表示内容に基づき一般消費者に対する表示( 商品説明、セールストーク等) を行うことが想定される者を含みます。
1.景品表示法の考え方の周知・啓発 対応状況回答例
全広告担当者には薬事法ドットコムが運営する景表法講座の受講、資格取得を徹底しています。また表示管理者責任部門である経営企画部担当者、広告担当部門長が薬事法ドットコム社主催の景品表示法に関するセミナーを定期的に受講しその内容を全担当者に共有することにより景品表示法の考え方の周知・啓蒙に努めています。今後はさらなる知識強化の為、定期的な社内講習会により全社員のさらなる意識向上を徹底してまいります。
2. 法令遵守の方針等の明確化
貴社は、不要表示等の防止のため、景品表示法を含む法令遵守の方針や法令遵守のためにとるべき手順等を明確化していますか。行っている場合には、具体的な取組状況を、行っていない場合にはその旨を記載してください。
2. 法令遵守の方針等の明確化 対応状況回答例
不当表示等防止のために以下の手順を定めています。
- 表示に関する監視機能として表示責任部門( 経営企画部) を設置。
- 広告担当者は表示に関する確認はすべて広告担当部門長へチェックを依頼。
- 広告担当部門長にて確認のうえ、表示責任部門である経営企画部担当者へ確認を依頼
⇒この二重チェックをクリアしたもののみ表示可能としています。 - 広告担当部門長および経営企画部で判断ができない表示に関しては、薬事法ドットコム等の専門機関に確認を行います。今後はこのフローをさらに徹底して行うと共に、広告担当部門長、表示責任部門の景品表示法に関する知識向上に努めてより一層の確認の徹底と管理体制の強化に努めてまいります。
3. 表示等に関する情報の確認
広告担当部門長、および経営企画部では常に保管・管理している根拠資料と照らし合わせて確認をしています。
不明な場合は薬事法ドットコム等の専門機関に根拠との照合を依頼、必要に応じて根拠となる調査も行い根拠となる情報確認を徹底しています。
3. 表示等に関する情報の確認 対応状況回答例
広告担当部門長、および経営企画部では常に保管・管理している根拠資料と照らし合わせて確認をしています。
不明な場合は薬事法ドットコム等の専門機関に根拠との照合を依頼、必要に応じて根拠となる調査も行い根拠となる情報確認を徹底しています。
4. 表示等に関する情報の共有
前記3 において確認していたと回答した場合、 貴社は、前記3 のとおり確認した情報を、「本件表示」に関係する各組織部門が不当表示等を防止する上で必要に応じて共有し確認できるようにしていましたか。行っている場合には、具体的な取組状況を、行っていない場合にはその旨を記載してください。
前記3 において確認していないと回答した場合には「該当なし」と記載してください。
4. 表示等に関する情報の共有 対応状況回答例
広告担当者は表示責任者からのフィードバックを担当者ごとに管理し、広告担当部門内の定例会議において報告することにより部門内での情報共有に努めています。
また、表示責任者である経営企画部からも全社会議の中で確認した事例の共有を行っており、広告担当部門以外の全社的な不当表示防止のための取組を実践しています。
5. 表示等を管理するための担当者等を定めること
貴社は、表示等に関する事項を適正に管理するため、表示等を管理する担当者又は担当部門( 以下「表示等管理担当者」という。) を定めていますか。
定めている場合には具体的な担当者名又は担当部門名を、定めていない場合にはその旨を記載してください。
なお、表示等管理担当者を定めているというためには、以下の事項を満たす必要があります。
①表示等管理担当者が自社の表示等に関して監視・監督権限を有していること。
②表示等管理担当者が複数存在する場合、それぞれの権限又は所掌が明確であること。
③表示等管理担当者となる者が、例えば、景品表示法の研修を受けるなど、景品表示法に関する一定の知識の習得に努めていること。
④表示等管理担当者を社内において周知する方法が確立していること。
5. 表示等を管理するための担当者等を定めること 対応状況回答例
表示管理については、経営企画部を責任担当部門として適正な管理に努めています。
加えて、広告管理部門長も確認することによる二重の体制を構築し対応しています。経営企画部および広告管理部門長は薬事法ドットコムが運営する景表法講座の受講、資格取得を行い、また定期的に薬事法ドットコム社が主催するセミナーを受講し景品表示法の知識習得に努めています。
また経営企画部および広告管理部門長は自身で判断できない表示等に関する事項は随時薬事法ドットコム等の専門機関に都度相談をしています。ここで得た知識は定期的な会議の場で全社員に報告共有を行います。
今後は引き続き責任担当部門である経営企画部を中心に景品表示法に関する知識を深めるとともに、人員も増強し表示等管理の更なる徹底を行っていく所存です。
6. 表示等の根拠となる情報を事 後的に確認するために必要な措置を取ること
貴社は、「本件表示」について、前記3 のとおり確認した情報を事後的に確認するために、具体的にどのような措置(例えば、資料の保管等)を採っていますか。
採っている場合には、具体的な対応状況(資料の保管方法・保管期間等)を、採っていない場合にはその旨を記載してください。
6. 表示等の根拠となる情報を事 後的に確認するために必要な措置を取ること 対応状況回答例
資料はPDF化し、7年保管するようにしています。
7. 不要な表示が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応
貴社は、貴社の供給する商品又は役務に関する表示又は景品類の提供において、景品表示法違反又はその恐れがある事案が発生した場合、どのような対応を採ることを想定していますか。想定している対応がある場合には、その対応の内容を具体的に記載してください。
7. 不要な表示が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応 対応状況回答例
薬事法ドットコム等の専門機関に確認を行い、助言指導を受けたうえで、販売の一時中止、景品表示法違反又はその恐れのある表示の取り下げなど適切な対策を行うよう致しております。
忘れてはいけないアフィリエイター対応
- アフィリエイターやインスタグラマーにルールマニュアルの共有をする
- 該当する過去記事があるが連絡の取れないアフィリエイター向けに、サイトでルールを公開する
過去のアフィリエイト記事やSNSの投稿で、景表法違反となる記事を見つけても投稿者本人でないと修正や削除ができない場合が多いものです。連絡が取れて修正できればいいのですが、連絡が取れない場合は記事がそのまま残ってしまう可能性が高いでしょう。
自社サイトで「アフィリエイター様へ 投稿の注意事項を必ずご覧ください」という形で載せ、対策をしておくのも方法の一つです。
社員研修などは手軽にできるeラーニングを利用するのがベスト
社員への景表法教育が大切なのはよくお分かり頂けたと思いますが、社員への景表法教育と言ってもどうすれば良いの?セミナーなどを開くにはそれなりに準備も必要だし、理解度のチェックなどはどうすれば良いのだろう…悩みも多いと思います。
そんな時はeラーニング講座などをうまく利用するのがお勧めです。
一人一人個別のペースで、理解度のチェックを行いながら進められるから無理がありません。
7.まとめ
景品表示法は、広告の表記や景品類の提供について、多くのルールを設けています。そのどれもが、消費者が商品やサービスを購入する際に、自主的かつ合理的な選択が行なえるようにするためです。
景品表示法に抵触した場合、措置命令や課徴金納付命令が下され、少なからず企業イメージに影響するでしょう。また、新たに始まったステルスマーケティングの規制では、過去の投稿も規制の対象となり、違反が発覚した場合は罰則を受けることになります。
法律で決められている以上、「これくらいは大丈夫だろう」という甘い見通しは通用しません。景品表示法の重要性を再確認し、消費者から信頼のおける事業者となるよう、十分な知識と運用が求められます。
あなたは大丈夫?
↓景品表示法で注意すべきポイントの確認にお役立てください↓
■景表法対策と売上アップを両立させる、エビデンスマーケティング支援サービス
薬事法ドットコムでは、景表法の規制をクリアした上で、売上アップを両立するためのサービスを提供しています。
具体的には「NO1」「日本初」「世界初」「満足度」「競合比較表」「ビフォーアフター」といった強力な訴求の根拠となるエビデンスづくりの支援です。
これらのフレーズは、消費者の注目を引き、商品やサービスの独自性と価値を明確に伝える効果があります。
薬事法ドットコムは、消費者庁報告書類の分析に基づき、景表法対策に必要な、下記観点を完全網羅。
- エビデンスがエビデンスとして的確であること
- 広告訴求とエビデンスがマッチしていること
これまで130件以上の支援実績が証明するように、巷のリサーチ会社と一線を画したエキスパートサービスが可能です。
支援実績例「世界初」:バスクリン様
支援実績例「ビフォーアフター」:ライザップ様
■売上アップへ最短距離で導く、臨床試験も設計
関連組織に、臨床試験機関でもある日本臨床試験協会(JACTA)を設置。
学術目的ではなく、マーケティング意図から逆算した試験設計〜実施ができるのが、大きな強みです。
独自のネットワークからなる専門家・専門機関との協力体制がベースにあるので企業ごとのお悩み・ご要望にフレキシブルに対応可能です。
この記事の監修を担当した弁護士
薬事法ドットコム
パートナー弁護士 西脇威夫
一橋大学法学部卒。元ナイキ・インハウスロイヤー、エンターテインメント・ローヤーズ・ネットワーク会員、日本スポーツ法学会会員 他。
法人の設立、商業取引(英文及び和文の各種契約の作成・レビュー、ブランド保護、偽物対策、独禁法のアドバイス等)、人事労務、コンプライアンスについて、経験豊富。
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