機能性表示最新情報 455号 / メタアナリシスにおけるMDとSMD

こんにちは。YDCのミッシーです。

機能性表示食品の届出SRでメタアナリシスの結
果を見ると、MDやSMDという用語が出てきます。
今回はこのMDとSMDについて考えてみます。

MDは平均値差のことなので、そのまま平均値の
差として理解すればよいですが、SMDは違います。
SMDは、試験食群とプラセボ群の平均値の差を、
データのばらつき(標準偏差)で割った値です。
割り算によって単位が消えるので、別々の物差
しで測った研究を同じ土俵で比べられるように
なります。

一方で、単位が消えているので、例えばBMIの
SMDが-0.5となっていたとしても、BMIが0.5減

ったとは言えません。SMDが示すのは群間の差の

大きさの目安です。慣習的には、0.2で小さい、
0.5で中程度、0.8で大きい、という基準が用い
られますが、あくまでも目安です。

SMDをどんな場面で使うかというと、例えば認知
機能をMMSE、MoCA、ADAS-Cogなど異なるテス

トバッテリーで測っている時です。構成概念(全
般的な認知機能)は同じだが、テストバッテリー

が異なるために単位が同一ではない、といったと

きにSMDを用いて統合することができます。

他方で、血糖値のmg/dLとmmol/Lのような場合

にはSMDは用いずに、定められた換算式を用いて

どちらかの単位に統一し、MD(平均値差)として
統合するのが一般的です。

具体的な事例として、サラシア由来サラシノー
ルのSRを見てみます。

L391 ソシエ DB(ディービー)カプセル  
「本品にはサラシア由来サラシノール、茶カテ
キン(ガレート型カテキンとして)が含まれま
す。サラシア由来サラシノールには、糖の吸収
を抑え、食後血糖値の上昇をゆるやかにする機
能があることが報告されています。茶カテキン
(ガレート型カテキンとして)には、BMIが高

めの方の体脂肪を減らす機能があることが報告

されています。」

このSRでは、食後30分の血糖値のSMD -0.32
[-0.58, -0.06]と、AUCのSMD -0.25[-0.50, 
-0.01]が根拠として示されています。ただ、統
合された研究の血糖値はいずれもmg/dLで、換算
すら必要ありません。SR本文でも効果の指標は
「平均値差」とされているのに、統合ではSMDが
使われており、その理由は書かれていません。

AUCは3研究を統合していますが、数値の大きさ
を見ると、おそらく総AUCと増分AUCが混ざって
いる(Kajiwara 2017が総AUCで、他の2件は増分
AUC)と考えられ、このためSMDで揃えたのでは
ないかと推察されます。そしてAUCでSMDを使っ
たため、SR内の尺度を揃えるために血糖値もSMD
にしたのではないでしょうか。

もし、MDでの統合にこだわるのであれば、2件あ
る増分AUCのみで統合するか、Kajiwara 2017に
ついてデータ補足(著者確認、グラフから算出
など)を行い、増分AUCに直して統合する、と
いった方法も考えられます。どれが最善とは一
概に言えませんが、血糖値のような指標では
「何mg/dL下がったか」が分かるMDのほうが

直観的で、読み手にも伝わりやすいと感じます。

それでは、またメールしますね。